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終わるのは寂しいけれど、五条くんと海夢ちゃんのグランドフィナーレを見届けよう!
:: 2015/8/3 月曜日::

■[漫画]峻烈にして苛烈にして激烈な天才「響 ~小説家になる方法~」2巻

響~小説家になる方法~ 2 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2015-07-30 )
作者サイト:TTT

Kindle版:響 ~小説家になる方法~ (1)

最近では芸人が芥川賞を取ったことで注目度が上がった純文学の世界ですが、
売れない小説家は本当に厳しいという話はよく聞きます。
この作品はそんな厳しい純文学の世界に革命を起こせる天才、鮎食響の物語です。

この2巻で一番印象的な話はどれかというと、
やはりアラサー小説家の中原愛佳さんのエピソードですね。
純文学が好きで学生の頃から書いてきて、何とかプロになるも売れなくて。
同世代が子育てをしていることに焦りを見せてしまうところはとてもリアルです。
それでも今まで頑張ってきた努力を無駄にしたくなくて、
「小説家」というものにしがみついてしまう、下手に才能があるが故の悲劇。
こういったことは小説家に限らずあるんでしょうけど、
衰退している純文学の世界だとより一層の世知辛さがあってキツイですよね…

そんな中原さんが図書館で文芸部の部誌に響が書いた短編を読んでしまったがために、
歴然とした才能の差を感じてしまい、スッパリと小説家を諦め、
そして諦めてからの人生が幸せだったというところも更にツラい…

あるいは中原さんにとっては幸せな出会いだったのかも知れません。
その後の人生を幸せに過ごすことができたし、
何より自分に引導を渡す圧倒的な天才が自分の作品を知ってくれていて、
読んでくれていて、ファンでいてくれたんですから。
小説家である自分を肯定された感動と、
小説家としての才能の差を知った絶望。
それをもたらす響の自覚なき圧倒的な天才性がすさまじく面白いです。

そしてその天才性の理由に血筋が全く関係ないのが、
先輩であるリカにとってよりツラいものになっているのがなぁ…
この2巻ではリカがもう一人の主人公のように思えましたね。
彼女は自信を持つだけの文才もあるし、そのバックボーンもある。
後輩たちの前では自信満々のように見せているけれど、
編集のふみちゃんの前ではチョロいところがあったりと、
まだまだ子供らしさが抜けないところも可愛いと思います。

しかしなぁ… リカが第二の中原愛佳にならないとは限らないんだよなぁ。
響が意外とリカに友情を感じているっぽいので、
今後どうなるのかが読めないのもまた焦燥感を煽りますね。
ホントどうなってしまうんだろう。

それとリカの父親の件とかは早めに気付いてました。
伊達にミハルさんの漫画を同人誌の頃から読んでないですよ!
ただ、ふみちゃんと花代子ちゃんの件は引っかかりました。
いやー、うん… ふみちゃんインパクトあるわー…
そりゃ響も爆笑するってなもんだわなぁ。
ふみちゃんの今後のコスプレにも期待ですね!(笑

:: 2015/2/27 金曜日::

■[漫画]純文学に革命を起こす少女の物語「響 ~小説家になる方法~」1巻

響~小説家になる方法~ 1 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2015-02-27 )

作者サイト:TTT

「女の子が死ぬ話」「きっと可愛い女の子だから」を描いた柳本光晴さんの新作がこの「響 ~小説家になる方法~」です。
柳本光晴さん、もといミハルさんにとって初めての長期連載作なんですが、
連載場所がビッグコミックスペリオールというから意外です。
ラブコメが得意なミハルさんにスペリオールみたいなおっさん雑誌が合うのか不安だったんですが、
蓋を開けてみたら、これ以上ないくらいにスペリオールに合った作品でした。

出版不況が叫ばれる中、圧倒的に売れていないジャンル”純文”
その編集部の新人賞宛に投稿されるも直筆不可なので捨てられていた直筆原稿。
それに目を留めた女性編集部員の花井はその面白さに愕然としてしまう。
太宰以来の革命を起こせる魅力があると確信できる原稿だったが、
連絡先すら書かれておらず、判るのは「鮎喰響」という作者名だけ。
そして、時を同じくして高校に進学したばかりの女子高生が、
文芸部室で不良に喧嘩を売られた直後に容赦呵責無く相手の指をへし折る事件が発生。

hibiki_novel01_01

その鮮烈にして独特の感性を持った少女の名前は鮎喰響と言い…

この漫画はいわゆる純文学を執筆する天才少女・鮎喰響の物語です。
ミハルさんが同人誌で描いていた「日菜子さん」シリーズもそうですが、
天才少女とイケメン男子を描かせたら半端ないですね。
確固たる信念が自分の中にある響の行動は一本芯が通っているんだけど、
常識的に見ると奇天烈というかキチガイのボーダーライン。
そんな彼女に惚れているイケメン男子の椿涼太郎は中身もイケメンで、
社交的であり、響にも真っ直ぐに好意を伝える姿は同性から見ても憧れます。

そんな涼太郎は響に普通の少女としての幸せの道を歩んで貰いたいけど、
響の圧倒的すぎる才能は編集部員からは文壇の革命を嘱望され、
文芸部の先輩で見た目はギャルだけど文学少女、文才もソコソコあるの凛夏の自信を、
木っ端微塵に粉砕するほどで…
うーん、涼太郎の望みが叶えられる未来が見えない…

とはいえ、確かに涼太郎の言う通り、響にも普通の女の子っぽい所があるんですよね。
同い年の子に「ダサい」と言われて地味に気にしてる所とか。

hibiki_novel01_02

そして涼太郎の素直すぎる言葉に照れて反射的に理不尽な事をしてしまう所とか。
他にも本屋で転んだ男の子を助け上げながら軽くお説教をしたりとか、
自分の作品が「面白い」と言われて素直(?)に喜んだりとかね。
そういった所が可愛いと思うし、涼太郎が惚れてる所なんでしょう。

それとミハルさんの作品に顕著な事なんですが、どのキャラクターも立ってるんですよ。
響と涼太郎だけではなく、先輩の凛夏に響に骨を折られた不良のタツヤ。
それに高校デビューに失敗したかよちゃんも個性が滲み出ているんですよ。
それは少ししか出番がない編集部の人間にも言えており、
そこは素直に凄いな、と毎回思わされます。

作中の響の作品みたいに漫画界に革命を起こせるかは判りませんが、
漫画が好きな人の多くには心に響くモノがあると思います。
色々な人に是非読んで欲しいです。

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