僕の心のヤバイやつ (10) 特装版 4月8日発売!
夏! 海! 青春!
:: 2021/4/28 水曜日::

■[ラノベ]恋だったり青春だったり「赤くない糸で結ばれている」

赤くない糸で結ばれている赤くない糸で結ばれている
出版社:KADOKAWA
作者名:筏田かつら
作者twitter:筏田かつらさん(@ysk1120e) / Twitter
絵師名:山中ヒコ
絵師twitter:山中ヒコさん(@hicoyama) / Twitter
紙書籍通販:赤くない糸で結ばれている
DMM電子書籍:赤くない糸で結ばれている

筏田かつらさんの新作ですが、今回は短編集です。
短編ですが、登場人物は少しずつリンクしているので、
連作短編って感じですね。
内容は恋模様が多めですが、それ以外もあります。

とはいえ、どの恋模様も幸せかというとそういうわけではなく…
恋に落ちてしまってからのトキメキ具合とか、
どうしても気になってしまって暴走する感情とか、
そういった描写はとても上手くて流石なんですが、
恋したからってすぐ結ばれるとは限らないんですよね…

しかし「そんなアイツに騙されて」に関しては、
その… こういっちゃなんだけど、オチが読めすぎたというか何というか…
見事にヤリチンくんに翻弄されてるのが読者には分かりきっていたので、
何というか切ないというか虚しいというか…
でも、恋してからのトキメキ具合は胸キュンなだけに切なかったですね…

切ないと言えば「栞のテーマ」が切なかったです。
アンテナの意味を素直に感じていれば。
あの時に別の本を薦めていれば。
店がもっと繁盛していれば。
そういったifを感じてしまい、切なさが半端なかったですね…
最後に話しかけられなかったのが特に…

:: 2019/8/16 金曜日::

■[ラノベ]セカイ系青春エロゲのグッドエンドルート「小説 天気の子」

小説 天気の子小説 天気の子
出版社:KADOKAWA
作者名:新海誠
作者twitter:新海誠 (@shinkaimakoto) | Twitter
Kindle版:小説 天気の子
DMM電子書籍:小説 天気の子

映画版「天気の子」の新海誠監督本人によるノベライズです。
映画の内容を補完するような内容が多くありますので、
映画を楽しんだ人にこそ読んで欲しいです。
そして、まだ映画を観ていない人は先に観てからこの小説を読むことをオススメします。

映画版「天気の子」は公開初日に観に行きましたが、
一回だけじゃ足らなくて二回目はIMAXで堪能してきました。
2000年前後にエロゲを嗜んでいた身としては、
随所に選択肢が幻視できる作りに興奮させられましたし、
空撮するかのように描写された東京の景色に魅せられたりと、
とても面白かったです。

以下映画のネタバレを含みます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まず思ったのは「セカイ系青春エロゲのグッドエンドルートのようだ…」です。
Trueルートは「イリヤの空 UFOの夏」のように陽菜が人柱となって消えるルートであり、
この天気の子における陽菜生存ルートはグッドエンドルートだと思うのです。
FateのUBWでもセイバー生存ルートはグッドエンドでしたしね。

帆高が世界の在り方なんかよりも陽菜を選んだのはよく分かるんですよ。
上京して東京のシステムとそれに順応する大人たちの冷たさと汚さに散々打ちのめされる中、
唯一無償で優しくしてくれたのが陽菜なんだもの。
そりゃあ、恋しない方がおかしいでしょう。
冷たい大人たちの世界なんかよりも、陽菜を選ぶのはむしろ当たり前ですよ。

須賀さんは一応優しくしてくれた大人なんだけど、
初対面の時に飯をタカられたのが悪かったし、
何より追い出されたことが響いてしまって、
廃ビルでのあの対峙となったんでしょう。
最後には帆高の「(好きな人に)会いたいんだ!」という想いに自分自身を重ね合わせたことで、
助けてくれたんだろうけど…
うーん、夏美さんルートだったらまた一味違ったのかもしれない。

で、夏美さんですが…
良いキャラですよね…
帆高が初めて恋した相手が陽菜だとすると、
帆高が初めて性的に見た相手は夏美さんでしょう。
身近にいる年上の美人の女性だもん、当然だよね。

これがエロゲなら夏美さんルートが間違いなくあったと思うんですよ。
そのルート分岐は陽菜をスカウトマンから助けるかどうか、
溶ける水の魚の動画を見た時のセリフの選択肢を間違えないかどうか、
あたりがフラグを立てるところじゃないかな、と思うわけです。
夏美さんルートだと陽菜と一緒に仕事を始めずに、
就活をする夏美さんに「一緒に仕事をしたいんだ!」と告ったりするんじゃないかな!
とか、まぁ、色々と思っちゃいますね。
その気持ちは小説版を読むと尚強くなりました。

凪くんは全年齢版になって追加されたキャラなので、
18禁版では陽菜と池袋のラブホに入って指輪からの初エッチがあるに違いないんですよ。
そしてパトカーの中で陽菜の年齢が明らかになるシーンもないんですよ。
だってエロゲには18歳未満の女の子は出ないんだからね、お兄ちゃん!

パトカーと言えば高井刑事はどうしても物語の中では悪役みたいに描かれてましたが、
ラストの銃を突きつけ合うシーンでの「撃たせないでくれよ」
で「あぁ、職務に忠実なだけで悪い奴じゃないんだ」と腑に落ちたというか、納得しましたね。
ただ、帆高にとっての優先順位が「陽菜と一緒にいること>>>>拳銃」なのを見抜けなかったので、
帆高を探すのに「家出少年」という目的を使ったことと、
陽菜を探しに行くことを冷酷に却下したのが悪かったんだなぁ、と。

ただ、小説版を読むとちゃんと銃刀法違反について説明はしてるんですよね…
でも高圧的なところはそのままなので、
そこが思春期真っ盛りの帆高には引っかかったのか…
いや、そもそもリーゼントとポンパドールが悪かったような気がする…

これが安井刑事なら経験の差でもう少し何とかなったのでは…
とは思いますが、それは意味のないifでしょう。

ちなみに小説版では描写が丁寧なところがあって、
それは夏美さんが大学4年の夏休みまでモラトリアムを満喫していたことだったり、
夏美さんがエリート家系の実家と折り合いが悪かったりですね。

それと映画版視聴時点で察していたことに確信が持てるところもありました。
須賀さんが帆高に会社スマホを貸し出してるからGPSで居場所がわかることだったり、
冒頭で帆高が絆創膏してるのは親子喧嘩だったことだったり、
瀧くんと三葉が結婚していたことだったりですね。

映画版、小説版、どちらも素晴らしいエンターテインメントしていました。
「イリヤの空 UFOの夏」完結時に感じたやるせなさが、
20年近く経ってやっと解消されたような気がします。
そう、もう、きっと大丈夫だ。

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