僕の心のヤバイやつ (10) 特装版 4月8日発売!
夏! 海! 青春!
:: 2021/8/14 土曜日::

■[ラノベ]末永くお幸せに「君に恋をするなんて、ありえないはずだった 課外授業は終わらない」

まさか短編集が出るとは思わなかったんですが、
「君に恋をするなんて、ありえないはずだった」の最新作です。
Web版にはあった卒業打ち上げでのモブ女子視点の短編から、
イケメンの木村くんや飯島姉の視点での短編まで色々と収録されています。

スピンオフのヒロインである久美子と恵麻の出会いの話もありましたが、
小学生の頃の恵麻はとても少女だなって感じがして可愛かったですね。
この頃から美少女だったけど、誤解されやすい恵麻の本質的なところを知り、
中学生にいたるまで支えてあげてた久美子は良い友達なんだな、と思いました。

それと飯島と恵麻がまだ付き合ってない時点の短編「Zipper」は、
飯島の何気ない一言で胸キュンしてしまって、
赤面してうつむいてしまう恵麻がとても可愛かったです。
付き合ってからの恵麻も可愛いけれど、
やはり付き合う前の、あまのじゃくな頃の恵麻は独特の良さがありますよね。

二人が付き合ってからの短編も幾つか収録されてましたけど、
遠距離恋愛ながら二人のペースで付き合ってて微笑ましかったです。
会いたいから夜行バスで会いに行くとか、若さ故の行動力だよなぁ…
趣味のことも含めて、お互いのことを考えて距離感をちゃんとたもってるのを見ると、
二人はこのまま結婚しそうだな、と感じます。
末永く幸せになって欲しいです。

:: 2021/4/28 水曜日::

■[ラノベ]恋だったり青春だったり「赤くない糸で結ばれている」

赤くない糸で結ばれている赤くない糸で結ばれている
出版社:KADOKAWA
作者名:筏田かつら
作者twitter:筏田かつらさん(@ysk1120e) / Twitter
絵師名:山中ヒコ
絵師twitter:山中ヒコさん(@hicoyama) / Twitter
紙書籍通販:赤くない糸で結ばれている
DMM電子書籍:赤くない糸で結ばれている

筏田かつらさんの新作ですが、今回は短編集です。
短編ですが、登場人物は少しずつリンクしているので、
連作短編って感じですね。
内容は恋模様が多めですが、それ以外もあります。

とはいえ、どの恋模様も幸せかというとそういうわけではなく…
恋に落ちてしまってからのトキメキ具合とか、
どうしても気になってしまって暴走する感情とか、
そういった描写はとても上手くて流石なんですが、
恋したからってすぐ結ばれるとは限らないんですよね…

しかし「そんなアイツに騙されて」に関しては、
その… こういっちゃなんだけど、オチが読めすぎたというか何というか…
見事にヤリチンくんに翻弄されてるのが読者には分かりきっていたので、
何というか切ないというか虚しいというか…
でも、恋してからのトキメキ具合は胸キュンなだけに切なかったですね…

切ないと言えば「栞のテーマ」が切なかったです。
アンテナの意味を素直に感じていれば。
あの時に別の本を薦めていれば。
店がもっと繁盛していれば。
そういったifを感じてしまい、切なさが半端なかったですね…
最後に話しかけられなかったのが特に…

:: 2020/6/24 水曜日::

■[ラノベ]少年少女の淡い青春物語「大嫌いな君に、サヨナラ」

大嫌いな君に、サヨナラ大嫌いな君に、サヨナラ
出版社:PHP研究所
作者名:筏田かつら
作者twitter:筏田かつらさん (@ysk1120e) / Twitter
DMM通販:大嫌いな君に、サヨナラ

筏田かつらさんの新作ですが、名義が「いかだかつら」と平仮名になってますね。
主要人物が小学六年生だし、児童向けの作品だからでしょうか。
それにしても本屋を何件巡っても置いてないしAmazonも送料かかる所しかなかったので、
結局ヨドバシ通販で購入してやっと読んだ次第です。
児童向けだからなのか電子書籍版がないのがちょっと不便でした。

主人公の末長嵐は瀬戸内海を望む愛媛県肱川沿いの田舎町に住む小学六年生。
ちょっと怒りっぽいけど優しいところもある、ちょっと身長の低さが気になる男の子。
5歳の時に海外の交通事故で亡くなった父の月命日の墓参りに行って出会った、
東京から来た転校生の都波かれんとの衝突しまくりの日々の物語です。

舞台が肱川の河口近くということは伊予長浜のあたりですね。
平成の大合併の前ということは2005年以前なので今から20年前くらいでしょうか。
私は松山出身ですが南予方面にはそれほど行く機会はなかったですが、
それでも何度か行ったことがあるので大体の地理はわかります。
ちなみに数日後に新刊が出る「熱帯魚は恋に焦がれる」の舞台もほぼ同じ場所です。

作中に出てきた赤い橋もこの作品でも出てきますので、
舞台が気になった人は読んでみると良いかもしれません。

それと愛媛出身者だと色々とわかる箇所がありましたね。
西日本だと多いらしい学校の標準服の存在とか、
四国山地から吹き下ろす風が強いので、風に強い里芋を作る農家が多いとか。
流石に読みやすくするためか方言は少なめでしたけど。
(実際の長浜のあたりは結構方言が強かった憶えがあります…)

嵐くんとかれんちゃんの衝突っぷりも小学生らしい青臭さでゾクゾクしちゃいましたね。
自分が素直なのと経験値が少ないため言葉の裏を読むことができない嵐くんと、
度重なる転校で傷つきやすくなってるかれんちゃんのツンデレっぷりが、
上手いこと噛み合わなくなってすれ違ってしまうところはモヤモヤしましたが、
それ故に、最後のシーンはグッとくるモノがありましたよ。
うーん、このカタルシスを感じるのが物語の醍醐味だよなぁ。

あと、地味に良いと思ったのは嵐くんの幼馴染みの文人くんですね。
嵐くんにとっての一番の幼馴染みなんだけど、優しいだけの少年ではなく、
見栄を張ることがあるし、独善的なところもあるところが、
とても人間らしく、子供らしくて可愛かったです。
そんな文人くんを責めるのではなく、受け止めることができる嵐くんはイケメンやで…

私のリアルの幼馴染みは数ヶ月だけ一緒だった転校生と20年以上経っても未だにメールで連絡取り合ってるので、
嵐くんはとてもいい子だし、インターネット環境も整ったので、
かれんちゃんとメル友になっていつか会いに行ってくれても良いと思うんだ…!

:: 2019/2/21 木曜日::

■[ラノベ]ロマンチストな草食系男子の恋「ヘタレな僕はNOと言えない 公僕と暴君」

君に恋をするなんて、ありえないはずだった」の筏田かつらさんの新作です。
今回の主人公は学生ではなく社会人男性ですが、
他の作品と同様に胸を締め付けてくるようなドキドキ感が半端なくて、
とても面白い作品になっています。

イケメンだけど幼少期のトラウマから女性が苦手で年齢=彼女いない歴の桜田浩己。
生真面目で誠実かつ積極性のない性格から適性のある地方公務員となったけれど、
勤続4年目に配属された部署では前任者の適当な引き継ぎのせいで色々大変な目に遭うことに…
特に大変なのは凄腕の女家具職人の高山彬に仕事を受けてもらうために、
掃除や家事に猫の出産から子猫の世話まで引き受けることになって…

元々筏田かつらさんの作品は主人公に感情移入しやすい作風ですが、
この作品では格別なまでに感情移入してしまいました。
浩己の草食系男子らしい繊細な心の描写がすこぶる上手いんですよ。
例えば

「もっと自信を持て」って、無茶を言うな。二十五年間誰にも愛し愛されもしなかった実力を舐めないでほしい。
経験が少ない→自信がない→あれこれ考えて二の足を踏む→チャンスを逃す→経験が足りなくなる→自信がますますなくなる……これの無限ループだ。自分だってもっとスマートに振る舞えればどんなにいいかって想ってきたし、実際そのとおりだ。

とか、私の心に流れるように入ってきて染み渡りました。
あぁ、浩己は本当に恋人がいたことなかったんだな、と。
読んでてもの凄く納得したし共感できました。

そういったセンシティブな心の機微を描き出すのが上手いだけに、
浩己が彬に恋に落ちた時はとても心がトキメいたなぁ。
かつて自分が恋した時の気持ちを思い出せるくらいに、
浩己の気持ちに共感し、理解することができました。

それだけに彬が居なくなった時の喪失感が半端なかったです。
彬のことが忘れられず、他の女性と付き合うこともせず、
健気に彬との縁を大切にして、誠実に過ごしているのは、
傍目には馬鹿だと映るかもしれませんが、
とても浩己らしくて好感が持てました。

何しろ浩己は初恋の人に再会したいから勤務先を選んだくらいのロマンチストですからね。
そう簡単に切り替えられるはずがないんですよ。
だからこそ、最後の1行を読むまでハラハラしっぱなしでした。

今までの筏田かつらさんの作品が好きなら読むべき作品です。
注意点があるとすれば、
読んでて心が揺さぶられっぱなしになるので、
心が落ち着いている時に読むべし、というくらいですね。
それくらい面白いです。
オススメです。

:: 2018/3/18 日曜日::

■[ラノベ]ラブコメとお邪魔虫「君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった」

君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった
出版社:宝島社
作者名:筏田かつら
作者サイト:筏田
作者twitter:筏田かつら (@ysk1120e) on Twitter
絵師名:U35
絵師サイト:amaon
絵師twitter:U35(うみこ) (@umiko35) on Twitter

君に恋をするなんて、ありえないはずだった」のスピンオフ作品なんですが、
あれほど見事に終わった作品のスピンオフとか蛇足にならないかな…?
と、読む前は心配だったんですが見事杞憂に終わりました。
これはこれでとても良いモノだ…!

北岡恵麻の中学時代の友達で飯島靖貴と同じバンドが好きだった磯貝久美子。
彼女は広島の大学に進学し、そこで偶然幼馴染みの米倉奈央矢と再会する。
久美子を巡る奈央矢とイケメン医学生の滝沢冬吾の恋愛模様に、
奈央矢の先輩である柏原玲二は否応なしに巻き込まれて…

この物語の主人公は意外かもしれませんがラブコメのお邪魔虫ポジションの玲二です。
久美子との出会いも最悪だし、奈央矢の応援するつもりが邪魔になってるし、
お人好しなんだけど不運体質で自転車盗られるわ、妹に押しかけられるわ、
バイトはクビになるわ、周りに誤解されるわで同情&共感の嵐ですよ。

そんな玲二だからこそ幸せになって欲しいという気持ちが強かったなぁ。
小悪魔的な奈央矢に振り回されながらも応援して、
意外と苦労人で努力家な滝沢のピュアな恋心を嫌いになれなくて、
金銭的に余裕がないのに妹の夢のために大枚をはたいて応援して…
ホント、これで報われないと悲しすぎだもんね。

まぁ、確かに空気読めないというか鈍いところは何だかなぁ、と思いましたけど。(笑
元カノとの間にあった誤解の原因に気付かないとかお人好しすぎるし、
サークル仲間のまっさんの想いにも全く気付かないとか鈍感すぎるし、
久美子の日本酒のお土産にも気付かないわ、恋心にも気付かないわ、
もう、色々と残念なところがあったんだけど、そこもまた魅力なんだよなぁ。

久美子視点でのエピローグも実に良かったですね。
玲二の良い所にきちんと気付いてあげてくれてて、
ちゃんと支えてくれそうだし、良いカップルになれると思いますよ。
最後の幸せそうな二人の笑顔は凄く癒されました。

あ、ちなみに前作のヒロインである恵麻もちょい役で出番があるので、
前作ファン的にも嬉しかったです。
うん、良いスピンオフでした!

:: 2017/7/9 日曜日::

■[ラノベ]恋の旋律「君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業」

地味系眼鏡男子の飯島靖貴とハデ系意地っぱり女子の北岡恵麻。
接点がないはずの二人は、高校三年生の夏休みの合宿で飯島が恵麻を助けたことで接触を持ち始め、
少しずつ、不器用ながらも二人の仲は近付き、心を触れ合わせていく…
しかし、お互いが自分の恋心を自覚し始めた頃に、
恵麻が友人同士の売り言葉に買い言葉であまのじゃくな本心ではない飯島の悪口を言ってしまう。
しかも間の悪いことに偶然それを飯島が聞いてしまって…

最高だった…!

元々Web版で読んでいたんだけど、それでも感動に打ち震えてしまいました…!
お互い想い合っているのにすれ違ってしまうもどかしさ。
勇気がなくて自分に素直になれなかったがために嫌われてしまったと感じた絶望感。
まだ挽回が可能だと思ってた時に見てしまった可愛い後輩と一緒にいる衝撃。
最後のチャンスだったのに素直になれなくて流す後悔の涙。
そして、飯島くんが一歩踏み出してくれたから素直になれての涙…

もうね、恵麻ちゃんが可愛くて可愛くて…!
それに飯島くんも魅力的で最高に素晴らしかった…!
これぞ、青春。
これぞ、恋愛…!
青春恋愛小説の傑作と言って過言ではないですよ…!

読んでると自分が高校生だった頃に戻り、心の機微までも追体験してしまうんですよ。
恋の心の痛さ、自分では制御できない心の浮遊感。
恋の、どうしようもないほどの切なさ…!
そういった心の動きがどうしようもなく共感してしまうんですよ!

「とらドラ!」みたいな竹宮ゆゆこ作品が好きな人には刺さる作品だと思います。
読んだ人に「元々は小説家になろうのWeb小説だよ」と言っても信じられないと思います。
どこにでもある普通の青春時代の恋愛だからこそ共感でき、
どこにでもあるけれど、二人だけの恋愛だから特別に感じる素晴らしさがここにあるのです…!

ちなみにWeb版にはその他モブ視点のエピローグがありますが、
この書籍版には飯島くんと恵麻ちゃん視点のエピローグがあるのです…!
それがもうね、ヤバいくらいにトロける素晴らしいものなので、
Web版を読んでいる人は是非とも買って読んで欲しいですね…!
このエピローグはヤバいぞ…!

HTML convert time: 0.123 sec. Powered by WordPress