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:: 2017/4/16 日曜日::

■[漫画]芥川賞、直木賞、マンガ大賞「響 ~小説家になる方法~」6巻

響 〜小説家になる方法〜2巻響 〜小説家になる方法〜2巻
出版社:小学館
作者名:柳本光晴
作者サイト:TTT
Kindle版:響 ~小説家になる方法~ (6)
Kindle版まとめ買い:響 ~小説家になる方法~

15歳にして芥川賞と直木賞をW受賞した響。
しかしその授賞式で案の定トラブルを起こしてしまう。
顔を隠したままとはいえその騒動に世間は騒然とするが、
当の響は平然として二年生に進級し…

作中で響が芥川賞と直木賞をW受賞したと思ったら、
この漫画そのものがマンガ大賞2017を受賞しましたよ!
いやー、あのミハルさんがここまでビッグになるとは…
ちなみに私とミハルさんの関係とかは↓の記事にまとめたので参照願います。

マンガ大賞2017受賞「響 ~小説家になる方法~」作者の柳本光晴さんこと同人サークルTTTのミハルさんについての思い出とか – フラン☆Skin はてな支店

それにしても面白い!
響の父親が初登場しましたけど確かに響の親だなぁ、というのが伝わってきましたね。
いや、それ以上に二年生になった響の変化のなさが凄い。
新入生もヤンキー志望だけどぶっ飛び切れてないヘタレだったり、
中々にキレてるけど、響ほどにはキレてないおかっぱちゃんだったり、
濃い子たちがいるんだけど、それでも響は異彩を放っているままというね!
そこが面白いんだけど。

ただ、そんな天才性を発揮する響だけど、凡才には弱いといか…
周囲の天才や秀才を、その圧倒的な才能で振り回す響だけど、
花代子にだけは振り回されるところが面白いんですよね。
屋上で見せた響の顔、見たことなかったよ…(笑

それにしてもまさかあの時のあの原稿がこんな風に使われるとはなぁ…
ちゃんと伏線だったとは…
しかも昭和の頃はよく見たあのフレーズが使われるとは…!
もう、本当に面白いなぁ、響は!
7巻も楽しみです!

:: 2016/12/10 土曜日::

■[漫画]正面からぶつかってくる才能「響 ~小説家になる方法~」5巻

響~小説家になる方法~ 5 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2016-11-30 )

作者サイト:TTT
Kindle版:響~小説家になる方法~ (5)
Kindle版まとめ買い:響~小説家になる方法~

自作への辛辣な批評をする響を拒絶してしまった凛夏。
芥川賞という一縷の望みを持つ彼女に訪れた現実は、
響の「お伽の庭」の芥川賞と直木賞ダブルノミネートという苛酷なモノだった。
更に打ちのめされる凛夏の元に響がやってきて…

いやー、響さん容赦ないっすね!
うん、分かってはいたんですけどね!
響の凄い所は真っ正面からぶつかっていくところですよね。
凛夏はそれが出来ずに作品が迷走してしまったし、
普通の人はそれが出来ないか、あるいは回避してばかりなんだけど、
響は躊躇しないんだよなぁ…
だから格好良く思えるんだけど。

マスゴミへの対応も躊躇せずに真っ正面から受けて立っちゃうから、
編集の花井さんは心労で大変そうというか…
まさかパパラッチ相手にストーカーかまして、
その子供の写真を持って脅迫とかイっちゃってるよね。
でも、一番イっちゃってるのはイケメン幼馴染みだと思うけど。
君、どこからつけてたの…?
GPSでも仕込んでるの?

正直、響の才能が圧倒的すぎて凛夏も打ちのめされて、
それでも立ち上がった所は凄いと素直に思えたんだけど…
花代子ちゃんの打たれ強さというか、
凡人故の感性には笑わされましたね。
花代子ちゃんは癒し成分だよなぁ…

花代子ちゃんだけでなく、パパラッチ野郎とか、
凡才の凡才らしさだったり、
凛夏ちゃんみたいな人並み以上の才能がある人の苦悩だったり、
そういったモノが共感を生み出せるくらいに丁寧に描かれているから、
響という天才性が際立っているのかな、と思います。

それにしても作者のミハルさんは文芸作品ほっとんど読まないのに、
妙に心にくる台詞をぶっ込んでくるから油断できないですよ。
「人間煮詰まると、手の届くトコに、簡単に正解作っちまう」
とか
「ただ小説でメシが食いたいだけなんだけどな…」
とか、何でもない台詞なんだけど妙に心に響いてくるというか…

ちなみに一番笑わせられた台詞は花代子ちゃんの
「ハイ! ウィキペディアとかで。」と「これパクッてもいい!?」です。
やはりこの漫画は花代子ちゃんが最強だと思う。(笑

:: 2016/7/3 日曜日::

■[漫画]天才に翻弄される人々「響 ~小説家になる方法~」4巻

響~小説家になる方法~ 4 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2016-06-30 )

作者サイト:TTT
Kindle版:響~小説家になる方法~ (4)
Kindle版まとめ買い:響~小説家になる方法~

自尊心が肥大し鬱屈した独りよがりの文学ワナビ田中康平。
くすぶり続ける自分に疑問を持っているちょうどその時に新人賞受賞の連絡を受ける。
ついに才能が認められて文壇デビューができると内心興奮しながら、
文芸誌「木蓮」新人賞授賞式に赴いたらそこにはもう一人の受賞者という、
ピンクのゴスロリに金髪ウィッグという頭のイカレタ15歳の少女、響がいて…

圧倒的な才能は本人の自覚なく、否が応でも周囲に影響を及ぼしてしまう…
今回の犠牲者は人生の転機となるはずだった新人賞授賞式にて、
響にパイプ椅子でフルボッコにされた田中くんです。
見た目と年齢で勝手に判断して喧嘩を売った自業自得とはいえちょっと可哀想でしたが、
本当に悲惨なのは響という規格外の天才と同じ賞を受賞してしまったことでしょう。
今後の作家人生で比較対象にされるかと思うと不憫…

それにしても田中くんのワナビっぷりが凄いですね。
もうこれでもかというほどに独りよがりで観察眼がなくて、
自己中心的なところが如何にもワナビっぽくて読んでてゾワゾワしますよ。
むしろ典型的すぎて田中くんの言動が理解できるからこそ、
響の特異性が際立つんでしょうね。

そして田中くんと同じと言ったら失礼にあたるんだけど、
響と対比せざるを得ないのが華々しくデビューした凛夏。
日本文学会の巨匠の娘という最高の環境とたゆまぬ努力と人並み以上の才能。
それらを全て兼ね備えていながら響の影響からは逃れることができず、
ついには人当たりの良い女子高生の仮面を脱ぎ捨ててしまうあたり、
メンタル的な意味で心配ですよね…

しかし響は何というか生き方が格好良いというか眩しいよなぁ。
建前なんてなくて、本音でしか生きてないって感じが凄い。
そんな響を丸ごと受け止める涼太郎のキモさも中々だったけど、
扱いになれてきた隆也や普通に友達できてる花代子ちゃんを見てると、
響も15歳の女の子なんだなって感じがします。

でもその文才は圧倒的すぎるんだよなぁ…
ホント今後どうなるんだろう…

:: 2015/8/3 月曜日::

■[漫画]峻烈にして苛烈にして激烈な天才「響 ~小説家になる方法~」2巻

響~小説家になる方法~ 2 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2015-07-30 )
作者サイト:TTT

Kindle版:響 ~小説家になる方法~ (1)

最近では芸人が芥川賞を取ったことで注目度が上がった純文学の世界ですが、
売れない小説家は本当に厳しいという話はよく聞きます。
この作品はそんな厳しい純文学の世界に革命を起こせる天才、鮎食響の物語です。

この2巻で一番印象的な話はどれかというと、
やはりアラサー小説家の中原愛佳さんのエピソードですね。
純文学が好きで学生の頃から書いてきて、何とかプロになるも売れなくて。
同世代が子育てをしていることに焦りを見せてしまうところはとてもリアルです。
それでも今まで頑張ってきた努力を無駄にしたくなくて、
「小説家」というものにしがみついてしまう、下手に才能があるが故の悲劇。
こういったことは小説家に限らずあるんでしょうけど、
衰退している純文学の世界だとより一層の世知辛さがあってキツイですよね…

そんな中原さんが図書館で文芸部の部誌に響が書いた短編を読んでしまったがために、
歴然とした才能の差を感じてしまい、スッパリと小説家を諦め、
そして諦めてからの人生が幸せだったというところも更にツラい…

あるいは中原さんにとっては幸せな出会いだったのかも知れません。
その後の人生を幸せに過ごすことができたし、
何より自分に引導を渡す圧倒的な天才が自分の作品を知ってくれていて、
読んでくれていて、ファンでいてくれたんですから。
小説家である自分を肯定された感動と、
小説家としての才能の差を知った絶望。
それをもたらす響の自覚なき圧倒的な天才性がすさまじく面白いです。

そしてその天才性の理由に血筋が全く関係ないのが、
先輩であるリカにとってよりツラいものになっているのがなぁ…
この2巻ではリカがもう一人の主人公のように思えましたね。
彼女は自信を持つだけの文才もあるし、そのバックボーンもある。
後輩たちの前では自信満々のように見せているけれど、
編集のふみちゃんの前ではチョロいところがあったりと、
まだまだ子供らしさが抜けないところも可愛いと思います。

しかしなぁ… リカが第二の中原愛佳にならないとは限らないんだよなぁ。
響が意外とリカに友情を感じているっぽいので、
今後どうなるのかが読めないのもまた焦燥感を煽りますね。
ホントどうなってしまうんだろう。

それとリカの父親の件とかは早めに気付いてました。
伊達にミハルさんの漫画を同人誌の頃から読んでないですよ!
ただ、ふみちゃんと花代子ちゃんの件は引っかかりました。
いやー、うん… ふみちゃんインパクトあるわー…
そりゃ響も爆笑するってなもんだわなぁ。
ふみちゃんの今後のコスプレにも期待ですね!(笑

:: 2015/2/27 金曜日::

■[漫画]純文学に革命を起こす少女の物語「響 ~小説家になる方法~」1巻

響~小説家になる方法~ 1 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2015-02-27 )

作者サイト:TTT

「女の子が死ぬ話」「きっと可愛い女の子だから」を描いた柳本光晴さんの新作がこの「響 ~小説家になる方法~」です。
柳本光晴さん、もといミハルさんにとって初めての長期連載作なんですが、
連載場所がビッグコミックスペリオールというから意外です。
ラブコメが得意なミハルさんにスペリオールみたいなおっさん雑誌が合うのか不安だったんですが、
蓋を開けてみたら、これ以上ないくらいにスペリオールに合った作品でした。

出版不況が叫ばれる中、圧倒的に売れていないジャンル”純文”
その編集部の新人賞宛に投稿されるも直筆不可なので捨てられていた直筆原稿。
それに目を留めた女性編集部員の花井はその面白さに愕然としてしまう。
太宰以来の革命を起こせる魅力があると確信できる原稿だったが、
連絡先すら書かれておらず、判るのは「鮎喰響」という作者名だけ。
そして、時を同じくして高校に進学したばかりの女子高生が、
文芸部室で不良に喧嘩を売られた直後に容赦呵責無く相手の指をへし折る事件が発生。

hibiki_novel01_01

その鮮烈にして独特の感性を持った少女の名前は鮎喰響と言い…

この漫画はいわゆる純文学を執筆する天才少女・鮎喰響の物語です。
ミハルさんが同人誌で描いていた「日菜子さん」シリーズもそうですが、
天才少女とイケメン男子を描かせたら半端ないですね。
確固たる信念が自分の中にある響の行動は一本芯が通っているんだけど、
常識的に見ると奇天烈というかキチガイのボーダーライン。
そんな彼女に惚れているイケメン男子の椿涼太郎は中身もイケメンで、
社交的であり、響にも真っ直ぐに好意を伝える姿は同性から見ても憧れます。

そんな涼太郎は響に普通の少女としての幸せの道を歩んで貰いたいけど、
響の圧倒的すぎる才能は編集部員からは文壇の革命を嘱望され、
文芸部の先輩で見た目はギャルだけど文学少女、文才もソコソコあるの凛夏の自信を、
木っ端微塵に粉砕するほどで…
うーん、涼太郎の望みが叶えられる未来が見えない…

とはいえ、確かに涼太郎の言う通り、響にも普通の女の子っぽい所があるんですよね。
同い年の子に「ダサい」と言われて地味に気にしてる所とか。

hibiki_novel01_02

そして涼太郎の素直すぎる言葉に照れて反射的に理不尽な事をしてしまう所とか。
他にも本屋で転んだ男の子を助け上げながら軽くお説教をしたりとか、
自分の作品が「面白い」と言われて素直(?)に喜んだりとかね。
そういった所が可愛いと思うし、涼太郎が惚れてる所なんでしょう。

それとミハルさんの作品に顕著な事なんですが、どのキャラクターも立ってるんですよ。
響と涼太郎だけではなく、先輩の凛夏に響に骨を折られた不良のタツヤ。
それに高校デビューに失敗したかよちゃんも個性が滲み出ているんですよ。
それは少ししか出番がない編集部の人間にも言えており、
そこは素直に凄いな、と毎回思わされます。

作中の響の作品みたいに漫画界に革命を起こせるかは判りませんが、
漫画が好きな人の多くには心に響くモノがあると思います。
色々な人に是非読んで欲しいです。

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