僕の心のヤバイやつ (10) 特装版 4月8日発売!
夏! 海! 青春!
:: 2011/7/21 木曜日::

■[ラノベ]撃墜王と歌姫が奏でるノクターン「とある飛空士への夜想曲」上

とある飛空士への夜想曲 上 (ガガガ文庫)
著者/訳者:犬村 小六
出版社:小学館( 2011-07-20 )
文庫 ( 264 ページ )
作者twitter:犬村小六 (inumura569)はTwitterを使っています
絵師サイト:ALL GREEN

とある飛空士シリーズの最新作の時代と舞台は追憶まで巻き戻って、
シャルルが任務を成し遂げた前後、天ツ上側からの物語を綴った追憶のスピンオフとも言える作品。
それがこの「とある飛空士への夜想曲」です。

そして主人公はかつてアイレスIIに搭乗していたシャルルを唯一撃墜した男にして、
最後までシャルルを苦しませたビーグルの真電乗り、千々石武夫。
60年前、国力が10倍のレヴァームに破れ臥薪嘗胆の日々を送る天ツ上に生まれ、
父親が死に、中学校に上がることも出来ず戦艦島で炭坑夫となり、母も失い1年が経った頃、
歌手を目指すベスタドの少女、吉岡ユキに出会うことで人生が流転。
飛空士になるという夢を持ち、類い希なる努力と才能によって駆け上がっていき、
そして開戦後、撃墜王となった千々石は初めての好敵手、海猫と出会う…

空を飛ぶことが何よりも大好きだったシャルルと違い、
空戦に取り憑かれ、敵機を撃墜することに歓びを見出すようになった千々石。
子供の頃に愛情をもって育てられず、感情が剥落していたファナと違い、
国民的歌手となり淑やかな表面を持ちながらも、内面は子供の頃のままのユキ。
どことなく似ているけど、間違いなく違う主人公とヒロインが奏でる、
運命の出会いと一時の別れのノクターンがこの上巻には詰め込まれています。

子供の頃から快活で、無愛想な千々石の相手を笑顔でして面倒見の良いユキが、
大人になって国民的歌手になっても子供の頃の約束を忘れずに、
何よりも誰よりも千々石のことを想っているのには胸を打たれます。
そして千々石も鈍いなりにもユキの心を察しながらも、
”戦争”という悲惨という言葉だけでは生温い環境で、
空戦に取り憑かれた自身の業が故に、ユキを遠ざけようとするのはやるせなく、
千々石の境遇を思うと胸を焦がさざるを得ません。

規律を重んじ、千々石を苦々しく思う強面の波佐見が、
美空(ユキ)の大ファンで、それに対しても千々石に嫉妬しながら、
いざ戦場となったら誰よりも千々石の実力を認めているが故に、
的確な判断を下して颯爽と駆けつける姿は格好良くて心が痺れましたね。

群像劇として、架空戦史として、そして何よりも恋物語として面白いこのシリーズ。
下巻では遂に海猫ことシャルルも出てきそうですし、
千々石とユキの二人がどういった結末を迎えるのかも含めて期待が高まります。
下巻は9月発売らしいので今から楽しみで仕方ないです!

:: 2011/2/19 土曜日::

■[ラノベ]あにめかきかくしんんこうちゅうです?「人類は衰退しました」6巻

人類は衰退しました 6 (ガガガ文庫)
著者/訳者:田中 ロミオ
出版社:小学館( 2011-02-18 )
文庫 ( 212 ページ )

田中ロミオさんが1年+αぶりの新刊をガガっとお届け!
アニメ化企画進行中らしいけど、作中でアニメ化中止ネタを織り交ぜたりと、
メタなネタを仕込むことも忘れない、そんなお話。

アニメ化だろうと相変わらずキャラの名前は「わたし」「助手さん」「Y」と、
明確なキャラ名が出ない訳ですが軽快なテンポで話が転がります。
ファンタジックでありながらSFなようで、割りと世知辛い。
そんな面白さが溢れています。

今回は鳥人間もとい、鳥人類コンテストだったり、
腐な悪友のYが印刷環境を手に入れたことによって行われる、
同類誌即売会だったりと類は友を呼んだり呼ばなかったりで、
「わたし」が影に日向に枠内だったりで活躍するのです。

しかし漫画ネタが面白いんだけど、世知辛いというか…(笑
妖精さんの力で二次元に入れるのはちょっと羨ましいけど、
二次元の住人も色々と大変なんですねー(その感想は違う

しかし、一体どんなアニメになるんだろう…

■[ラノベ]殺人鬼たちの饗宴「ケモノガリ」3巻

ケモノガリ 3 (ガガガ文庫)
著者/訳者:東出 祐一郎
出版社:小学館( 2011-02-18 )
文庫 ( 312 ページ )
作者サイト:From dusk till dawn of the dead – livedoor Blog(ブログ)
作者twitter:東出祐一郎 (Higashide_Yu) on Twitter

自称CIAのシャーリーを旅の道連れとして人狩り”クラブ”を狩るケモノガリ赤神楼樹。
今度のターゲットは”クラブ”創設の地と目されるドイツに立つ「苦痛の城」に住む、
マクシミリアン・ルートヴィヒ伯爵。
しかし、今回の難敵は殺人鬼ではなく人でもなく、何と獣…!

冒頭のシャーリーの挿し絵を見て真っ先に思ったのが峰不二子ですが、
不二子ちゃんみたいな悪女ではなく、結構役立ってるシャーリー
むしろ巻を追う事にヒロイン不足に陥る本作においては、
結構重要な役回りをやってくれてるように思えます。

しかし金と権力がある”クラブ”の会員だけど今回は殊更に狂ってる敵でした…
マッドサイエンティストという訳ではなく、一定の目標がある伯爵の、
想像を絶するクレイジーな実験によって生み出された獣たちを相手に、
そして”クラブ”調停者のアストライアを相手にケモノガリが挑む!

いやー、萌えとかほぼ0でアクションシーンで、
萌えラブコメばかり読んでいる私としては珍しいチョイスなんだけど、
やっぱりこの手の作品も面白いんですよね。
今回の引きでまだまだ続きそうな感じですし続きも読んでいきたいですよ。

まぁ、多少は萌えヒロインが出ても良い気がしますけどね…!

:: 2011/2/3 木曜日::

■[ラノベ]ロットンやべぇ「BLACK LAGOON」2巻 罪深き魔術師の哀歌

ブラック・ラグーン 2 (ガガガ文庫)
著者/訳者:虚淵 玄
出版社:小学館( 2011-01-18 )
文庫 ( 232 ページ )
作者twitter:虚淵玄 (Butch_Gen) on Twitter
絵師サイト:Welcome.
絵師twitter:広江礼威 (hiroerei) on Twitter

「血だまりスケッチ」こと「魔法少女まどか☆マギカ」で時の人な虚淵玄が手掛ける、
「ブラック・ラグーン」ノベライズの第2弾。
元よりバイオレンス溢れるエログロなんでもござれな作品ですし、
外連味溢れる台詞のオンパレードから虚淵玄にぴったりな原作ですが、
これほど面白く書かれると脱帽せざるを得ません。

今回はサブタイトルに魔術師というフレーズが含まれているように、
「ブラック・ラグーン」屈指の天然お笑いキャラのロットンがフィーチャーされてるんですが、
CIAとNSAと福建マフィアの思惑だとか色々絡まりまくっている中、
その中を飄々と流離うロットンがマジ半端無い。(笑

まさかのあのロットンが…、いや、ああ見えて実は…、でもそんなはずは…
とか読み進めていく内に色々と疑念やそれを否定する考えが脳裏をよぎりまくりでしたが、
ラストでのオチはその奇跡的な偶然を呼び込む様は余りにもロットンらしく、
もう本当に抱腹絶倒としか言いようがないくらいに笑いまくりました。(笑

この作品は喜劇です。
勿論「ブラック・ラグーン」ですから銃器刃物出まくりで人が死にまくりですが、
やはりこの作品は喜劇としか言いようがありません。
原作の流れを充分汲みながら1巻の内容も組み込み完成度が高いノベライズになっております。

いやー、しかし…
ホント笑ったわ…(笑

:: 2011/1/22 土曜日::

■[ラノベ]ずっと待ってる…「とある飛空士への恋歌」5巻

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
著者/訳者:犬村 小六
出版社:小学館( 2011-01-18 )
文庫 ( 262 ページ )
作者twitter:犬村小六 (inumura569) on Twitter
絵師サイト:ALL GREEN

今回、空戦はありません。
けれども、感動はあります。

空族からの猛攻をクレアが取り戻した風呼びの力で凌ぎきったイスラだけど、
主力も壊滅してレヴァームからの救援はあれども苦しい中、
空族から初めて寄越された交渉は風呼びの少女と引き替えとした、
休戦条件だった…

クレアとカルの初恋は言うなれば狂おしいほどに燃え上がる情熱的な初恋。
大好きなみんなが住むイスラを守る為に赴くクレアと、
どうしようもない条件で、クレアと約束を交わすカルの決意。
約束を果たすため、何年もかかる困難の旅路を遂げ、
かつての名前を利用してまで突き進むカルの情熱的な恋には燃え上がります。

そしてそれだけでなく、もう一つ。
切なさに押しつぶされそうなほどに秘められた初恋。

子供の頃から一緒に居た、数え切れないほどの喧嘩をした。
ヘタレな兄を何度も助けたことがあるし、命を救われたこともある。
想いが溢れてきそうになり、夜の闇に助けられたこともある…

「――歌えない恋の歌もある。」

折り返しカラーでのこの言葉を目にした時に感じた予感そのままに、
胸が締め付けられそうなほどの切なさが心に満たされ、
あぁ、この作品は本当に「とある飛空士への追憶」と同じシリーズなんだなぁ、
と感慨深く納得しました。

初恋。
甘くて苦くて切なくて、どうしようもないほどに人を突き動かすその衝動。
そういった諸々を思い出させてくれる、珠玉のシリーズでした。
お勧めです。

:: 2011/1/21 金曜日::

■[雑記]アメリカドラマラノベ風「コップクラフト」3巻

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)
著者/訳者:賀東 招二
出版社:小学館( 2011-01-18 )
文庫 ( 228 ページ )
作者サイト:GATOH.COM blog style
作者twitter:賀東招二 (gatosyoji) on Twitter
絵師サイト:村田蓮爾公式HP-PSEWEB-

フルメタ完結で他のことにも力を割けるようになった賀東招二さんの最新作。
2巻まではドラグネットミラージュの焼き直しでしたが、
この3巻からは完全書き下ろしの新作となっています。
つまり今現在の賀東招二さんの全力投球が見られる訳ですね!
ヒロインはロリに限る、と主張する賀東招二さんの本気がここにある!

という訳で読み始めたら転入生が曲がり角でぶつかってパンチラだよ! 縞パンだよ!
しかも本作独特の見開きで挿し絵を使ってご披露だよ!
こ、これが賀東招二さんの本気というモノなのか…!
スゲ、賀東招二さんマジスゲー

今回はティラナがヒロインにして主人公といった立ち回りで、
金持ち学校に蔓延る麻薬ルートを調べる為に潜入捜査官として活躍します。
しかし、セックス、ドラッグ、銃、ジョックスとアメリカのドラマそのままというか、
そりゃ色々と寛容なガガガ文庫でしか出来ないよなぁ…
と思わせるだけのファッキンな内容が盛り沢山でした。

爽快な終わり方なんかじゃない、世の無常を感じさせられるやるせないラスト。
本当の悪はのうのうと生き残り、純粋な人間が死んでしまう哀しみしか残らない、
そんな中でのティラナの葛藤や苦悩諸々が切なくて、
それを受け止めるマトバの男っぷりが格好良かったです。

しかし一番笑ったのはあとがきだなぁ。
モンハンすぎるでしょう、JK…(笑

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