■[漫画]近未来SF作品集「Boichi 短編集 HOTEL」
Boichi作品集HOTEL (モーニングKC)
著者/訳者:Boichi
出版社:講談社( 2008-10 )
定価:¥ 890
コミック
ISBN-10 : 4063727459
ISBN-13 : 9784063727456
作者のBoichiさんは韓国出身の漫画家さんで、
過去にエロ漫画雑誌で幾つか描いてて、最近はヤングキングで連載を持たれてますが、
表題になっている「HOTEL」を読んで私の中ではSF作家として認識されました。
モーニングに掲載されるのも納得の面白さですよ。
「HOTEL」は、2030年にポジティブフィードバックにより不可避な温暖化が確実視され、
生き延びることを諦めた人類が人類のDNAと文明の記録を載せた宇宙船「箱船」と、
人類以外のDNAを金星化する地球上で保存する「塔」を建設することになる。
その「塔」こと「HOTEL」の支配人であるAIの「ルイ」が摂氏270度の環境の中、
膨大な時間の中を延々とDNAを保存する為に作業を続けていく物語。
これがもう圧倒的な迫力と面白さを持っているのです。
また「全てはマグロのためだった」は同じくSF作品なんですが、
これはコメディ分がふんだんに盛り込まれた楽しく面白い作品です。
子供の頃に食べた地球上最後のマグロの味が忘れられない汐崎博士が、
マグロ探索の為に人工衛星を開発したら米国の極秘潜水艦隊発見して日本を救い、
マグロのDNAを排泄物の中から救い出すために排泄物の分解を止めることに成功し、
副産物として高効率のメタン発電所が出来て人類のエネルギー問題が解決し、
マグロを人工的に作ろうと思って作った生物が地球上の海で繁殖して埋め尽くし、
しかもその生物が二酸化炭素を吸収する為に温暖化が抑えられ地球が救われて…
と、兎に角本人の意志と目的とは裏腹に汐崎博士が救世主となる物語なんです。
笑えると同時に感心できる面白さがあります。
他にも幾つかの短編が収録されており、好みが分かれるとは思いますが、
やはり「HOTEL」と「全てはマグロのためだった」は特にお勧めしたい作品です。
カラーページが多い為か少々値段が張りますが、
そんな問題は些細にしか感じられない面白さなので是非読んで欲しいです。
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