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:: 2011/12/15 木曜日::

■[ラノベ]生徒会予算8億円の生徒会会計「生徒会探偵キリカ」1巻

新しいレーベルとはいえ、竹井10日さんが竹井10日さんだったように、
「生徒会探偵キリカ」も杉井光さんらしい作品でした。

タイトルに探偵とありますが、ミステリー的な要素はほぼ皆無。
主題はむしろボーイミーツガールの青春モノです。
電撃文庫から出している似たシチュの「神様のメモ帳」から探偵要素をかなり差っ引いて、
その代わり主人公の周りの男成分を女成分に置き換えた形になっています。
「がをられ」といい、あざとい、流石講談社ハーレムラノベ文庫あざとい。

物語は何でもできる姉と比べられるのが嫌で寮制がある事以外下調べしなかった牧村ひかげが、
中高一貫の8000人という巨大学園、白樹台学園の高等部に編入することから始まります。
色々な思惑があって生徒会総務執行部に入ることになった牧村が、
一般生徒からライオンに例えられる生徒会長の天王寺狐徹(女性)や、
見た目と言動はお嬢様だけど腹黒で牧村姉弟大好きな副会長の竹内美園、
監査委員長の関西弁キャラの久米田郁乃に、
「他人の話は聞いているがぺしゃんこにする」中央議会議長の神林朱鷺子と、
濃すぎる面子の中で、8億円の予算を預かる生徒会会計にして、
会計室に引き篭っている生徒会探偵の聖橋キリカのお手伝いに任じられることに。

濃いキャラクターが次々と出てきて生徒会探偵として導入が「起」
キリカ生徒会会計と探偵としての仕事が垣間見え、牧村の詐欺師の才能が開花する「承」
キリカの父が理事として横槍を入れてきて事態が急変する「転」
そして牧村がトンデモナイ案を捻り出して濃いキャラが奮闘して強引に一件落着させる「結」
と、すらすら読みやすい構造になっていて、更に杉井光さんの文体らしく面白いです。
というか相変わらず主人公が詐欺師で女心に鈍くてツッコミ体質だよなぁ。(笑

作風的には同作者の「神様のメモ帳」と似通ってますが、
あちらより軽妙に出来ているので心がえぐられるような描写は(今のところ)少ないです。
キャラクターもおっさんや男率が低く見目麗しい女性ばかりなので、
杉井光作品初心者向けとも言えましょう。
創刊したばかりのレーベルですが、非常に手堅い作品だと思いますので、
読んで損はないと思いますので試しに読んで見ることをオススメします。

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