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終わるのは寂しいけれど、五条くんと海夢ちゃんのグランドフィナーレを見届けよう!
:: 2025/8/10 日曜日::

■[ラノベ]恋に翻弄される可憐な武闘派乙女「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」2巻

グルトリスハイトを得たツェントが立ったから平和になったユルゲンシュミットだけど、
ローゼマインとハンネローレが在学中に何も起こらないはずがなく…
今度はフェルディナンドに異常事態が起こったため、
時の女神の伝言役としてハンネローレに降臨され、
ローゼマインは過去の世界へと旅立つという時かけ状態に!
一方、時の女神の力で過去に戻ったハンネローレは大切な気づきを得たんだけど…

「本好きの下剋上」第三期のアニメ化が決定して盛り上がっておりますが、
第五部のその後を綴ったこの外伝2巻も大盛り上がりですよ!
第五部コミカライズよりも先にこのハンネローレ貴族院五年生のコミカライズが決まりましたし…
というか、この外伝から読み始めても理解できるのか心配ではありますね。

さて、本編ですが…
色々と翻弄されるハンネローレ様がとても可愛らしかったです。
イケメンに口説かれるとか乙女ゲームみたいなシチュではあるのですが、
主人公がハンネローレ様ということもあり、あまりそういった印象は受けません。

とはいえ、しっかりと可愛らしさはあるんですよね。
ケントリプスの求婚めいた言葉に赤面するハンネローレ様が可愛いし、
ラザンタルクの不器用だけど実直な言葉に心を打たれるハンネローレ様も魅力的だし、
オルトヴィーンの真摯だけど、時期を逸した救いの手を拒絶するハンネローレ様は切なかったです。

そういった恋に翻弄されるハンネローレ様だけど、
神々の世界と、一年前の世界での気付きのお陰で領主候補生として大きく成長されましたよね。
ツェントを相手に毅然とした態度で必要なことを指摘するだけでなく、
ダンケルフェルガーの利を見据えて、譲るべき所とそうでない所を見極めて、
しっかりと交渉する所は特にそう思えました。

また、ラザンタルクがずっと思っていたように、
ハンネローレ様は可愛らしい見た目と言動に読者すらも惑わされがちですが、
その本質は根っからの武闘派の女傑なんですよね。
幼い頃にレスティラウトに心を折られたことと、
女性としての教育を受けたことで見えにくくなっていただけで。
それが本物のディッターと、神々の世界を経験し、
ラザンタルクの言葉でその本質を取り戻せたのは喜ばしいと思います。

ただ、そのせいでオルトヴィーンの想いが叶わなかったのは可哀想でしたね…
エピローグがオルトヴィーン視点だったことで読者にはわかりましたが、
オルトヴィーンは彼なりに、とても真摯に想っていたんですね…
ただ、恋はタイミングが全てなので、
貴族らしく、丁寧に準備をしたがために、機会を逸したのはね…
本当に、彼こそが「間が悪い」んだと思います。

それに比べて他の男達ときたら…
特にヴィルフリートには何度目かの失望を禁じ得ませんでしたね。
1巻の特典SSで自分の未熟な所を実感したばかりだというのに、
今回も致命的な失言をうっかりしてしまうとか、まるで成長していないんですよ…

その尻拭いに奔走するシャルロッテ視点のSSを見てると、
本当にシャルロッテには同情してしまいます。
父であるジルヴェスターも失言が多い人でしたけど、
それでも領主としてそれなりに考えていたし、
ゲオルギーネの件で自分の至らなかった所を大きく反省したと思います。

それに比べてヴィルフリートは「一見反省したようで実際は反省していない」
というのはシャルロッテが看破した通りでしょう。
今までローゼマインにとってヴィルフリートはどうでも良い存在だったので、
わざわざ指摘することはしていなかったんでしょうけれど、
シャルロッテにとっては実兄な上、まだ領主候補生ですからね。
次期アウブとして監督する必要があるのも大変だなぁ…

ヴィルフリートの側近も理解度が浅いのがいるのは、
次期アウブから外されたことでやる気を失ったのか、元から盆暗だったのか…
どちらかというと後者な気がしますね!

それにラオフェレーグのように途中から上級貴族に落とすのは難しいのかもですけど、
そういった可能性もゼロではないな、と思います。

そしてダンケルフェルガーのラオフェレーグですが…
これはもう、色々とダメダメすぎてゲンナリしましたね…w
ドラマCDのSSで、実妹のルングターゼちゃんにすらも見限られてますが、
それも仕方ないと思えるくらいにダメダメでした。

ヴィルフリートですら諭されたら何が悪かったのかは理解できてたけど、
ラオフェレーグは理解すらもできてなさそうな気配が強いですね。
ライヒレーヌは実母の欲目があったんでしょうけど…
ダンケルフェルガーほどの大領地でもこういった母親はいるものなんですね。
エーレンフェストのヨナサーラやダールドルフ子爵夫人のように、
我が子のことで盲目となる母親はそれほどに多いということでしょう。

今回の特典SSはヒルデブラント視点でしたが、
彼は彼なりに反省しているようでしたね。
レティーツィアとの仲が少しずつ深まっているのは良いと思うのですが、
マグダレーナ様の予想は甘々すぎると思いますよ。
フェルディナンド様が王命廃止を容認するような甘えを許すはずがありません。
王族がどれだけ酷いことをしてきたかという自覚がまだ薄いのではないでしょうか?
ブルーメフェルトの一部を割譲してアーレンスバッハを作らせるんじゃないかなぁ…
フェルディナンド様は「敵は削れる時に削られる所から削られるだけ削るものだ」と認識してそうw

最後に翻弄されるエグランティーヌ様視点のSSですが、
彼女は彼女でとても大変そうで同情しますね。
まぁ、王族の自業自得ではあるんですが、
一番罪を背負うべきトラオクヴァールが悠々自適のアウブ生活をしているのに比べると、
苦労を背負い込みすぎて可哀想だな、と思いますw

神々関連の苦労は完全に巻き込まれですが、ツェントとしての本来の業務なんだろうけど、
ジギスヴァルトに迷惑を掛けられまくるのだけは本当に可哀想ですね。
アウブ・ダンケルフェルガーも指摘している通り、不穏分子でしかないので、
今回の件を機に排除するのも一つの手ではないかな? と思います。

続きの3巻はまた来年発売になるのでしょうか?
Web版では3巻分の内容は既に更新済みではあるのですが、
完結までにはもうちょっと掛かりそうなんですよね。
このペースでは全4巻くらいになりそうな予感がします。

それにローゼマイン視点の続編も楽しみだし…
本当に、まだまだ「本好きの下剋上」は楽しめそうです。

:: 2024/12/14 土曜日::

■[ラノベ]大変で苦しかったこれまでと、大変だけど楽しそうなこれから「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集III」

本好きの下剋上の短編集もついに3冊目ですね。
この短編集にはWebに上げているSSと、本編の書店特典のSSを収録した短編集なので、
ドラマCDやDVD/BD特典等の短編は収録されていないし、される予定はなさそうなので、
そちらが気になる場合はTOブックス公式通販で購入することをお勧めします。
全部買ったら20万円くらいかかるので、冬のボーナスが出た方ならいけるかも…?
ちなみに私はほぼ全部持ってます。
私のお勧めはドラマCDの特典SSですね。
特に本編完結後のエーファ視点で書かれたドラマCD9の特典SSが素晴らしいんだ…
BOOK☆WALKERでは特典SS付きで電子媒体で出てるらしいので、再生機器がない人にはそちらをオススメします。

さて、本編の感想ですが…

・「暴走娘の共通点」
ベンノ視点でかつての恋人であり、幼馴染みリーゼの回想ですね。
こちらはふぁんぶっく4の鈴華さんの短編漫画を読んでいれば、より味わい深くなっています。

少年時代のベンノが妹とその友人であるリーゼに振り回されていますが、
その様子すらも若さが感じられて微笑ましいですね。
この時代のベンノさんは頼りになる父親がまだ健在だからか、
少し甘えが見えるような気がします。

そんなベンノさんが頼り甲斐がある存在にならざるを得ない状況に追い込まれ、
それでも踏み留まって成長したからこそ、マインが救われるんだよなぁ…
そして、かつての自分ではリーゼを救えなかったけれど、
成長したベンノさんはマインを救えて、ひいてはユルゲンシュミットを救えたんですよ。
ベンノさんは誇っていいと思います。

・「側仕えの初仕事」
オティーリエが側仕えとして初めて城へやってきた場面ですね。
エルヴィーラとはお友達とはいえ、細かい事情は知らされていなかったことが窺えます。
そこら辺は上級貴族らしい情報統制っぷりですね。

とはいえ側仕えとして仕事をする上での情報は必要なので、
そこから色々な情報が見えてくることを考えれば、
要職に就くことの重要性がよく伝わってきます。
まぁ、本人にはまだ会えてないから大の本好きと言われても具体的には想像できないでしょうし、
実物の規格外っぷりには驚いたのでしょうが…w

リヒャルダの裏事情が開陳されましたが、
アウブ・エーレンフェストにとっては便利な駒なんですね。
とはいえ、リヒャルダが居たからこそローゼマインは成長できたので、
リヒャルダを配したのはジルヴェスターの英断だったと思います。

・「ブリュンヒルデの事情」
魔力圧縮を頑張りすぎたせいで領内にお相手がほぼ居ないという、
ローゼマインの側近だけの事情がブリュンヒルデにも有った、というエピソードですね。
リーゼレータもそうだったけど、ブリュンヒルデも跡取り候補でしたからね。
色々と考えることが多くて大変です。

ブリュンヒルデの母は縁故でしか考えてないからハルトムートを推してますが、
ハルトムートの狂信的なところはレーベレヒトも数年間知らなかったくらいですから、
ブリュンヒルデの母も知らないからこそのお勧めなのでしょう。
ブリュンヒルデもレオノーレも知っているからこそ、近寄りたくないんでしょうねw

・「神官長室の雑談」
フェルディナンドがいかに実力主義者だったのか。
ローゼマインの影響が如何に大きかったのか、ということがよくわかるエピソードですね。
側近たちも雑談しながらお仕事してるんだ、と少しほっこりしました。

・「問題だらけの領主会議」
敵地で貴族の事情で雁字搦めにされたら、
いくら優秀だとはいえフェルディナンドも動くのが大変で、
ドンドン追い込まれていくことがよくわかるエピソードですね。
この後の事情を知った上で、フェルディナンド視点で見ると、ゲオルギーネの暗躍っぷりが凄いです。
大領地の第一夫人という立場を使って他人を動かすのが本当に上手いんですよね。
人徳と縁故を使って貴族らしく他人を動かすのはフェルディナンドよりも上手だと思います。
やはり貴族の事情をぶった切って飛び越えるローゼマインじゃないと勝利するのは難しかったでしょう。

そんなゲオルギーネとディートリンデのせいで、
アーレンスバッハには全体的に悪い印象が有ったんですが、
ディートリンデの非常識さに振り回される良識を持った貴族もそれなりに居るんだな、
というのもわかりますね。
とはいえ、事ここに至ってから狼狽するくらいなら、教育の時に頑張るべきだとは思うのですが…

ディートリンデという重しとゲオルギーネの策謀で動きにくい中で、
何とかしようと藻掻いているフェルディナンドだけど、
こういう時に頼りになるのがローゼマインとヒルシュール先生ですよね。
ライムントは便利に使われてるけど、本人も望むところだろうし、問題ないよね。

しかし、本当に絶望的なまでの状況ですよね。
こんな状況に追い込んだ原因たちへのヘイトが溜まっていってしまうなぁ…

・「踏み込みすぎた代償」
ハルトムートファンなら読むべき、と言われていた特典SSがついに短編集に収録です。
本編ではハルトムートが「フェルディナンド様に正解を貰った」と言ってたけど、
あのフェルディナンドがそんな素直に教えるはずないし、絶対に脅迫してただろう、
と思ってたら案の定でしたねw

とはいえ、自力で正解に辿り着いたハルトムートは優秀だと思います。
確かにマインとして活動していた期間は1年かそこらなので、
それくらいしか情報がないことから推論していくとそうなりますよね。
なるほど、盲点でした。

ただ、ハルトムートにとっての盲点は灰色神官でしたね。
コルネリウスに忠告されていたというのに、侮っちゃったねぇ…
平民だって知恵はあるし、頼れる貴族だって居るんですよ。
ハルトムートがまだまだ未熟なことがよくわかります。

そんなハルトムートがダームエルのことを意識しているのがよくわかるけど、
ダームエルを超えるのは難しいと思うし、
何よりもベンノやマルクより信頼されるのは難しいでしょう。
それに、ハルトムートはまだルッツがどれだけ信頼されているかを知らないからね…w
ルッツ超えはフェルディナンドでも難しいと思うけど…
頑張ってね!

・「息子の成長」
ルッツの母カルラがマイン=ローゼマインだと気付くとは意外でしたが、
女の勘を持ち出されると何も言えませんね…w
まぁ、ヒントはちゃんと提示されているから気付くのも当然なのかも?

ラルフと比較するとルッツの成長があり得ないくらいだとわかるけれど、
それが親としては嬉しいばかりかというとそうではない、というのはねぇ…
優秀すぎるから仕事で出張ばかりな上に、もうすぐ転勤で親元を離れるとか、
そりゃ寂しさもありますよね。

現代と違って里帰りなんて気軽に出来ないだろうし、
冠婚葬祭でも会えるかどうかわからないんだから。
親孝行という意味ではラルフの方ができるんじゃないかな、とも思います。

・「葬儀前の挨拶」
若い頃は周囲を振り回してたジルヴェスターが、
今となっては周囲に振り回されているというのは因果応報なのか…

ジギスヴァルト王子は無自覚な傲慢さが滲み出ていて、
それをフォローするアドルフィーネは大変ですよね。
それでもちゃんと第一夫人としてフォローしつつ、
自分の利も得ようとしているあたり、本当にアドルフィーネは優秀だな、とも思います。

そしてフェルディナンドを救おうと奔走したローゼマインの行動理由ですが、
フェルディナンドの推測は間違ってないけど、間違ってるというか…
ローゼマイン本人がそう言ったからって鵜呑みにしすぎですよ、フェルディナンド様!
ローゼマインに大切にされているということに無自覚すぎですよ、フェルディナンド様!
フェルディナンドの言うことを鵜呑みにしないようにね、ジルヴェスター…

レティーツィアの母親がここで登場していますが、
彼女の言葉からはレティーツィアのことを想っていることが伝わってきますね。
この葬儀の時もちゃんとレティーツィアと会えて話せてると思いますが…
これからレティーツィアが襲われる悲劇を思うと、ハラハラしてしまいます。

・「余所のお菓子と玩具」
この頃のレティーツィアはまだ平和というか、平和ボケというか…
ディートリンデに振り回されたり、フェルディナンドの厳しさに参ってはいるけど、
何故そんなに厳しくされるのかを全く理解していないのがよく伝わってきます。

これのフェルディナンド視点が第五部VIIのプロローグなんですけど、
それを読むとレティーツィアの教育不足がよく分かってしまいます。
この年頃の子供にしてはかなり優秀だと思うんですけどね…
虐待されていたフェルディナンドや、
転生者であるローゼマインが特別なだけなんですよ…

フェルディナンドのお菓子の食べ方に可愛く腹を立てるするあたり、
とても可愛らしい女の子なんだけど、
それが許されないのが領内に明確な敵が存在している領主候補生という立場なんですよね。
本来ならそれを理解させるべき側近が教育を怠っていたというのが、
レティーツィアの不幸なんだなぁ、と思う次第です。

・「ローゼマインが不在の冬」
エックハルト視点で見ると思考がバイオレンスすぎて笑ってしまいますし、
予想以上に罵倒語のボキャブラリーが多彩で、知的水準の高さを思い知らされます。

フェルディナンドのことをずっと見ているエックハルト視点だからこそ、
フェルディナンドが如何にローゼマインのことを心配しているのか伝わってくるし、
ローゼマインが居ないと容易にフェルディナンドに窮地に陥るのかがわかります。
そして、領地を違えると一気に情報が得にくくなるんだなぁ、というのもわかりますね…

それとエックハルトとアンゲリカはそれなりに交流が有ったことがわかるし、
エックハルトから見てアンゲリカは良い相手だったということもわかります。
この時に何気なく言った一言が形を変えて実現することになるとはねぇ…
ハイデマリーとは違った形だけど、良い夫婦になると思いますよ。

・「成長と変化」
成長したローゼマインの姿を報告するトゥーリのお話。
妹が無事で、しかも成長してくれたことが嬉しいけれど、
妹であると言えないことが寂しい気持ちも感じさせてくれますね…

それはそうと、ルッツとのほのかなラブコメ風味が感じられて良かったです。
ほっこりしますね。

・「諦めない存在」
ジルヴェスターは良くも悪くも情に厚いんですよね。
私はそこが良いと思うんだけど、アウブとしては未熟とも言えるわけで。
それを指摘してくれるボニファティウスは良い補佐だとは思うんだけど…
ボニファティウスの孫娘への情を見てると、遺伝を感じますね。
情よりもアウブとしての役目を重要視するかどうかは別なんでしょうけど。

ジルヴェスターから見るとローゼマインの暴走もそうだけど、
ヴィルフリートの考え無しの言葉も頭が痛いんですよね。
ただ、後者に限っては自分の教育不足なので自業自得だと思います。
教育を実母に任せてオズヴァルトを罷免するのが遅かったのを反省なさいませ。

フェルディナンドがローゼマインへと遺言を飛ばしたことについて歯痒く感じているけど、
ふぁんぶっくによると、そんな情とかそういったものでは無さそうなので、
そこは安心なさいませ…w

・「ダンケルフェルガーの会議室」
私はこの特典SSがどうしても読みたかったので初めて紙書籍版を買って、
そこから短編集に収録されていない特典SSをTOブックス公式通販で揃えたのです。
そう言った意味ではとても思い出深い短編ですね。

ハイスヒッツェ視点から見ると、自分の善意が完全に裏目ったことを知りショックを受けていますが、
こればかりは情報収集を疎かにした自業自得なんですよね。
ハイスヒッツェに限らず、レスティラウトもそうだけど、
今も昔も、ダンケルフェルガー男子というのは情報収集を疎かにして動いてしまい、
結果としてそれが悪い結果を出してしまうものなのだなぁ、と思います。

それを律するのが計算高いダンケルフェルガー女子だというのがよくわかりますね。
ジークリンデ様もブレなさと、冷酷さにはちょっとショックを受けますが、
それでも自領のことを優先して考えるのは領主一族として正しいと思います。

でも、だからこそ、ローゼマインがグルトリスハイトを持つことを示唆されたら、
許可を出さざるを得ないんですよね。
本当に、水戸黄門の印籠のように効くんだぁ…w

それでも自領のため、娘のために動くのは計算高いとは思います。
まぁ、その娘のためになるからと戦場に送り出すあたりは、
とてもダンケルフェルガーだな、と思いますが…
ハンネローレ様が武寄りの領主候補生だということを見抜いているのでしょうね。
だって母親なんですもの。

・「相変わらずの騒動の原因」
ローゼマインに振り回される下町の平民たちだけど、
ローゼマインのことを理解しているからこそ、あり得ないと思わずに、
必死に情報を集める姿はある意味頼もしいというか…w

トゥーリはマインのことも理解しているからこそ、
ローゼマイン様が嘘をついたことに気付いているのがとても良かったですね。
あぁ、二人は実の姉妹なんだなぁ、というのが感じられるのです。
そして、その状況を聞いただけでローゼマイン様の心境も正確に推し量ってるあたり、
ルッツも幼馴染みなんですよ。
そして、僅かな情報だけで正確に推測を立てられるルッツは優秀ですね。

振り回されるのは大変だと思うし、
戦いが終わったばかりで大変なんだろうけど、
この頃の貴族院での殺伐さを知っていれば、
この二人が平和にやり取りできているのは、
ローゼマインたちが頑張っているお陰なんですよね。
そう考えると、この平和なやり取りがとても得がたく、尊く思えました。

・「夜空の星」
ごく短い短編だけど、異世界ファンタジーさと、
ほんのりとしたラブコメの要素が感じられて良かったです。

・「消えて、戻った妹」
この短編は加筆が多くて、既読の私にも満足感がありました。
いきなりの巨大ヴァッシェンに巻き込まれたコルネリウスが、
何とか妹を守ろうと頑張っていたことを知ってちょっと嬉しかったです。

コルネリウス視点で読むと、戦い中もそうだけど、事後処理でもハイスヒッツェは有能ですね。
まぁ、だからこそ、事情を知る読者からすると残念に思えるんですが…w
実兄のエックハルトは優秀だけどフェルディナンド至上主義すぎて、
頼り甲斐はあるけど、面倒くささも半端ないと思ってしまいますw

逆にレオノーレはどんな時も優秀に見えるんですよね。
パートナーとしても、同僚としても非常に頼り甲斐があるので、
レオノーレを選んだのもわかるなぁ。

時間がない中でフェルディナンドとレオノーレが、
ピチピチ跳ねるハルトムートを見て一瞬沈黙したシーンは、
読んでて笑っちゃいましたねw

ローゼマインを寂しがらせてはならない、と女神の御力を前に踏ん張るところは、
コルネリウスは良いお兄ちゃんだな、と思いました。
これからも大変だろうけど、良いお兄ちゃんでいて欲しいですね。

・「頭の痛い面会依頼」
ジルヴェスターも振り回されて大変だろうけど、
フェルディナンドとローゼマインはもっと大変だったんだから、
兄として、養父として頑張らないとね。

忙しい中でちゃんと打てる手は打ってたり、
可能な限りフォローしようとしているところは、
ちゃんとアウブしてるなぁ、と思うんですよ。
それがヴィルフリートに受け継がれなかったのは残念だけど、
シャルロッテはちゃんと学んでいるようなのが救いですね。

これの続きはドラマCDの特典SSにありますので、
気になる人は是非とも読んで欲しいですね。
あれには秘密主義のフェルディナンドがどう誤魔化しているのか、
ちゃんと書かれていますから。

・「別れの女神に祈りを」
アドルフィーネがどのようにして離婚を勝ち取ったか、という痛快なエピソードです。

アドルフィーネはローゼマインと同じく王族に振り回されて不利益を被ってきた人なので、
どうしても応援しちゃいたくなるんですよね。
比較的中立というか、フラットな立場な彼女から見ると、
トラオクヴァールが如何に無責任で問題がある人なのかが見えてきます。

そしてその息子であるジギスヴァルトのクズっぷりがよく見えるんですよね。
新枕という言葉のセンスとか、そこを看破する鋭い観察眼とか、
やはりアドルフィーネは優秀だと思うんですよね。
側近からきちんと支持を得られているし、父への根回しもきっちりしてるし。

ただ、その父であるアウブ・ドレヴァンヒェルは貴族らしい貴族であり、
アウブとしての利でしか見えてないから地雷を踏みまくっちゃうんですよねw
何とか回避しようとアドルフィーネとエグランティーヌが奮闘するあたり、
如何にローゼマインとフェルディナンドが恐れられているかがよくわかります。

これは次作であるハンネローレの貴族院五年生にも繋がってくるんだけど、
アウブ・ドレヴァンヒェルは既存の貴族の常識で動いてしまうが故に、
子供達の縁談では悉く失敗してしまうんですよ。
結果だけ見ると、アウブとしても、父親としても失格なんですよね。

アドルフィーネ視点で驚いたのは、この時点でエグランティーヌがツェントとして自覚を持ち、
トラオクヴァールとジギスヴァルトを思いっきり切り捨ててるところですね。
思い切りが良いというか、ある意味貴族らしいというか…
これだけ割り切りが良くなったのは始まりの庭で誓いを立ててからだと思っていただけに、
ちょっと驚きました。

そしてジギスヴァルトの傲慢さは本当に鼻につきますね。
これが矯正されずに残ったからこそ、ハンネローレは苦労するんだけど…
その責任はアドルフィーネにはありません。
教育した両親のせいだと思います。

・「ツェントからアウブへ」
難しい立場だったと思うし、可哀想な人だとは思うんだけど、
間違いなく加害者である、責任を取らなかった人であるのがトラオクヴァールです。
本人はツェントの立場を相応しいエグランティーヌに任せられて良かったと考えていますが、
読者からすると、責任を押し付けたことには本当に無自覚なんだな…
と呆れるしかないです。

側近に目隠しされていたのに気付くも遅かったけれど、
それも側近を教育してこなかった主としての怠慢だったと思うのですよ。
自分がツェントに相応しいと思わないのなら、
それを嘆くのではなく、相応しくなろうと周囲を巻き込んで努力をすれば良かったのにね。

それにしても事態が起こった後になっても、
エグランティーヌに教えられるまで事件の背後関係も知らなかったとか、
責任者として情報収集もしようとしなかったとか…
本当に呆れるというか、何というか…

アウブとしてやり甲斐を感じられるようになり、
少しは前向きに努力して、責任感が育まれるのなら喜ばしいんだけど…
本人が無自覚とはいえ、時の女神と交わした約定を違反した咎があるので、
神々から罰が与えられないと良いよね、と思います。
神々からするとメスティオノーラの書を持たない自称ツェントでしかないので、
責任を取らされない可能性もあるけれど…
大丈夫かな?

・「誓いの言葉と解釈」
今回書き下ろしのダームエル視点。
フェルディナンドの婚約式での誓いの言葉の一般的な解釈ですが…
ダームエルはやはり一番の騎士ですね!
色々な意味で頼り甲斐があります。

それにしてもミュリエラは生き生きしてますねぇ。
録音の魔術具を用意して、エルヴィーラにお願いするだけでなく、
趣味と実益にもちゃんと繋げているあたり、
とても優秀な文官に育っていると思いますよ。
伊達にローゼマインの元側近じゃないな!w

そしてエルヴィーラお母様の楽しそうなこと!
実の娘と最推しの結婚という、人生最良の時を最高に楽しんでて、
今までの苦労も全て報われたことでしょう。

ダームエルはユーディットのことまでちゃんと考えてあげてて、
やっぱりローゼマインの筆頭護衛騎士はダームエルだな、と思いました。
早くアレキサンドリアに移動して、シュトラールを支えてあげて欲しいですw

・「旅の終わりと新しい神殿」
フランは優秀だけど、灰色神官としての優秀さに特化している分、
旅路では殆ど役立たずだったのにはちょっと驚きましたね。
むしろヴィルマの方が役立っていることには更に驚きました。
やはり多少なりとも外に出た方が良いのでしょう。

ふぁんぶっくで先に情報が開示されていましたが、
ハルトムートはアレキサンドリアでは神官長をしないんですね。
青色神官の服は着ないけれど、神殿には出没するみたいだし、
クラリッサも神殿に訪れるようですが…
おそらく神具を出すため、頻繁に魔力供給をすることでしょう。
それを諫められる人間はいないだろうし、これから大変だろな…w

平民である灰色神官の立場から見ても、
ディートリンデのやりようはあり得ないものだと思いますよね。
それを目の前で見せられた旧アーレンスバッハ貴族が肩身が狭いのもわかりますが、
それを育て、止められなかった責任が旧アーレンスバッハ貴族にはあるので、
今後とも肩身を狭くするべきだと思います。

平和になったとはいえ、危機感をちゃんと持って、
大事なものを守る為に備えるあたりは、
ローゼマインもフェルディナンドも本当に優秀ですよね。
やはり平和だからといって油断しないのは大切です。

それにしてもアレキサンドリアの神殿にも困った青色神官や青色巫女はいますね。
そういった馬鹿たちに最初に釘を刺すのは変わらないですし、
一度やり遂げているからこそ、ローゼマインもフランたちに任せているのでしょう。
きっとこれからのアレキサンドリアの神殿も大丈夫だろうと感じます。

ローゼマインが神殿長であるのは後2年くらいしかないけれど、
神殿長を退いても神殿に訪れることはあるだろうし、
フランはこれからも頑張って欲しいですね。

:: 2024/10/22 火曜日::

■[ラノベ]ヘタレ男の一世一代のプロポーズ「商人令嬢はお金の力で無双する」3巻

商人令嬢はお金の力で無双する3巻商人令嬢はお金の力で無双する3巻
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する 3
Kindle版まとめ買い:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する 3

グランチェスター領に襲い掛かる苦難の数々から、他国からの陰謀を察知したサラ。
色々と自重を捨てたサラの活躍によって窮地を脱したけれど、
そもそもサラは転生者とはいえまだ8歳の幼女なので、
仕事ではなく勉強や、やりたいことが沢山あって…

今回、ついにロバート伯父様が初恋相手のレベッカにプロポーズしてますが…
これがまぁ、凄いヘタレっぷりで笑っちゃいましたね。
サラの強烈な後押しと周囲からの過剰なまでの配慮があったというのに、
肝心の本人がアホすぎて、あんなにグダグダになっちゃうなんてね…!w

それに比べて同じヘタレのグランチェスター一族とはいえ、
ジェフリー卿の息子であるスコットは随分マシですね。
ちゃんとサラに自分の好意をストレートに伝えているし、
ジェフリー卿の血筋には厄介なヘタレ遺伝子が継承されていないのかもしれません。

スコットだけでなくイケメンすぎるトマス先生に、
火災現場で拾った少年のブレイズと8歳にしてモテモテのサラですが、
彼女は転生者故に対象年齢が高めなので、逆ハー展開の本領発揮はまだ先でしょう。

そもそもサラは前世からしてワーカホリックすぎて恋愛で失敗してきたのに、
今世での仕事の詰め込みすぎっぷりを見る限り、そこは改善できてないように思えます。
つまり、今世でも恋愛からは縁遠い人生を送りそうな気がするんですが…
はたして大丈夫なのかな?
サラの今後の恋愛問題が心配ですね!

:: 2024/8/13 火曜日::

■[ラノベ]時をかけるダンケルフェルガーの女「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」1巻

前世の本須麗乃時代に得ていた本に囲まれた生活と、
現世のマイン時代に得ていた家族愛に包まれた生活。
かつて持っていたけれど、家族を守る為に貴族のローゼマインになって失っていったものを、
最後にはついに取り戻して見事に完結した「本好きの下剋上」
本作はその後をローゼマインの親友であるハンネローレの視点から綴った外伝の1巻になります。

注:以下はネタバレ全開の感想になります。

プロローグはハンネローレの筆頭側仕えのコルドゥラ視点ですね。
子供の筆頭側仕えは両親の側近から選ばれることが多いのは知ってましたが、
コルドゥラは元々ジークリンデの側仕えだったんですね。
元主従の二人から見たハンネローレの問題点が列挙されていますが、
大人視点から見てみればハンネローレの未熟さは一目瞭然ですね。

ただ、ハンネローレを擁護することもできるのですよ。
エーレンフェストの祝勝会に参加した時は、
お友達のローゼマインが「王命で引き裂かれた想い人を助ける為に礎を奪う」という
愛読しているフェルネスティーネ物語以上の恋物語を見せられた直後な上に、
ずっと憧れていた恋物語の作者であるエラントゥーラ様に会うことができたため、
ハンネローレ史上、一番の恋物語フィーバーが起こっていると思われるのですよ。
だから自分の恋を何とかしようとは全く頭に思い浮かべられなかったんだろうな、と…w

ジークリンデは策士としての腕が見事なのでアドルフィーネを賞賛していますが、
コルドゥラが言うように、ハンネローレは魔力量と戦闘能力に適性があるのですよね。
これからコルドゥラが言うような事態が起こるんですから、
筆頭側仕えとして主のことをよく見ていると思います。

ジークリンデも母として、無責任で能力不足なジギスヴァルトとの婚姻を避けたり、
節操なしなアウブ・ドレファンヒェルの縁談から守る為に、
そして、ハンネローレが自分で選べるように婚約者ではなく、
婚約者候補を二人見繕っているあたり、とても親の愛だなぁ、と思うのですよ。
ヴェローニカのような独善的で一方的な親の愛の縁談押し付けとは違いますよ。
ジークリンデはとてもまともな母親だと思います。
それをハンネローレが気付けるのはいつの日なのかな…?

そしてハンネローレ視点で語られる入寮からの本編ですが、
前作からのファンにとっては知りたかった情報が色々と出てきてホクホクですね。
ローゼマインの親友だと自他共に認められたハンネローレが苦労を背負いこむことになってますが、
この世界の貴族は権利と責任はワンセットなので仕方が無いですよね。
責任だけ放棄しようとする愚か者はフェルディナンドがくしゃっと叩きつぶしちゃったので、
これからは多少マシになると思いますよ、ハンネローレ様。

ツェントとなったエグランティーヌは粛清の責任を取るべき実家のクラッセンブルクではなく、
功績が大きいローゼマインを重要視しているのには安心しましたけど、
そのせいでエーレンフェストとハンネローレに縁談が殺到しているのはとばっちりですね。
他領のアウブは神殿改革する必要性と切実性は領主会議で理解したのでしょう。
ただ、どうすれば良いのかは全くの知見がないので、知っている相手にやらせたいんだけど、
エーレンフェストは今後数年は嫁入り&婿入りのみと定められているので、
ハンネローレに縁談が殺到しちゃうのは本当に可哀想だな、と思います。

貴族院に入って早々にダンケルフェルガーのダンケルフェルガーらしさが全開で呆れましたけど、
「シュタイフェリーゼより速く!」
という言葉がローゼマイン発だということは知られてないみたいですね。
おそらくローゼマイン本人は特に気にしないでしょう。
むしろ、それで更に崇められてディッターを吹っかけられる方が迷惑するでしょうね。
エーレンフェストにはディッターを吹っかけないという約定は結ばれたけど、
アレキサンドリアとは結んでないですから…w

ラザンタルクが精一杯の求愛の言葉をハンネローレに捧げてますが…
全く響いてないのはちょっと可哀想ですね…
ハンネローレはラザンタルクがハイスヒッツェと似ていると評していましたが、
おそらくそれは正しいです。

ハイスヒッツェは自分の常識と十年前の記憶を根拠に動いたせいで、
結果としてフェルディナンドに盛大な迷惑を掛けました。
ラザンタルクも自分の常識と幼い頃の記憶を根拠に今のハンネローレを見ずに求愛したせいで、
ハンネローレは迷惑しているんですよ。
悪い子ではないんだけど、ちゃんと相手を見て、理解しないと、何事も上手くいかないと思うのです。
ダンケルフェルガーの騎士が持つ宿痾なのかもしれませn。

それに比べるとケントリプスはハンネローレのことをよく見ていると思うのです。
ハンネローレが幼かった頃の思い出はしっかりと大切にしていながら、
ローゼマインと出会ってどのように成長してきたのか、理解できていると思うのです。
ある意味、本人以上に理解できているのではないかな、とまで思います。

そして異母弟のラオフェレーグですが…
彼は前作では継承の儀式に出席を見合わせられたのも納得の馬鹿ですね。
幼い頃から最上級の教育環境を得られて10年間みっちりと教育してこれというのが…
身分を笠に着て他者に自分の傲慢を強要しようとするあたりは、
とてもレスティラウトに似ていると思いました。
ただ、レスティラウトの根底には一応他者への優しさもありましたけど、
ラオフェレーグにはそういったものが全く感じられないのがねぇ…

進級式と親睦会ではラザンタルクがTPOを弁えずに自分本位で口説いてますが、
そういうところがあかんのやぞ、と思ってしまいますw
ブルーメフェルトとコリンツダウムは二つの領地のアウブの性格が出ているのは予想通りでした。
そして一年も経たずに学生の心をつかむローゼマインはやはり規格外ですよね…
多分、歓迎のお礼としてフェシュピールを弾いて祝福を送ったり、
慈悲と利益を振りまいて、学生の成績を上げる方針を打ち出したり、色々とやったんでしょうね。
うーん、詳細を知りたいけど、続編で書かれたりしないのかな?

親睦会でのローゼマインの配置ですけど、
おそらくハンネローレの予想通りフェルディナンドが裏に居ると思います。
というか、エグランティーヌの施政はフェルディナンドの監視が常についていることでしょう。
魔石恐怖症のローゼマインのために魔石部分を覆い隠すように婚約魔石を装飾したりと、
フェルディナンドはとても過保護ですからね。

アナスタージウスは苦言を呈しているけれど、
ローゼマインもハンネローレも巻き込まれるだけなんですよ。
それでも大きな事態が起こってしまうのが困ったものなのです。
むしろ、そのような事態に巻き込まれながら、
色々と奮闘している二人を褒めてあげて欲しいくらいです。
巻き込まれる資格すら得ていない王族たちの無能さこそを反省して欲しいものです。

ヒルデブラントは今のところ大人しいですけど、
本人がどこまで反省しているのかは現時点で未知数ですね。
レティーツィアはとても反省しているように見えるし、
これからも苦労を背負い込みますから頑張って欲しいです。
ヴィルフリートは後述しますが、相変わらず脳天気に見えるのに比べて、
シャルロッテは中継ぎアウブを任されているので大変でしょうね…

座学の講義で会ったローゼマインのご機嫌さを即座に
「図書館か本について何か考えている」と察することができるとか、
ハンネローレもローゼマインの親友らしい理解度ですね!w
そして実技の講義で即座に動いたオルトヴィーンは本当に有能です。
本当に有能な領主候補生とはどういうものかという、お手本のようです。
ドラえもんにおける出木杉くんのような印象を受けます。

領地としての利をしっかりと押し出している上での求婚だし、
ハンネローレの実力と性向を把握しているし、
何よりもヴィルフリートへの恋心まで確信を持っているだなんて、本当にやり手すぎる。
それでいてついうっかりと本気の恋心を見せてしまうんだから、
そりゃもうハンネローレは大変ですよね…

しかしハンネローレもローゼマインと同じくらい殿方の気持ちに鈍感というのは、
ある意味正しいけれど、ローゼマインもハンネローレには言われたくないあろうなぁ…
と思うくらいに中々に酷いものでしたね。
まぁ、ラザンタルクが恋物語とか読んで勉強してこなかったのも悪いと思いますw

髪飾りの件については、ローゼマインとハンネローレの挿し絵が有ったのが一番助かりました。
一年前とは逆になった身長差もそうですが、
お揃いになった髪飾りとローゼマインの新しい色のマントに胸元を飾る婚約魔石と、
読者が見たかった箇所が全部描かれていて大満足でした。

来年の卒業式におけるローゼマインの展望は、言われて見ればその通りなんだけど…
学生どころか現代の貴族の常識では計れない心配をせざるを得ないとか、
ローゼマインは本当に規格外すぎますよね。
ただ、それも王族がまともに機能していたらこんな心配をする必要がなかったんですけどね。
次に奉納舞or御加護の儀式で始まりの庭に行けるのはメルヒオールかなぁ…?

それにしてもこそこそと小声で心配するのは良いんだけど、
下手に情報を零してしまったために周囲に邪推させる材料を与えてしまうあたり、
ヴィルフリートは本当に迂闊ですよね…
どうしても「そういうとこやぞ」と思ってしまいます。
悪い子ではないんですけども…!

ローゼマインとハンネローレがお茶会でお互いの領地の情報を小出しにしてやり取りするのは、
二人ともちゃんと領主一族してるなぁ、と感心しました。
何だかんだでローゼマインも教育の成果が色々と出ていると思うのですよ。

でも、特殊な環境で育ったので、自分を客観視できていないのは相変わらずで、
養子縁組を歌った曲が恋歌と誤解されているのに気付かないあたりは変わらないですね。
そう言えばフェルディナンドがアーレンスバッハで歌った曲も誤解されましたっけ。
遠回しに言う貴族文化は誤解されやすいということが多々あるのかもしれません。

ヴィルフリートに纏わる王命に関する噂と根回しが王族の領分というのは理解できますが、
おそらくエグランティーヌたちは要望されない限り動かないでしょうね。
勝手に動いて迷惑を掛けたらいけないし、それに他の仕事で多忙でしょう。
むしろ王族に要望を出さないヴィルフリートの方に問題があるように思えます。

ローゼマインは今だからと色々と内情をぶっちゃけてますが、
確かにヴィルフリートとの婚約はお互いにとっては苦痛の多いものでしたからね。
それを憧れの婚約だと誤解させていたのがフェルディナンドの過保護な贈り物だったあたり、
色々と罪深いなぁ、と思います。
まぁ、その婚約を大切にせず、魔力圧縮を必死にしなかったヴィルフリートの罪も大きいのですが…

ローゼマインが貴族院に来て寂しいと感じる理由ですが…
本当の貴族と会えないのは前と一緒だけど、一度再会できているだけに寂しさも一入なのか。
義理の兄妹が居ないから寂しさが大きいのか、
それとも心を通わせたフェルディナンドと離れているから寂しいのか…
うーむ、妄想が広がりますね。

そして喧嘩の事情聴取で語られたケントリプスの想いですけど、
彼は彼で色々と抱え込んでいることがよくわかりました。
文官という特性上からか、私はフェルディナンドと比較してしまうんですよ。
そして比べてしまうとどうしてもケントリプスの未熟なところが見えてきます。

大切な相手を守る為に魔術具を準備するという発想は同じでも、
フェルディナンドはローゼマインの心が壊れないように「相手が死ねない魔術具」を作るのに、
ケントリプスはハンネローレが絶対に負けないように「相手を殺せる魔術具」を作ってしまうんですよ。
それが故に肝心なところで使って貰えないんですよね…
守りたい相手への理解度の差が明暗を分けたのだと思います。

ただ、この2年で理解が深まったのか、これからの展望については予想は正確だと思います。
とはいえこの時点ではこの後にあんなことが起こるとは予想できないあたり、
まだまだローゼマインと関わった時の規格外さが理解出来ていないんですよね。
そしてそういった事態に対する処世の仕方や事前準備も、
フェルディナンドに比べると大きく見劣りするのが悲しいところです。

自分の恋心と領地へもたらせる利のバランスの袋小路に入っていたハンネローレだけど、
思いがけず異母妹とメルヒオールの縁談の話を聞いたことで、
一気にブレーキが壊れた暴走特急になりましたね。
本当に、一度決めたら止まらず譲らないという周囲の評は間違いでは無かったです。

それにしても思うのはヴィルフリートの脳天気さですね。
友人の恋を応援しようという気概は良いと思うのですが、
致命的なまでに情報収集が出来ていないのが露呈してしまった上に、
ローゼマイン以上に他領にエーレンフェストの内実をバラしまうのはどうなんでしょう…
ヴィルフリートはとても誠実ではあり、そこは美点だとは思うのですが、
それは領主候補生である上では致命的であると思うのです。

ただ、正しい情報を流すことでエーレンフェストの特殊な事情の理解が得られたのは幸いでしたね。
ヴェローニカがやったことは大領地からしても常識外れの非道なもので、
ヴィルフリートはその被害者というのは、ある意味で正しいです。
その影響は多岐にわたっていますが、まさかハンネローレの恋心にまで影響を与えるとはねぇ…
ヴェローニカは本当にどこまでも迷惑を掛ける毒親だと思います。

そしてここで唐突に女神が降臨するわけですが、
ドレッファングーアはメスティオノーラと違ってお願いに来ている立場もあってか、
マインではなく、ローゼマインと呼んでくれるし、
協力してくれたハンネローレにお礼をしてくれるあたり、とても良い女神だとは感じるんですが、
前作では怖いところもあるみたいなことを言っていたので、
今回は彼女が怒らなくて少し安心しました。

女神の御力で精神だけで一年前に戻ったハンネローレですが…
彼女が即座に動いてしまった事情はわかるんですが、
結果だけ見ると、情報を集めずに拙速に動いて失敗するダンケルフェルガーの典型例でしたね。

この時のヴィルフリートは尖ったところが有りまくりで、
周囲からは散々けなされて、側近が解任されたりとささくれ立っている真っ最中ですからね。
アウブ・エーレンフェストになって欲しいと言ってきたハンネローレは敵認定されたのでしょう。
いやはや、本当にこの時のヴィルフリートは本当に未熟だと思います。

それに比べてエグランティーヌはバランス感覚に優れているんですよね。
お互いの事情に理解を示した上で、やらせるべきことをきちんとやらせるあたり、
この頃からツェントとなる資質は充分にあるのだと思わせてくれます。
まぁ、本人はツェントになることを望んでなかったのでしょうが…

そしてコルドゥラからの冷静な指摘ですが、ある意味正しいです。
ヴィルフリートは結果として騙したようで申し訳ないから再戦したいと考えていたんですよ。
レオノーレたちに却下されただけなので、誠実ではあろうとしたのです。
ですが、次期アウブという言葉の重みを理解していない浅慮であるのは正しいです。

それにしても一年前はハンネローレはこれだけ苦労していたとは…
元凶は間違いなくレスティラウトの横暴な嫁盗りディッターだというのに、
それに対するケアは側近二人のケアだけ、というあたりがレスティラウトは傲慢だと思います。
大領地のお坊ちゃんとして育てられたから、そんなメンタルなのかもしれませんが、
そんなことだと、将来フェルディナンドにボッコボコにやられそうな未来しか見えないのですが…
大丈夫なのでしょうか?

ラストでは縁結びの女神リーベスクヒルフェが気を利かせたせいで、
多くの求婚者が列を成してやってくるという大変な事態に陥りましたね。
シチュだけみると乙女ゲームみたいですけど、
ハンネローレ当人にとってはそれどころではないでしょうw
神々と関わると大変なことになる、というのがよく理解できたと思います。
今後はローゼマインに対する理解も捗りそうですね!

エピローグはケントリプス視点ですが、彼も苦労性ですよね~…
ダンケルフェルガーの文官とはそういった性分の人が多いのかもしれません。
彼の視点で見る女神の降臨のアレコレでは、ヴィルフリートが有能に見えるから驚きますね。
ただ、ローゼマインがアーレンスバッハへ攻め込む時に背中を押した時もそうだけど、
緊急事態に動じず、果断に動けるのはヴィルフリートの得がたい資質だと思うのですよ。
問題はその資質を磨かず、欠点を放置していた彼の教育係の怠慢なだけで…

「閑話 アウブの定時報告」は前作のフェルマイファン向けの短編ですね。
フェルディナンドの説教臭さは相変わらずだけど、
優しさと過保護さがマシマシになっているあたりがニヤニヤできると思うのですよ。
側で見守っているリーゼレータは役得だと思います。
これがハルトムートとクラリッサにバレたら、
中央に一緒に来て欲しいとおねだしした時みたいに、めっちゃ嫉妬してきそうですよね…w

ラザンタルク視点の短編は、彼がただのディッター馬鹿なだけではなく、
ハンネローレのことが好きな馬鹿、というのがわかる内容で面白かったです。
おそらく2巻に収録される本編を読めば理解できるんですが、
1巻だけだとただのディッター馬鹿であるように思えてしまいますからね。
良いフォローだと思いますよ。

逆に金粉、もといジギスヴァルト視点の「コリンツダウムの執務室にて」は…
金粉はどこまでいっても無能な馬鹿だなぁ、というのが凝縮されていて酷かったです…w

まず、本人が今でも王族気分のままなのが酷い。
就任式の時にローゼマインに指摘されてたのに、まだ修正できてないし、されそうもない。
自分以外は全て自分に傅いて献上すべきだと考えている傲慢さに陰りが見えないから、
ジークリンデの思惑に全く気付けない馬鹿さ加減が読者に浮き彫りになっているんですよね。

ナーエラッヒェもジギスヴァルトに第一夫人を求める言葉を読む限りだと、
ジギスヴァルトと同じ「責任と苦労は背負いたくないけど、愛と実利は欲しい」
と言っているようにしか見えないんですよね。
ある意味似た者夫婦なのかもしれません。

ジギスヴァルトはローゼマインやアドルフィーネを配慮が足りず、無神経で非常識だと考えてますが、
客観的に見てその言葉はそのままジギスヴァルトに熨斗を付けて返すべきでしょう。
次期王の王子という立場だったからそれがギリギリ許されていただけで、
その立場を失った今だと糾弾されて当たり前なのに、そこに全く理解が及んでいない。

むしろ、女神の化身となったハンネローレならメスティオノーラも降臨させられ、
自分の為のグルトリスハイトを貰えるとでも思っているのかもしれませんが…、
本当に認知が歪んでいるなぁ…

そもそも未だに次期王だと思っている時点で超弩級の馬鹿だと思うのですが、
それを周囲が正そうとしていないあたり危なすぎますよ。
ディートリンデがそれをやったら、不敬だとして処刑される予定だったのを忘れたのでしょうか?
自分は王族だからその対象外と考えているようにしか見えませんが、
ジギスヴァルトは既に王族ではない、という理解すらできてないのが一番の問題ですよね。

とはいえ、グルトリスハイトがないままにツェントとして君臨しようとして、
政治力を磨いてきたのは間違いないので、根回しや都合の良い噂の流布の手腕は見事ですね。
ラオフェレーグというダンケルフェルガーの癌も既に把握していて都合よく利用とするあたり、
舐めてかかっては駄目な馬鹿だとは思います。

ただ、身内である父と弟はそういった特性を理解しつくしているので、
嫁盗りディッターでは各所に対策されて、ボッコボコにされそうだな、と思います。
ツェント・エグランティーヌが公式に裁くアウブ第一号にならないと良いね…!

特典SSはヴィルフリート視点でしたが、これもまた読み応えがありましたね。
バルトルトを放置していたことがいつか断罪されるとは予想していましたけれど、
五年生が始まる前どころか、領主会議直後に引導を渡されていたとは思いませんでした。
まぁ、それくらいダメダメだったということなのでしょう…

ヴィルフリートは優しくて素直なんだけど、側近にそれを利用されやすいんですよね。
側近達にとって都合が良い主となるように教育された結果、
情報収集が疎かになり、情報の取捨選択を誤り、他責思考に陥ったんですよね…
それもこれもヴェローニカに教育され、オズヴァルトを付けられたせいでしょう。

それでも、今まで何度も挽回のチャンスを与えられてきたのですよ。
一日神殿長で自分の未熟さを見せつけられて再教育の機会を与えられ、
白の塔へ入った罪を咎められてもローゼマインの取りなしで許され、
嫌われている元凶のオズヴァルトを辞任させて更生の機会を与えられ、
バルトルトの暗躍に気付けなくても側近を介して忠告をしてくれて、
今回もラストチャンスでライゼガング系貴族の教育者を入れる打診をされたくらいです。
親の愛としては、これ以上ないほどでしょう。

ですが、ヴィルフリートはそのチャンスを悉く逃してきたし、
最後のチャンスも自分には無理だと断ってしまいました。
本編で書かれていた通り、ローゼマインはハッセやローデリヒといった課題を乗り越えて学習してきたし、
おそらくシャルロッテも同様の試練を乗り越えてきたんだけど、
ヴィルフリートだけが忌避して脱落したんですよね…

側近を守れるならギーベで良いと考えてるみたいですけど、
アウブの側近、という輝かしい将来の展望を抱いていた側近達からすると、
領主一族の側近ですらなく、ギーベに協力する文官や騎士という立場が用意されたとしても、
彼等がそれで納得するとはとても思えないんですよね。
本当に、フェルディナンドが昔に指摘した通り、
先のことが見えてない子供だと思います。
次の2巻では更にやらかしてしまいますからね。
ヴィルフリートは何でもローゼマインが悪いと思っていたのでしょうが、
今までどれだけフォローされてきたのかを実感するのはこれからだと思います。

それとドラマCDの特典SSですが、こちらではレスティラウトが冒頭から父親から説教されてましたが、
それでもまだ、嫁盗りディッターを仕掛けた責任の大きさを感じていないように思えます。
エーレンフェストとの常識の齟齬を解消しようともせずに強引に仕掛けて、
ヴィルフリートを騙してサインを書かせた悪辣さを全く反省していないんだよなぁ…

そのしわ寄せを自分で請け負おうとは全くしていない上に、
エーレンフェストに被せず、自分だけ負担するハンネローレを見てイライラするとか、
本当に困ったお兄ちゃんだなぁ…
ジルヴェスターは大領地相手だから遠慮しているのかもしれないし、
何だったら、レスティラウトがアウブになってからこの件を持ち出して仕掛けるつもりかもしれません。
それを警戒しているから、ヴェルデクラフは厳しいのではないかな?

それというのもジルヴェスターは嫁盗りディッターの本質をクラリッサから報告を受けていると思うのですよ。
ローゼマインの心の平穏と、ハンネローレの望みを叶えるためにローゼマインには黙っているだろうけど、
側近仲間と保護者にはしっかりと報告しているのではないかと思うのです。
もしかしたらシャルロッテも知っているかもしれません。
そういった内幕は次巻以降で明らかになるのではないかと予想しております。

それはそうと二歳児の時のハンネローレはとても可愛いですね!
舌っ足らずでレスティラウトに置いていかれる涙目の幼女とか、可愛すぎでしょう。
これを無視できるとかレスティラウトは酷いお兄ちゃんですよ。
でもまぁ、こういった兄妹はどの世界でも見ることができるんですけどね。

そんなレスティラウトの第一夫人に誰がなるのかだけど、
レティーツィアが候補に入っているのには驚きましたが、納得ではあります。
現時点では王命があるので無理そうだと認識しているのは安心ですけどね。
あの王命を何とかしようとしたら、絶対にフェルディナンドが邪魔するでしょう。

そしてハンネローレとローゼマインが揃うと厄介事が起こると予想するのは間違ってないんだけど、
二人とも巻き込まれているだけで、二人に責任は殆どないんですよ。
むしろ、二人が厄介事を何とかできる限り平穏に収めているくらいなんですよ!
よくやったと褒めてあげるべきだと思います!

この続きは現在も連載中で完結していないので、続きを読みたくてヤキモキする日々です。
今年はまだ、ふぁんぶっくと短編集も出ますし、
第三部のアニメ化や、引き続いてのコミカライズのお仕事もありますからね…
香月先生もお忙しいとは思いますので、無理をせず書いて欲しいものであります。

余談。

女神から「命を奪うな」という命令が出ている中で、
ヴィルフリートがどうやってバルトルトを処刑するのか?
という疑問が出てきたんですが…
やはり名捧げ石を使って
「バルトルト、自害しろ」
「…ありえない… この私が…」
とかやるのでしょうか!?
ちょっと気になりますw

:: 2024/7/29 月曜日::

■[ラノベ]ライ麦畑でチート三昧「商人令嬢はお金の力で無双する」2巻

商人令嬢はお金の力で無双する2巻商人令嬢はお金の力で無双する2巻
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
作者サイト:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する 2
Kindle版まとめ買い:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する 2

敏腕商社OLの前世を持つ侯爵家の血筋の父と平民(ということになっている)母の間に生まれたサラ。
両親が亡くなったことで引き取られた祖父の家で従兄たちに殺されそうになったので、
領地にいるもう一人の伯父の元で養育されることになったんだけど。
そこであっという間に頭角を現してしまうのだった…

麦の一大産地で麦角菌が見付かったことで自重しなくなったサラだけど、
前世の知識に加えて魔法もある上に、そこに更に妖精チートでとんでもないことになってますよ。
とはいえ、それくらいないと難しいくらいのことをやらかしていますね。
話のテンポが良いのは喜ばしいけど、凄すぎるチートに周囲の人間だけじゃなくて読者の私も苦笑いです。

しかし、他国からの干渉を既に受けている状態が発覚した現状を見ると、
後手後手に回っている所から巻き返そうと思ったら、
これくらいのチートはやっぱり必要ですよね…
というか、ロバート伯父様や侯爵閣下もまだまだ視野が狭いというか…
多国間を飛び回っていた前世を持つサラだからこそ気付けたのかもしれません。

そして隣国であるロイセンの裏事情が読者に唐突に開示されましたけど、
レベッカ嬢に言い寄ったアドルフ王子のクズすぎるエピソードには反吐が出そうでしたね。
第三王子夫婦が可哀想だけど、それもこれも子供の教育を間違ったロイセン王のせいでしょう。

子育てに失敗して苦労するパターンはグランチェスターもそうだけど、
アダムたちはまだギリギリ大丈夫なラインですからね。
その負担はかなりの割合でサラにのし掛かることになるので、
頑張って頂きたいところです。

それにしてもサラが成長した姿のソフィアはわりと反則ですよね…
幼い少女は大人に変身する願望があるとは言いますが、
時を操る妖精さんとか本当にチートすぎると思いました。

:: 2024/4/24 水曜日::

■[ラノベ]異世界転生ょぅι゛ょっょぃ「商人令嬢はお金の力で無双する」

商人令嬢はお金の力で無双する商人令嬢はお金の力で無双する
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
作者サイト:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する

平民の母と貴族の父が駆け落ちした先で生まれたサラは両親が亡くなり祖父に引き取られたけれど、
侯爵である祖父の家にはイジワルな従兄たちが3人居て、いじめられて池に突き落とされてしまう。
死にそうになった時に日本の商社で働いていた記憶とともに魔法の力に覚醒したサラは、
力を身に付けるために王都の別邸を離れてもう一人の伯父がいる領都へ向かうことになるんだけど…?

TOブックスから刊行されたのは女性主人公の異世界転生モノです。
8歳の幼女なのに異世界で培った能力で危機に陥った侯爵家で無双して頭角を現せていく物語です。
かなり濃密で怒濤の如くイベントが盛り盛りなので読んでて疲れそうになるけれど、
面白さも濃厚になっているので、どろり濃厚家系ラーメンみたいな作品になっております。

サラも始めは猫を被って虎視眈々と実力を身に付けていくつもりだったみたいだけど、
前任の代官が横領して追放されたけど、文官能力が低い伯父が目の下にクマを作りながら、
今にも倒れそうになっているのを見かねてついつい助けちゃうんですよね。
8歳の幼女に次々と指示されて動く周囲の大人たちも驚いたでしょうが、
バリキャリだった商社務めの経験は異世界でも冴え渡るのです。

男尊女卑の世界で、有能だけど芽が出せない女性たちをメイド、侍女、錬金術師に薬師と、
あらゆるジャンルで引き上げて適材適所に割り振って活躍させるのは、
とてもリーダー気質で、サラこそが次期侯爵に相応しいように見えるんだけど、
本人は貴族社会で便利なコマのように使われるのが我慢ならないので、
平民の商人として自由に生きたいから頑張ってるんですよね。

とはいえわりと甘いところがあるので、
麦角菌に冒された村を救うためにすぐに自分の能力を隠さなくするとか、
とても危ういところがあるのが心配です。

すごく良いところで終わったので続きが読みたいですね。
基本的にWeb版からあまり変更はないみたいですけど、
書籍化で書き下ろしが読めるのは嬉しかったですね。
他者視点だとサラの規格外さがよくわかるので、もっと読んでみたいです。

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