フラン☆Skin

社内競合で室見＆藤崎のペアと競うことになった桜坂。
かつて争った相手である次郎丸と梅林のトリオを組むことによって、
何とか対抗しようとしていたらエンジニアの技術力の差から敗色濃厚に。
しかし、お得意の場外戦闘で振り出しに戻してこれから巻き返しだと思っていたら、
先を読んだ藤崎は急所を突いて大手企業のトップを動かして桜坂の戦術を使えなくして…

本編がこれで終了というのがちょっと寂しいですね…
コミカライズも面白かったし、上手くすればアニメ化とかも出来たと思うんですけど…
凄く面白い作品だっただけに、もっと多くの人に知ってほしかったなぁ…
という、少々名残惜しいというか口惜しい気持ちもあります。

まぁ、それはともかくこの16巻の内容は素晴らしかったです。
貝塚女史が仕掛けてきた日本規模の政治戦略に対して、
何だかんだで立ち向かってギャフンと言わせてしまうんだから桜坂は凄い。
でも、そもそもそんな盤外戦術をした理由が、
尊敬する室見さんと思う存分戦いたいからってのが桜坂らしいな、と思います。

しかし、ラストの展開は日本社会の闇を感じましたね…
アルマダの社長が言うとおり、日本社会のダメさ加減を痛感したというか。
あとがきで述べられていたアメリカでのAmazonやGoogleの成功や、
近年の中国の躍進を見ていると、日本はマジでヤバいな、と思わされます。
何しろ最後に桜坂が取った手段が緊急避難的なソレであって、
銀の弾丸じゃないあたり、こう、モヤっとしますし。

とても面白かったしグイグイと引き込まれましたが、
同時に日本という社会への先行きがとても不安になる作品でした。

それはそれとしてラブコメとしてはどうなんでしょうね。
これで終わりなんでしょうか。
橋本課長とかもっと見ていたいんですけど。
ダメ…？

スルガシステムの株式上場を睨んだ業務拡大に際して、
経理・総務への異動を打診されて動揺する工兵。
誰にも相談できず、一人で決めないといけない中、
いつもの社長の無茶振りで赴いた仕事先は次郎丸縁との共同案件で、
しかも社内の室見さんと競合する案件で…！？

何ヶ月も複数の案件を同時に抱えるとかよくキャパがあるなぁ…
と、しみじみと思う今日このごろです。
私も先月まで4つの案件を同時に回してたんですが非常にキツかったです。
まぁ、業種も違ったらやってる内容も全然違うんですけど、
頭を切り替えないといけない大変さはわかるつもりです。

今回はとても耳が痛いというか身につまされました…
室見さんが言った

「あんたもアルマダの連中も、
　ううん、多分ほとんどのSIerがエンジニアリングとは何かわかっていない。
　適切な窓口を見つけてそこに質問を投げることが技術だと思いこんでいる。
　悪いけどそんな考え方でいる間は本当＜提案＞なんてできないわ。
　ただ作文と算数をしているだけ、エンジニアが対応する必要なんて微塵もない」

この言葉がガツン！と来ました。

確かにエース級のエンジニアっていうのは本当に凄いんですよね。
膨大な試行錯誤に裏打ちされた数多の知見をバックボーンに、
最適な手法を最速でやっちゃうんですよ。
私のような技術屋モドキに出来るのはそれをなぞるだけで…
確かに教科書通りに作文と算数をするのはうまくなったけど、
それって技術者じゃないよなぁ…
自己嫌悪に陥って辛い…

それにしてもこの15巻って続くんですね。
確かに次郎丸や梅林が出てきて総決算的な話なのに、
1巻で終わるわけはないんですけど、まさかあの人まで出てくるとは…
うーん、これはどういった方向に行くのか…
というか、これはもしや完結に向かっているのか…？
気になるので今度は早めに16巻を出して欲しいところであります。

今回は短編集！

さらにそれぞれの短編の主役はJT＆Wの梅林さんに、
扶桑の薬院さん、そして我らがスルガシステムの社長と、
多岐に渡っている上に時系列もバラバラなので、
バラエティ豊かな面白さが詰まってます。

特に梅林さんの話は読み応えがあったなぁ。
一流大手企業に勤めながら桜坂と次郎丸さんに連敗したため、
閑職に回されながらもそこから一発逆転をかます展開は面白かったです。
2巻で登場してきた時は大手企業なのを鼻にかけた嫌なやつという印象でしたが、
次郎丸さんに負けた時とかどんどん愉快なキャラになってましたし、
今回の短編ではむしろ愛嬌すら感じましたよ。
大企業なりの戦い方に、大企業のプライドが良い意味で作用していたように思えます。
それでも最後に次郎丸さんに出し抜かれるところはやっぱり梅林さんだな、と思います。（笑

薬院さんが主役の短編はラブコメっぽい雰囲気が出ていて良かったですね！
男っ気が全くない薬院さんに友人が世話を焼いて合コンを開くというよくある展開なんだけど、
普通の合コンと桜坂との二人呑みでの心境の違いを見てるとニヤニヤしちゃいますね！
それにしても桜坂のジゴロっぷりが凄い。
このままだと修羅場一直線だなぁ。
大丈夫なのか、桜坂…

そんな桜坂のダイエット編は身につまされるものが…
私も就職して1～2年で10kg太ったからなぁ…
まぁ、元々が平均体重-10kgだったので標準に戻っただけなんですが、
それでも最近は加齢と運動不足による贅肉問題はよく判りますよ。
とはいえ10代女子の脇腹をおもむろにつまむ気持ちは判りませんが。
いや、許されるならつまみたいけども！
つまむらけじゃなくて色々したいけども！

それにしても室見さんはカロリー計算もサクっとできたりと、
意外と女の子してるんだなぁ、と失礼ながら思ってしまいました。
室見さん…　可愛いじゃないか…！
オチには戦慄しちゃったけどね！（笑

この作品は仕事が忙しい時に読んだらストレスがマッハなので、
本業が多忙だったこの3ヶ月間積んでたのですが、
やっと定時帰りが見えてきた今月から読み進めて読破しました。
うん…　やっぱり仕事のストレスが溜まった時に読まなくて良かった…！

スルガシステムが新卒の新入社員を大量に獲った上に、
採用を決めたのはいつもの人事ではなく問題児のあの社長！
もちろん現場側は受け入れ体制を取れてない上に、
新人たちも甘えが抜けてない子が多く、
更にプライベート重視な茶山さんや意識高い系（笑）な箱崎くんといった、
問題を起こしてばかりの子がいて…

私の場合、ここ数年関わる新人は優秀な子ばかりですが、
昔は工業大学出身なのにオームの法則を理解出来てない新人がいて苦労したなぁ…
とかそんなことを思い出しましたね！
電子回路を扱う部署志望でオームの法則がわからないとか致命的にすぎるんですが、
ある意味それ以上に大変な思いをしている桜坂には同情を禁じえません。
そりゃあんなこと言われたら桜坂だって怒鳴っちゃうよ…

でも気持ちが桜坂寄りだったからこそ、橋本課長の一言で冷水を浴びせられました。
長い間中堅社員として後輩を指導する立場だったからこそ忘れていた新人時代の気持ち。
自分は○○をやりたいしそう主張しているのに割り振られるのは△△の仕事ばかりで…
更に新しい仕事を与えられても茶山たちみたいに先輩からの仕事内容の説明はなく、
資料のアドレスだけ渡されて勝手に自習してこい、という自主性任せな教育方針。
勉強しても意味不明な専門用語ばかりで退屈な客先相手の会議で眠気と戦ったりと、
新人時代の記憶をポロポロと思い出して来ましたよ。
でも当時の自分を思い返すと恥ずかしい失敗も色々と思い出しちゃいますね。
そして改めて桜坂は凄いと思いました。
私は1年目であそこまで出来なかったな…

それにしても今回は橋本課長のヒロイン度が高かったなぁ。
まさか猫耳までつけてくるとか、ギャップ萌えが半端無かった！
梢さんは牽制してあんなことを吹き込んだんでしょうけど、
結果として裏目に出てしまった感がプンプンとしますね！
梢さんは外堀を埋めるのに余念がないみたいだけど、
これは橋本課長に掻っ攫われる可能性もあるかも！？

というか室見さんの出番が少なかったですね。
良いところを持って行くのはメインヒロインの面目躍如ですが、
やはり室見さんの出番がもう少し欲しいところですね。

あ、余談ですがオームの法則が理解出来てない新人くんですが、
2年目で別の部署に転属して元気にしてました。
やっぱり適性ってのは大事ですね。
今は別会社に行っちゃったので現状はわからないのですが、
元気にやってくれてればと思います。

室見さんのバストは60台…
こ、これはあの如月千早を超える逸材なのでは…！？

そんな驚愕な事実が判明する短編集な10巻も凄かったけど、
11巻から12巻にかけての室見さんの生い立ち編も驚愕でした。
確かに上司にしては見た目が若すぎるとは思っていたけど、
マジでそのまんまだったとは…
まぁ、それにしても幼児体型がすぎるけども。

10巻表紙の梢さんのおっぱいも凄かったけど、
カラーピンナップの室見さん（全裸湯気付き）のおっぱいも逆の意味で凄かった。
珍しく昨今のラノベらしいお色気要素があったと思ったら、
しっかりとブラック企業の悲哀を入れてくるあたりが「なれる！SE」だな、と。
客先からの携帯への呼び出しとか、時代は便利になりすぎたんや…！

11巻ではついに管理職にまでなってしまった桜坂だけど、
立場が変わることによって見えてくることが違うというのが興味深いですね。
自分が客先常駐であれだけ煮え湯を飲まされた大濠と、
まったく同じ事を言っていると気付いた時の桜坂のショックはいかばかりか…
まぁ、そこに至るまでのバックボーンが全く違っているのはせめてもの救いですけどね。
全体の収支まできっちり気を配った上で、
部下からの信頼を勝ち取らないといけないとか管理職も大変だわ、ホント。

そして12巻の展開ですが…
これは今までとは毛色が違った内容でしたが、
室見さんがいないとやはり仕事が回らないな、と痛感した次第です。
やっぱり室見さんはスーパーエンジニアやったんや…！

しかし桜坂の女ったらしっぷりが凄い。
本人は室見さんも真っ青な仕事馬鹿なあたりが更にたちが悪いよなぁ…
本人はカモメさん一筋らしいけど…
フラグだけは色んな女性にバリバリ立ってるだけに、
社会人としてどうけじめを付けるのか気になるところです。

7巻は今までのシリーズの中でも特に異質でしたが、
これを1巻に持ってこようとしてたという裏話には驚愕しましたね。
もしこのエピソードが1巻だったら、私は間違いなく2巻以降買ってないですよ。
それくらい狂気に満ちた酷いストーリーでした。

赤字プロジェクトへの客先常駐という名の現代の奴隷。
客先でのリーダーである大濠のクソさがひどかったですし、
その大濠をやり込めた上で撤退できても、
その裏側の政治の真実を知った時の胸くそ悪さ。
正直、これはキツかったなぁ…
序盤に大手企業にウキウキしていた桜坂を見ていただけにギャップがひどかった…

8巻は案件を防衛するという今までとは逆の立場になった上に、
桜坂のライバルとなる次郎丸縁が良いキャラだったので普通に楽しめましたね。
ちなみに次郎丸のキャラに一番魅力を感じたのは、
桜坂たちに完敗して非常階段で悔し涙を流していたところです。

それとJT&Wの梅林さんが予想以上に良いキャラになってて笑いました。（笑
3巻で出た時はホント嫌な人って感じだったんですが、
まさかここまで味のあるキャラになるとはなぁ…
桜坂に負けたのが良い薬になったということでしょうか。

9巻のサービス開発ですが…
これはもう、新人の職掌を超えすぎにも程があるな、と。（笑
それでも何とかやっちゃうのが桜坂だな！　と。
流石に9巻までくると安心感が生まれて、
実際にそれをやり遂げちゃうあたり凄かったです。

この9巻では新ヒロインは出てこなかったけど、
ばんざいする室見さんが可愛かったり、
梢さんの出番が多目だったりで満足度も高かったです。
最後にパクリ企業をやり込める展開もスカッとしましたしね。
これは素直に楽しめましたね！