よつばと! 16巻は2月26日発売!
今回のよつばは高尾山に登山!
:: 2024/12/14 土曜日::

■[ラノベ]大変で苦しかったこれまでと、大変だけど楽しそうなこれから「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集III」

本好きの下剋上の短編集もついに3冊目ですね。
この短編集にはWebに上げているSSと、本編の書店特典のSSを収録した短編集なので、
ドラマCDやDVD/BD特典等の短編は収録されていないし、される予定はなさそうなので、
そちらが気になる場合はTOブックス公式通販で購入することをお勧めします。
全部買ったら20万円くらいかかるので、冬のボーナスが出た方ならいけるかも…?
ちなみに私はほぼ全部持ってます。
私のお勧めはドラマCDの特典SSですね。
特に本編完結後のエーファ視点で書かれたドラマCD9の特典SSが素晴らしいんだ…
BOOK☆WALKERでは特典SS付きで電子媒体で出てるらしいので、再生機器がない人にはそちらをオススメします。

さて、本編の感想ですが…

・「暴走娘の共通点」
ベンノ視点でかつての恋人であり、幼馴染みリーゼの回想ですね。
こちらはふぁんぶっく4の鈴華さんの短編漫画を読んでいれば、より味わい深くなっています。

少年時代のベンノが妹とその友人であるリーゼに振り回されていますが、
その様子すらも若さが感じられて微笑ましいですね。
この時代のベンノさんは頼りになる父親がまだ健在だからか、
少し甘えが見えるような気がします。

そんなベンノさんが頼り甲斐がある存在にならざるを得ない状況に追い込まれ、
それでも踏み留まって成長したからこそ、マインが救われるんだよなぁ…
そして、かつての自分ではリーゼを救えなかったけれど、
成長したベンノさんはマインを救えて、ひいてはユルゲンシュミットを救えたんですよ。
ベンノさんは誇っていいと思います。

・「側仕えの初仕事」
オティーリエが側仕えとして初めて城へやってきた場面ですね。
エルヴィーラとはお友達とはいえ、細かい事情は知らされていなかったことが窺えます。
そこら辺は上級貴族らしい情報統制っぷりですね。

とはいえ側仕えとして仕事をする上での情報は必要なので、
そこから色々な情報が見えてくることを考えれば、
要職に就くことの重要性がよく伝わってきます。
まぁ、本人にはまだ会えてないから大の本好きと言われても具体的には想像できないでしょうし、
実物の規格外っぷりには驚いたのでしょうが…w

リヒャルダの裏事情が開陳されましたが、
アウブ・エーレンフェストにとっては便利な駒なんですね。
とはいえ、リヒャルダが居たからこそローゼマインは成長できたので、
リヒャルダを配したのはジルヴェスターの英断だったと思います。

・「ブリュンヒルデの事情」
魔力圧縮を頑張りすぎたせいで領内にお相手がほぼ居ないという、
ローゼマインの側近だけの事情がブリュンヒルデにも有った、というエピソードですね。
リーゼレータもそうだったけど、ブリュンヒルデも跡取り候補でしたからね。
色々と考えることが多くて大変です。

ブリュンヒルデの母は縁故でしか考えてないからハルトムートを推してますが、
ハルトムートの狂信的なところはレーベレヒトも数年間知らなかったくらいですから、
ブリュンヒルデの母も知らないからこそのお勧めなのでしょう。
ブリュンヒルデもレオノーレも知っているからこそ、近寄りたくないんでしょうねw

・「神官長室の雑談」
フェルディナンドがいかに実力主義者だったのか。
ローゼマインの影響が如何に大きかったのか、ということがよくわかるエピソードですね。
側近たちも雑談しながらお仕事してるんだ、と少しほっこりしました。

・「問題だらけの領主会議」
敵地で貴族の事情で雁字搦めにされたら、
いくら優秀だとはいえフェルディナンドも動くのが大変で、
ドンドン追い込まれていくことがよくわかるエピソードですね。
この後の事情を知った上で、フェルディナンド視点で見ると、ゲオルギーネの暗躍っぷりが凄いです。
大領地の第一夫人という立場を使って他人を動かすのが本当に上手いんですよね。
人徳と縁故を使って貴族らしく他人を動かすのはフェルディナンドよりも上手だと思います。
やはり貴族の事情をぶった切って飛び越えるローゼマインじゃないと勝利するのは難しかったでしょう。

そんなゲオルギーネとディートリンデのせいで、
アーレンスバッハには全体的に悪い印象が有ったんですが、
ディートリンデの非常識さに振り回される良識を持った貴族もそれなりに居るんだな、
というのもわかりますね。
とはいえ、事ここに至ってから狼狽するくらいなら、教育の時に頑張るべきだとは思うのですが…

ディートリンデという重しとゲオルギーネの策謀で動きにくい中で、
何とかしようと藻掻いているフェルディナンドだけど、
こういう時に頼りになるのがローゼマインとヒルシュール先生ですよね。
ライムントは便利に使われてるけど、本人も望むところだろうし、問題ないよね。

しかし、本当に絶望的なまでの状況ですよね。
こんな状況に追い込んだ原因たちへのヘイトが溜まっていってしまうなぁ…

・「踏み込みすぎた代償」
ハルトムートファンなら読むべき、と言われていた特典SSがついに短編集に収録です。
本編ではハルトムートが「フェルディナンド様に正解を貰った」と言ってたけど、
あのフェルディナンドがそんな素直に教えるはずないし、絶対に脅迫してただろう、
と思ってたら案の定でしたねw

とはいえ、自力で正解に辿り着いたハルトムートは優秀だと思います。
確かにマインとして活動していた期間は1年かそこらなので、
それくらいしか情報がないことから推論していくとそうなりますよね。
なるほど、盲点でした。

ただ、ハルトムートにとっての盲点は灰色神官でしたね。
コルネリウスに忠告されていたというのに、侮っちゃったねぇ…
平民だって知恵はあるし、頼れる貴族だって居るんですよ。
ハルトムートがまだまだ未熟なことがよくわかります。

そんなハルトムートがダームエルのことを意識しているのがよくわかるけど、
ダームエルを超えるのは難しいと思うし、
何よりもベンノやマルクより信頼されるのは難しいでしょう。
それに、ハルトムートはまだルッツがどれだけ信頼されているかを知らないからね…w
ルッツ超えはフェルディナンドでも難しいと思うけど…
頑張ってね!

・「息子の成長」
ルッツの母カルラがマイン=ローゼマインだと気付くとは意外でしたが、
女の勘を持ち出されると何も言えませんね…w
まぁ、ヒントはちゃんと提示されているから気付くのも当然なのかも?

ラルフと比較するとルッツの成長があり得ないくらいだとわかるけれど、
それが親としては嬉しいばかりかというとそうではない、というのはねぇ…
優秀すぎるから仕事で出張ばかりな上に、もうすぐ転勤で親元を離れるとか、
そりゃ寂しさもありますよね。

現代と違って里帰りなんて気軽に出来ないだろうし、
冠婚葬祭でも会えるかどうかわからないんだから。
親孝行という意味ではラルフの方ができるんじゃないかな、とも思います。

・「葬儀前の挨拶」
若い頃は周囲を振り回してたジルヴェスターが、
今となっては周囲に振り回されているというのは因果応報なのか…

ジギスヴァルト王子は無自覚な傲慢さが滲み出ていて、
それをフォローするアドルフィーネは大変ですよね。
それでもちゃんと第一夫人としてフォローしつつ、
自分の利も得ようとしているあたり、本当にアドルフィーネは優秀だな、とも思います。

そしてフェルディナンドを救おうと奔走したローゼマインの行動理由ですが、
フェルディナンドの推測は間違ってないけど、間違ってるというか…
ローゼマイン本人がそう言ったからって鵜呑みにしすぎですよ、フェルディナンド様!
ローゼマインに大切にされているということに無自覚すぎですよ、フェルディナンド様!
フェルディナンドの言うことを鵜呑みにしないようにね、ジルヴェスター…

レティーツィアの母親がここで登場していますが、
彼女の言葉からはレティーツィアのことを想っていることが伝わってきますね。
この葬儀の時もちゃんとレティーツィアと会えて話せてると思いますが…
これからレティーツィアが襲われる悲劇を思うと、ハラハラしてしまいます。

・「余所のお菓子と玩具」
この頃のレティーツィアはまだ平和というか、平和ボケというか…
ディートリンデに振り回されたり、フェルディナンドの厳しさに参ってはいるけど、
何故そんなに厳しくされるのかを全く理解していないのがよく伝わってきます。

これのフェルディナンド視点が第五部VIIのプロローグなんですけど、
それを読むとレティーツィアの教育不足がよく分かってしまいます。
この年頃の子供にしてはかなり優秀だと思うんですけどね…
虐待されていたフェルディナンドや、
転生者であるローゼマインが特別なだけなんですよ…

フェルディナンドのお菓子の食べ方に可愛く腹を立てるするあたり、
とても可愛らしい女の子なんだけど、
それが許されないのが領内に明確な敵が存在している領主候補生という立場なんですよね。
本来ならそれを理解させるべき側近が教育を怠っていたというのが、
レティーツィアの不幸なんだなぁ、と思う次第です。

・「ローゼマインが不在の冬」
エックハルト視点で見ると思考がバイオレンスすぎて笑ってしまいますし、
予想以上に罵倒語のボキャブラリーが多彩で、知的水準の高さを思い知らされます。

フェルディナンドのことをずっと見ているエックハルト視点だからこそ、
フェルディナンドが如何にローゼマインのことを心配しているのか伝わってくるし、
ローゼマインが居ないと容易にフェルディナンドに窮地に陥るのかがわかります。
そして、領地を違えると一気に情報が得にくくなるんだなぁ、というのもわかりますね…

それとエックハルトとアンゲリカはそれなりに交流が有ったことがわかるし、
エックハルトから見てアンゲリカは良い相手だったということもわかります。
この時に何気なく言った一言が形を変えて実現することになるとはねぇ…
ハイデマリーとは違った形だけど、良い夫婦になると思いますよ。

・「成長と変化」
成長したローゼマインの姿を報告するトゥーリのお話。
妹が無事で、しかも成長してくれたことが嬉しいけれど、
妹であると言えないことが寂しい気持ちも感じさせてくれますね…

それはそうと、ルッツとのほのかなラブコメ風味が感じられて良かったです。
ほっこりしますね。

・「諦めない存在」
ジルヴェスターは良くも悪くも情に厚いんですよね。
私はそこが良いと思うんだけど、アウブとしては未熟とも言えるわけで。
それを指摘してくれるボニファティウスは良い補佐だとは思うんだけど…
ボニファティウスの孫娘への情を見てると、遺伝を感じますね。
情よりもアウブとしての役目を重要視するかどうかは別なんでしょうけど。

ジルヴェスターから見るとローゼマインの暴走もそうだけど、
ヴィルフリートの考え無しの言葉も頭が痛いんですよね。
ただ、後者に限っては自分の教育不足なので自業自得だと思います。
教育を実母に任せてオズヴァルトを罷免するのが遅かったのを反省なさいませ。

フェルディナンドがローゼマインへと遺言を飛ばしたことについて歯痒く感じているけど、
ふぁんぶっくによると、そんな情とかそういったものでは無さそうなので、
そこは安心なさいませ…w

・「ダンケルフェルガーの会議室」
私はこの特典SSがどうしても読みたかったので初めて紙書籍版を買って、
そこから短編集に収録されていない特典SSをTOブックス公式通販で揃えたのです。
そう言った意味ではとても思い出深い短編ですね。

ハイスヒッツェ視点から見ると、自分の善意が完全に裏目ったことを知りショックを受けていますが、
こればかりは情報収集を疎かにした自業自得なんですよね。
ハイスヒッツェに限らず、レスティラウトもそうだけど、
今も昔も、ダンケルフェルガー男子というのは情報収集を疎かにして動いてしまい、
結果としてそれが悪い結果を出してしまうものなのだなぁ、と思います。

それを律するのが計算高いダンケルフェルガー女子だというのがよくわかりますね。
ジークリンデ様もブレなさと、冷酷さにはちょっとショックを受けますが、
それでも自領のことを優先して考えるのは領主一族として正しいと思います。

でも、だからこそ、ローゼマインがグルトリスハイトを持つことを示唆されたら、
許可を出さざるを得ないんですよね。
本当に、水戸黄門の印籠のように効くんだぁ…w

それでも自領のため、娘のために動くのは計算高いとは思います。
まぁ、その娘のためになるからと戦場に送り出すあたりは、
とてもダンケルフェルガーだな、と思いますが…
ハンネローレ様が武寄りの領主候補生だということを見抜いているのでしょうね。
だって母親なんですもの。

・「相変わらずの騒動の原因」
ローゼマインに振り回される下町の平民たちだけど、
ローゼマインのことを理解しているからこそ、あり得ないと思わずに、
必死に情報を集める姿はある意味頼もしいというか…w

トゥーリはマインのことも理解しているからこそ、
ローゼマイン様が嘘をついたことに気付いているのがとても良かったですね。
あぁ、二人は実の姉妹なんだなぁ、というのが感じられるのです。
そして、その状況を聞いただけでローゼマイン様の心境も正確に推し量ってるあたり、
ルッツも幼馴染みなんですよ。
そして、僅かな情報だけで正確に推測を立てられるルッツは優秀ですね。

振り回されるのは大変だと思うし、
戦いが終わったばかりで大変なんだろうけど、
この頃の貴族院での殺伐さを知っていれば、
この二人が平和にやり取りできているのは、
ローゼマインたちが頑張っているお陰なんですよね。
そう考えると、この平和なやり取りがとても得がたく、尊く思えました。

・「夜空の星」
ごく短い短編だけど、異世界ファンタジーさと、
ほんのりとしたラブコメの要素が感じられて良かったです。

・「消えて、戻った妹」
この短編は加筆が多くて、既読の私にも満足感がありました。
いきなりの巨大ヴァッシェンに巻き込まれたコルネリウスが、
何とか妹を守ろうと頑張っていたことを知ってちょっと嬉しかったです。

コルネリウス視点で読むと、戦い中もそうだけど、事後処理でもハイスヒッツェは有能ですね。
まぁ、だからこそ、事情を知る読者からすると残念に思えるんですが…w
実兄のエックハルトは優秀だけどフェルディナンド至上主義すぎて、
頼り甲斐はあるけど、面倒くささも半端ないと思ってしまいますw

逆にレオノーレはどんな時も優秀に見えるんですよね。
パートナーとしても、同僚としても非常に頼り甲斐があるので、
レオノーレを選んだのもわかるなぁ。

時間がない中でフェルディナンドとレオノーレが、
ピチピチ跳ねるハルトムートを見て一瞬沈黙したシーンは、
読んでて笑っちゃいましたねw

ローゼマインを寂しがらせてはならない、と女神の御力を前に踏ん張るところは、
コルネリウスは良いお兄ちゃんだな、と思いました。
これからも大変だろうけど、良いお兄ちゃんでいて欲しいですね。

・「頭の痛い面会依頼」
ジルヴェスターも振り回されて大変だろうけど、
フェルディナンドとローゼマインはもっと大変だったんだから、
兄として、養父として頑張らないとね。

忙しい中でちゃんと打てる手は打ってたり、
可能な限りフォローしようとしているところは、
ちゃんとアウブしてるなぁ、と思うんですよ。
それがヴィルフリートに受け継がれなかったのは残念だけど、
シャルロッテはちゃんと学んでいるようなのが救いですね。

これの続きはドラマCDの特典SSにありますので、
気になる人は是非とも読んで欲しいですね。
あれには秘密主義のフェルディナンドがどう誤魔化しているのか、
ちゃんと書かれていますから。

・「別れの女神に祈りを」
アドルフィーネがどのようにして離婚を勝ち取ったか、という痛快なエピソードです。

アドルフィーネはローゼマインと同じく王族に振り回されて不利益を被ってきた人なので、
どうしても応援しちゃいたくなるんですよね。
比較的中立というか、フラットな立場な彼女から見ると、
トラオクヴァールが如何に無責任で問題がある人なのかが見えてきます。

そしてその息子であるジギスヴァルトのクズっぷりがよく見えるんですよね。
新枕という言葉のセンスとか、そこを看破する鋭い観察眼とか、
やはりアドルフィーネは優秀だと思うんですよね。
側近からきちんと支持を得られているし、父への根回しもきっちりしてるし。

ただ、その父であるアウブ・ドレヴァンヒェルは貴族らしい貴族であり、
アウブとしての利でしか見えてないから地雷を踏みまくっちゃうんですよねw
何とか回避しようとアドルフィーネとエグランティーヌが奮闘するあたり、
如何にローゼマインとフェルディナンドが恐れられているかがよくわかります。

これは次作であるハンネローレの貴族院五年生にも繋がってくるんだけど、
アウブ・ドレヴァンヒェルは既存の貴族の常識で動いてしまうが故に、
子供達の縁談では悉く失敗してしまうんですよ。
結果だけ見ると、アウブとしても、父親としても失格なんですよね。

アドルフィーネ視点で驚いたのは、この時点でエグランティーヌがツェントとして自覚を持ち、
トラオクヴァールとジギスヴァルトを思いっきり切り捨ててるところですね。
思い切りが良いというか、ある意味貴族らしいというか…
これだけ割り切りが良くなったのは始まりの庭で誓いを立ててからだと思っていただけに、
ちょっと驚きました。

そしてジギスヴァルトの傲慢さは本当に鼻につきますね。
これが矯正されずに残ったからこそ、ハンネローレは苦労するんだけど…
その責任はアドルフィーネにはありません。
教育した両親のせいだと思います。

・「ツェントからアウブへ」
難しい立場だったと思うし、可哀想な人だとは思うんだけど、
間違いなく加害者である、責任を取らなかった人であるのがトラオクヴァールです。
本人はツェントの立場を相応しいエグランティーヌに任せられて良かったと考えていますが、
読者からすると、責任を押し付けたことには本当に無自覚なんだな…
と呆れるしかないです。

側近に目隠しされていたのに気付くも遅かったけれど、
それも側近を教育してこなかった主としての怠慢だったと思うのですよ。
自分がツェントに相応しいと思わないのなら、
それを嘆くのではなく、相応しくなろうと周囲を巻き込んで努力をすれば良かったのにね。

それにしても事態が起こった後になっても、
エグランティーヌに教えられるまで事件の背後関係も知らなかったとか、
責任者として情報収集もしようとしなかったとか…
本当に呆れるというか、何というか…

アウブとしてやり甲斐を感じられるようになり、
少しは前向きに努力して、責任感が育まれるのなら喜ばしいんだけど…
本人が無自覚とはいえ、時の女神と交わした約定を違反した咎があるので、
神々から罰が与えられないと良いよね、と思います。
神々からするとメスティオノーラの書を持たない自称ツェントでしかないので、
責任を取らされない可能性もあるけれど…
大丈夫かな?

・「誓いの言葉と解釈」
今回書き下ろしのダームエル視点。
フェルディナンドの婚約式での誓いの言葉の一般的な解釈ですが…
ダームエルはやはり一番の騎士ですね!
色々な意味で頼り甲斐があります。

それにしてもミュリエラは生き生きしてますねぇ。
録音の魔術具を用意して、エルヴィーラにお願いするだけでなく、
趣味と実益にもちゃんと繋げているあたり、
とても優秀な文官に育っていると思いますよ。
伊達にローゼマインの元側近じゃないな!w

そしてエルヴィーラお母様の楽しそうなこと!
実の娘と最推しの結婚という、人生最良の時を最高に楽しんでて、
今までの苦労も全て報われたことでしょう。

ダームエルはユーディットのことまでちゃんと考えてあげてて、
やっぱりローゼマインの筆頭護衛騎士はダームエルだな、と思いました。
早くアレキサンドリアに移動して、シュトラールを支えてあげて欲しいですw

・「旅の終わりと新しい神殿」
フランは優秀だけど、灰色神官としての優秀さに特化している分、
旅路では殆ど役立たずだったのにはちょっと驚きましたね。
むしろヴィルマの方が役立っていることには更に驚きました。
やはり多少なりとも外に出た方が良いのでしょう。

ふぁんぶっくで先に情報が開示されていましたが、
ハルトムートはアレキサンドリアでは神官長をしないんですね。
青色神官の服は着ないけれど、神殿には出没するみたいだし、
クラリッサも神殿に訪れるようですが…
おそらく神具を出すため、頻繁に魔力供給をすることでしょう。
それを諫められる人間はいないだろうし、これから大変だろな…w

平民である灰色神官の立場から見ても、
ディートリンデのやりようはあり得ないものだと思いますよね。
それを目の前で見せられた旧アーレンスバッハ貴族が肩身が狭いのもわかりますが、
それを育て、止められなかった責任が旧アーレンスバッハ貴族にはあるので、
今後とも肩身を狭くするべきだと思います。

平和になったとはいえ、危機感をちゃんと持って、
大事なものを守る為に備えるあたりは、
ローゼマインもフェルディナンドも本当に優秀ですよね。
やはり平和だからといって油断しないのは大切です。

それにしてもアレキサンドリアの神殿にも困った青色神官や青色巫女はいますね。
そういった馬鹿たちに最初に釘を刺すのは変わらないですし、
一度やり遂げているからこそ、ローゼマインもフランたちに任せているのでしょう。
きっとこれからのアレキサンドリアの神殿も大丈夫だろうと感じます。

ローゼマインが神殿長であるのは後2年くらいしかないけれど、
神殿長を退いても神殿に訪れることはあるだろうし、
フランはこれからも頑張って欲しいですね。

:: 2024/10/22 火曜日::

■[ラノベ]ヘタレ男の一世一代のプロポーズ「商人令嬢はお金の力で無双する」3巻

商人令嬢はお金の力で無双する3巻商人令嬢はお金の力で無双する3巻
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する 3
Kindle版まとめ買い:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する 3

グランチェスター領に襲い掛かる苦難の数々から、他国からの陰謀を察知したサラ。
色々と自重を捨てたサラの活躍によって窮地を脱したけれど、
そもそもサラは転生者とはいえまだ8歳の幼女なので、
仕事ではなく勉強や、やりたいことが沢山あって…

今回、ついにロバート伯父様が初恋相手のレベッカにプロポーズしてますが…
これがまぁ、凄いヘタレっぷりで笑っちゃいましたね。
サラの強烈な後押しと周囲からの過剰なまでの配慮があったというのに、
肝心の本人がアホすぎて、あんなにグダグダになっちゃうなんてね…!w

それに比べて同じヘタレのグランチェスター一族とはいえ、
ジェフリー卿の息子であるスコットは随分マシですね。
ちゃんとサラに自分の好意をストレートに伝えているし、
ジェフリー卿の血筋には厄介なヘタレ遺伝子が継承されていないのかもしれません。

スコットだけでなくイケメンすぎるトマス先生に、
火災現場で拾った少年のブレイズと8歳にしてモテモテのサラですが、
彼女は転生者故に対象年齢が高めなので、逆ハー展開の本領発揮はまだ先でしょう。

そもそもサラは前世からしてワーカホリックすぎて恋愛で失敗してきたのに、
今世での仕事の詰め込みすぎっぷりを見る限り、そこは改善できてないように思えます。
つまり、今世でも恋愛からは縁遠い人生を送りそうな気がするんですが…
はたして大丈夫なのかな?
サラの今後の恋愛問題が心配ですね!

:: 2024/8/13 火曜日::

■[ラノベ]時をかけるダンケルフェルガーの女「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」1巻

前世の本須麗乃時代に得ていた本に囲まれた生活と、
現世のマイン時代に得ていた家族愛に包まれた生活。
かつて持っていたけれど、家族を守る為に貴族のローゼマインになって失っていったものを、
最後にはついに取り戻して見事に完結した「本好きの下剋上」
本作はその後をローゼマインの親友であるハンネローレの視点から綴った外伝の1巻になります。

注:以下はネタバレ全開の感想になります。

プロローグはハンネローレの筆頭側仕えのコルドゥラ視点ですね。
子供の筆頭側仕えは両親の側近から選ばれることが多いのは知ってましたが、
コルドゥラは元々ジークリンデの側仕えだったんですね。
元主従の二人から見たハンネローレの問題点が列挙されていますが、
大人視点から見てみればハンネローレの未熟さは一目瞭然ですね。

ただ、ハンネローレを擁護することもできるのですよ。
エーレンフェストの祝勝会に参加した時は、
お友達のローゼマインが「王命で引き裂かれた想い人を助ける為に礎を奪う」という
愛読しているフェルネスティーネ物語以上の恋物語を見せられた直後な上に、
ずっと憧れていた恋物語の作者であるエラントゥーラ様に会うことができたため、
ハンネローレ史上、一番の恋物語フィーバーが起こっていると思われるのですよ。
だから自分の恋を何とかしようとは全く頭に思い浮かべられなかったんだろうな、と…w

ジークリンデは策士としての腕が見事なのでアドルフィーネを賞賛していますが、
コルドゥラが言うように、ハンネローレは魔力量と戦闘能力に適性があるのですよね。
これからコルドゥラが言うような事態が起こるんですから、
筆頭側仕えとして主のことをよく見ていると思います。

ジークリンデも母として、無責任で能力不足なジギスヴァルトとの婚姻を避けたり、
節操なしなアウブ・ドレファンヒェルの縁談から守る為に、
そして、ハンネローレが自分で選べるように婚約者ではなく、
婚約者候補を二人見繕っているあたり、とても親の愛だなぁ、と思うのですよ。
ヴェローニカのような独善的で一方的な親の愛の縁談押し付けとは違いますよ。
ジークリンデはとてもまともな母親だと思います。
それをハンネローレが気付けるのはいつの日なのかな…?

そしてハンネローレ視点で語られる入寮からの本編ですが、
前作からのファンにとっては知りたかった情報が色々と出てきてホクホクですね。
ローゼマインの親友だと自他共に認められたハンネローレが苦労を背負いこむことになってますが、
この世界の貴族は権利と責任はワンセットなので仕方が無いですよね。
責任だけ放棄しようとする愚か者はフェルディナンドがくしゃっと叩きつぶしちゃったので、
これからは多少マシになると思いますよ、ハンネローレ様。

ツェントとなったエグランティーヌは粛清の責任を取るべき実家のクラッセンブルクではなく、
功績が大きいローゼマインを重要視しているのには安心しましたけど、
そのせいでエーレンフェストとハンネローレに縁談が殺到しているのはとばっちりですね。
他領のアウブは神殿改革する必要性と切実性は領主会議で理解したのでしょう。
ただ、どうすれば良いのかは全くの知見がないので、知っている相手にやらせたいんだけど、
エーレンフェストは今後数年は嫁入り&婿入りのみと定められているので、
ハンネローレに縁談が殺到しちゃうのは本当に可哀想だな、と思います。

貴族院に入って早々にダンケルフェルガーのダンケルフェルガーらしさが全開で呆れましたけど、
「シュタイフェリーゼより速く!」
という言葉がローゼマイン発だということは知られてないみたいですね。
おそらくローゼマイン本人は特に気にしないでしょう。
むしろ、それで更に崇められてディッターを吹っかけられる方が迷惑するでしょうね。
エーレンフェストにはディッターを吹っかけないという約定は結ばれたけど、
アレキサンドリアとは結んでないですから…w

ラザンタルクが精一杯の求愛の言葉をハンネローレに捧げてますが…
全く響いてないのはちょっと可哀想ですね…
ハンネローレはラザンタルクがハイスヒッツェと似ていると評していましたが、
おそらくそれは正しいです。

ハイスヒッツェは自分の常識と十年前の記憶を根拠に動いたせいで、
結果としてフェルディナンドに盛大な迷惑を掛けました。
ラザンタルクも自分の常識と幼い頃の記憶を根拠に今のハンネローレを見ずに求愛したせいで、
ハンネローレは迷惑しているんですよ。
悪い子ではないんだけど、ちゃんと相手を見て、理解しないと、何事も上手くいかないと思うのです。
ダンケルフェルガーの騎士が持つ宿痾なのかもしれませn。

それに比べるとケントリプスはハンネローレのことをよく見ていると思うのです。
ハンネローレが幼かった頃の思い出はしっかりと大切にしていながら、
ローゼマインと出会ってどのように成長してきたのか、理解できていると思うのです。
ある意味、本人以上に理解できているのではないかな、とまで思います。

そして異母弟のラオフェレーグですが…
彼は前作では継承の儀式に出席を見合わせられたのも納得の馬鹿ですね。
幼い頃から最上級の教育環境を得られて10年間みっちりと教育してこれというのが…
身分を笠に着て他者に自分の傲慢を強要しようとするあたりは、
とてもレスティラウトに似ていると思いました。
ただ、レスティラウトの根底には一応他者への優しさもありましたけど、
ラオフェレーグにはそういったものが全く感じられないのがねぇ…

進級式と親睦会ではラザンタルクがTPOを弁えずに自分本位で口説いてますが、
そういうところがあかんのやぞ、と思ってしまいますw
ブルーメフェルトとコリンツダウムは二つの領地のアウブの性格が出ているのは予想通りでした。
そして一年も経たずに学生の心をつかむローゼマインはやはり規格外ですよね…
多分、歓迎のお礼としてフェシュピールを弾いて祝福を送ったり、
慈悲と利益を振りまいて、学生の成績を上げる方針を打ち出したり、色々とやったんでしょうね。
うーん、詳細を知りたいけど、続編で書かれたりしないのかな?

親睦会でのローゼマインの配置ですけど、
おそらくハンネローレの予想通りフェルディナンドが裏に居ると思います。
というか、エグランティーヌの施政はフェルディナンドの監視が常についていることでしょう。
魔石恐怖症のローゼマインのために魔石部分を覆い隠すように婚約魔石を装飾したりと、
フェルディナンドはとても過保護ですからね。

アナスタージウスは苦言を呈しているけれど、
ローゼマインもハンネローレも巻き込まれるだけなんですよ。
それでも大きな事態が起こってしまうのが困ったものなのです。
むしろ、そのような事態に巻き込まれながら、
色々と奮闘している二人を褒めてあげて欲しいくらいです。
巻き込まれる資格すら得ていない王族たちの無能さこそを反省して欲しいものです。

ヒルデブラントは今のところ大人しいですけど、
本人がどこまで反省しているのかは現時点で未知数ですね。
レティーツィアはとても反省しているように見えるし、
これからも苦労を背負い込みますから頑張って欲しいです。
ヴィルフリートは後述しますが、相変わらず脳天気に見えるのに比べて、
シャルロッテは中継ぎアウブを任されているので大変でしょうね…

座学の講義で会ったローゼマインのご機嫌さを即座に
「図書館か本について何か考えている」と察することができるとか、
ハンネローレもローゼマインの親友らしい理解度ですね!w
そして実技の講義で即座に動いたオルトヴィーンは本当に有能です。
本当に有能な領主候補生とはどういうものかという、お手本のようです。
ドラえもんにおける出木杉くんのような印象を受けます。

領地としての利をしっかりと押し出している上での求婚だし、
ハンネローレの実力と性向を把握しているし、
何よりもヴィルフリートへの恋心まで確信を持っているだなんて、本当にやり手すぎる。
それでいてついうっかりと本気の恋心を見せてしまうんだから、
そりゃもうハンネローレは大変ですよね…

しかしハンネローレもローゼマインと同じくらい殿方の気持ちに鈍感というのは、
ある意味正しいけれど、ローゼマインもハンネローレには言われたくないあろうなぁ…
と思うくらいに中々に酷いものでしたね。
まぁ、ラザンタルクが恋物語とか読んで勉強してこなかったのも悪いと思いますw

髪飾りの件については、ローゼマインとハンネローレの挿し絵が有ったのが一番助かりました。
一年前とは逆になった身長差もそうですが、
お揃いになった髪飾りとローゼマインの新しい色のマントに胸元を飾る婚約魔石と、
読者が見たかった箇所が全部描かれていて大満足でした。

来年の卒業式におけるローゼマインの展望は、言われて見ればその通りなんだけど…
学生どころか現代の貴族の常識では計れない心配をせざるを得ないとか、
ローゼマインは本当に規格外すぎますよね。
ただ、それも王族がまともに機能していたらこんな心配をする必要がなかったんですけどね。
次に奉納舞or御加護の儀式で始まりの庭に行けるのはメルヒオールかなぁ…?

それにしてもこそこそと小声で心配するのは良いんだけど、
下手に情報を零してしまったために周囲に邪推させる材料を与えてしまうあたり、
ヴィルフリートは本当に迂闊ですよね…
どうしても「そういうとこやぞ」と思ってしまいます。
悪い子ではないんですけども…!

ローゼマインとハンネローレがお茶会でお互いの領地の情報を小出しにしてやり取りするのは、
二人ともちゃんと領主一族してるなぁ、と感心しました。
何だかんだでローゼマインも教育の成果が色々と出ていると思うのですよ。

でも、特殊な環境で育ったので、自分を客観視できていないのは相変わらずで、
養子縁組を歌った曲が恋歌と誤解されているのに気付かないあたりは変わらないですね。
そう言えばフェルディナンドがアーレンスバッハで歌った曲も誤解されましたっけ。
遠回しに言う貴族文化は誤解されやすいということが多々あるのかもしれません。

ヴィルフリートに纏わる王命に関する噂と根回しが王族の領分というのは理解できますが、
おそらくエグランティーヌたちは要望されない限り動かないでしょうね。
勝手に動いて迷惑を掛けたらいけないし、それに他の仕事で多忙でしょう。
むしろ王族に要望を出さないヴィルフリートの方に問題があるように思えます。

ローゼマインは今だからと色々と内情をぶっちゃけてますが、
確かにヴィルフリートとの婚約はお互いにとっては苦痛の多いものでしたからね。
それを憧れの婚約だと誤解させていたのがフェルディナンドの過保護な贈り物だったあたり、
色々と罪深いなぁ、と思います。
まぁ、その婚約を大切にせず、魔力圧縮を必死にしなかったヴィルフリートの罪も大きいのですが…

ローゼマインが貴族院に来て寂しいと感じる理由ですが…
本当の貴族と会えないのは前と一緒だけど、一度再会できているだけに寂しさも一入なのか。
義理の兄妹が居ないから寂しさが大きいのか、
それとも心を通わせたフェルディナンドと離れているから寂しいのか…
うーむ、妄想が広がりますね。

そして喧嘩の事情聴取で語られたケントリプスの想いですけど、
彼は彼で色々と抱え込んでいることがよくわかりました。
文官という特性上からか、私はフェルディナンドと比較してしまうんですよ。
そして比べてしまうとどうしてもケントリプスの未熟なところが見えてきます。

大切な相手を守る為に魔術具を準備するという発想は同じでも、
フェルディナンドはローゼマインの心が壊れないように「相手が死ねない魔術具」を作るのに、
ケントリプスはハンネローレが絶対に負けないように「相手を殺せる魔術具」を作ってしまうんですよ。
それが故に肝心なところで使って貰えないんですよね…
守りたい相手への理解度の差が明暗を分けたのだと思います。

ただ、この2年で理解が深まったのか、これからの展望については予想は正確だと思います。
とはいえこの時点ではこの後にあんなことが起こるとは予想できないあたり、
まだまだローゼマインと関わった時の規格外さが理解出来ていないんですよね。
そしてそういった事態に対する処世の仕方や事前準備も、
フェルディナンドに比べると大きく見劣りするのが悲しいところです。

自分の恋心と領地へもたらせる利のバランスの袋小路に入っていたハンネローレだけど、
思いがけず異母妹とメルヒオールの縁談の話を聞いたことで、
一気にブレーキが壊れた暴走特急になりましたね。
本当に、一度決めたら止まらず譲らないという周囲の評は間違いでは無かったです。

それにしても思うのはヴィルフリートの脳天気さですね。
友人の恋を応援しようという気概は良いと思うのですが、
致命的なまでに情報収集が出来ていないのが露呈してしまった上に、
ローゼマイン以上に他領にエーレンフェストの内実をバラしまうのはどうなんでしょう…
ヴィルフリートはとても誠実ではあり、そこは美点だとは思うのですが、
それは領主候補生である上では致命的であると思うのです。

ただ、正しい情報を流すことでエーレンフェストの特殊な事情の理解が得られたのは幸いでしたね。
ヴェローニカがやったことは大領地からしても常識外れの非道なもので、
ヴィルフリートはその被害者というのは、ある意味で正しいです。
その影響は多岐にわたっていますが、まさかハンネローレの恋心にまで影響を与えるとはねぇ…
ヴェローニカは本当にどこまでも迷惑を掛ける毒親だと思います。

そしてここで唐突に女神が降臨するわけですが、
ドレッファングーアはメスティオノーラと違ってお願いに来ている立場もあってか、
マインではなく、ローゼマインと呼んでくれるし、
協力してくれたハンネローレにお礼をしてくれるあたり、とても良い女神だとは感じるんですが、
前作では怖いところもあるみたいなことを言っていたので、
今回は彼女が怒らなくて少し安心しました。

女神の御力で精神だけで一年前に戻ったハンネローレですが…
彼女が即座に動いてしまった事情はわかるんですが、
結果だけ見ると、情報を集めずに拙速に動いて失敗するダンケルフェルガーの典型例でしたね。

この時のヴィルフリートは尖ったところが有りまくりで、
周囲からは散々けなされて、側近が解任されたりとささくれ立っている真っ最中ですからね。
アウブ・エーレンフェストになって欲しいと言ってきたハンネローレは敵認定されたのでしょう。
いやはや、本当にこの時のヴィルフリートは本当に未熟だと思います。

それに比べてエグランティーヌはバランス感覚に優れているんですよね。
お互いの事情に理解を示した上で、やらせるべきことをきちんとやらせるあたり、
この頃からツェントとなる資質は充分にあるのだと思わせてくれます。
まぁ、本人はツェントになることを望んでなかったのでしょうが…

そしてコルドゥラからの冷静な指摘ですが、ある意味正しいです。
ヴィルフリートは結果として騙したようで申し訳ないから再戦したいと考えていたんですよ。
レオノーレたちに却下されただけなので、誠実ではあろうとしたのです。
ですが、次期アウブという言葉の重みを理解していない浅慮であるのは正しいです。

それにしても一年前はハンネローレはこれだけ苦労していたとは…
元凶は間違いなくレスティラウトの横暴な嫁盗りディッターだというのに、
それに対するケアは側近二人のケアだけ、というあたりがレスティラウトは傲慢だと思います。
大領地のお坊ちゃんとして育てられたから、そんなメンタルなのかもしれませんが、
そんなことだと、将来フェルディナンドにボッコボコにやられそうな未来しか見えないのですが…
大丈夫なのでしょうか?

ラストでは縁結びの女神リーベスクヒルフェが気を利かせたせいで、
多くの求婚者が列を成してやってくるという大変な事態に陥りましたね。
シチュだけみると乙女ゲームみたいですけど、
ハンネローレ当人にとってはそれどころではないでしょうw
神々と関わると大変なことになる、というのがよく理解できたと思います。
今後はローゼマインに対する理解も捗りそうですね!

エピローグはケントリプス視点ですが、彼も苦労性ですよね~…
ダンケルフェルガーの文官とはそういった性分の人が多いのかもしれません。
彼の視点で見る女神の降臨のアレコレでは、ヴィルフリートが有能に見えるから驚きますね。
ただ、ローゼマインがアーレンスバッハへ攻め込む時に背中を押した時もそうだけど、
緊急事態に動じず、果断に動けるのはヴィルフリートの得がたい資質だと思うのですよ。
問題はその資質を磨かず、欠点を放置していた彼の教育係の怠慢なだけで…

「閑話 アウブの定時報告」は前作のフェルマイファン向けの短編ですね。
フェルディナンドの説教臭さは相変わらずだけど、
優しさと過保護さがマシマシになっているあたりがニヤニヤできると思うのですよ。
側で見守っているリーゼレータは役得だと思います。
これがハルトムートとクラリッサにバレたら、
中央に一緒に来て欲しいとおねだしした時みたいに、めっちゃ嫉妬してきそうですよね…w

ラザンタルク視点の短編は、彼がただのディッター馬鹿なだけではなく、
ハンネローレのことが好きな馬鹿、というのがわかる内容で面白かったです。
おそらく2巻に収録される本編を読めば理解できるんですが、
1巻だけだとただのディッター馬鹿であるように思えてしまいますからね。
良いフォローだと思いますよ。

逆に金粉、もといジギスヴァルト視点の「コリンツダウムの執務室にて」は…
金粉はどこまでいっても無能な馬鹿だなぁ、というのが凝縮されていて酷かったです…w

まず、本人が今でも王族気分のままなのが酷い。
就任式の時にローゼマインに指摘されてたのに、まだ修正できてないし、されそうもない。
自分以外は全て自分に傅いて献上すべきだと考えている傲慢さに陰りが見えないから、
ジークリンデの思惑に全く気付けない馬鹿さ加減が読者に浮き彫りになっているんですよね。

ナーエラッヒェもジギスヴァルトに第一夫人を求める言葉を読む限りだと、
ジギスヴァルトと同じ「責任と苦労は背負いたくないけど、愛と実利は欲しい」
と言っているようにしか見えないんですよね。
ある意味似た者夫婦なのかもしれません。

ジギスヴァルトはローゼマインやアドルフィーネを配慮が足りず、無神経で非常識だと考えてますが、
客観的に見てその言葉はそのままジギスヴァルトに熨斗を付けて返すべきでしょう。
次期王の王子という立場だったからそれがギリギリ許されていただけで、
その立場を失った今だと糾弾されて当たり前なのに、そこに全く理解が及んでいない。

むしろ、女神の化身となったハンネローレならメスティオノーラも降臨させられ、
自分の為のグルトリスハイトを貰えるとでも思っているのかもしれませんが…、
本当に認知が歪んでいるなぁ…

そもそも未だに次期王だと思っている時点で超弩級の馬鹿だと思うのですが、
それを周囲が正そうとしていないあたり危なすぎますよ。
ディートリンデがそれをやったら、不敬だとして処刑される予定だったのを忘れたのでしょうか?
自分は王族だからその対象外と考えているようにしか見えませんが、
ジギスヴァルトは既に王族ではない、という理解すらできてないのが一番の問題ですよね。

とはいえ、グルトリスハイトがないままにツェントとして君臨しようとして、
政治力を磨いてきたのは間違いないので、根回しや都合の良い噂の流布の手腕は見事ですね。
ラオフェレーグというダンケルフェルガーの癌も既に把握していて都合よく利用とするあたり、
舐めてかかっては駄目な馬鹿だとは思います。

ただ、身内である父と弟はそういった特性を理解しつくしているので、
嫁盗りディッターでは各所に対策されて、ボッコボコにされそうだな、と思います。
ツェント・エグランティーヌが公式に裁くアウブ第一号にならないと良いね…!

特典SSはヴィルフリート視点でしたが、これもまた読み応えがありましたね。
バルトルトを放置していたことがいつか断罪されるとは予想していましたけれど、
五年生が始まる前どころか、領主会議直後に引導を渡されていたとは思いませんでした。
まぁ、それくらいダメダメだったということなのでしょう…

ヴィルフリートは優しくて素直なんだけど、側近にそれを利用されやすいんですよね。
側近達にとって都合が良い主となるように教育された結果、
情報収集が疎かになり、情報の取捨選択を誤り、他責思考に陥ったんですよね…
それもこれもヴェローニカに教育され、オズヴァルトを付けられたせいでしょう。

それでも、今まで何度も挽回のチャンスを与えられてきたのですよ。
一日神殿長で自分の未熟さを見せつけられて再教育の機会を与えられ、
白の塔へ入った罪を咎められてもローゼマインの取りなしで許され、
嫌われている元凶のオズヴァルトを辞任させて更生の機会を与えられ、
バルトルトの暗躍に気付けなくても側近を介して忠告をしてくれて、
今回もラストチャンスでライゼガング系貴族の教育者を入れる打診をされたくらいです。
親の愛としては、これ以上ないほどでしょう。

ですが、ヴィルフリートはそのチャンスを悉く逃してきたし、
最後のチャンスも自分には無理だと断ってしまいました。
本編で書かれていた通り、ローゼマインはハッセやローデリヒといった課題を乗り越えて学習してきたし、
おそらくシャルロッテも同様の試練を乗り越えてきたんだけど、
ヴィルフリートだけが忌避して脱落したんですよね…

側近を守れるならギーベで良いと考えてるみたいですけど、
アウブの側近、という輝かしい将来の展望を抱いていた側近達からすると、
領主一族の側近ですらなく、ギーベに協力する文官や騎士という立場が用意されたとしても、
彼等がそれで納得するとはとても思えないんですよね。
本当に、フェルディナンドが昔に指摘した通り、
先のことが見えてない子供だと思います。
次の2巻では更にやらかしてしまいますからね。
ヴィルフリートは何でもローゼマインが悪いと思っていたのでしょうが、
今までどれだけフォローされてきたのかを実感するのはこれからだと思います。

それとドラマCDの特典SSですが、こちらではレスティラウトが冒頭から父親から説教されてましたが、
それでもまだ、嫁盗りディッターを仕掛けた責任の大きさを感じていないように思えます。
エーレンフェストとの常識の齟齬を解消しようともせずに強引に仕掛けて、
ヴィルフリートを騙してサインを書かせた悪辣さを全く反省していないんだよなぁ…

そのしわ寄せを自分で請け負おうとは全くしていない上に、
エーレンフェストに被せず、自分だけ負担するハンネローレを見てイライラするとか、
本当に困ったお兄ちゃんだなぁ…
ジルヴェスターは大領地相手だから遠慮しているのかもしれないし、
何だったら、レスティラウトがアウブになってからこの件を持ち出して仕掛けるつもりかもしれません。
それを警戒しているから、ヴェルデクラフは厳しいのではないかな?

それというのもジルヴェスターは嫁盗りディッターの本質をクラリッサから報告を受けていると思うのですよ。
ローゼマインの心の平穏と、ハンネローレの望みを叶えるためにローゼマインには黙っているだろうけど、
側近仲間と保護者にはしっかりと報告しているのではないかと思うのです。
もしかしたらシャルロッテも知っているかもしれません。
そういった内幕は次巻以降で明らかになるのではないかと予想しております。

それはそうと二歳児の時のハンネローレはとても可愛いですね!
舌っ足らずでレスティラウトに置いていかれる涙目の幼女とか、可愛すぎでしょう。
これを無視できるとかレスティラウトは酷いお兄ちゃんですよ。
でもまぁ、こういった兄妹はどの世界でも見ることができるんですけどね。

そんなレスティラウトの第一夫人に誰がなるのかだけど、
レティーツィアが候補に入っているのには驚きましたが、納得ではあります。
現時点では王命があるので無理そうだと認識しているのは安心ですけどね。
あの王命を何とかしようとしたら、絶対にフェルディナンドが邪魔するでしょう。

そしてハンネローレとローゼマインが揃うと厄介事が起こると予想するのは間違ってないんだけど、
二人とも巻き込まれているだけで、二人に責任は殆どないんですよ。
むしろ、二人が厄介事を何とかできる限り平穏に収めているくらいなんですよ!
よくやったと褒めてあげるべきだと思います!

この続きは現在も連載中で完結していないので、続きを読みたくてヤキモキする日々です。
今年はまだ、ふぁんぶっくと短編集も出ますし、
第三部のアニメ化や、引き続いてのコミカライズのお仕事もありますからね…
香月先生もお忙しいとは思いますので、無理をせず書いて欲しいものであります。

余談。

女神から「命を奪うな」という命令が出ている中で、
ヴィルフリートがどうやってバルトルトを処刑するのか?
という疑問が出てきたんですが…
やはり名捧げ石を使って
「バルトルト、自害しろ」
「…ありえない… この私が…」
とかやるのでしょうか!?
ちょっと気になりますw

:: 2024/7/29 月曜日::

■[ラノベ]ライ麦畑でチート三昧「商人令嬢はお金の力で無双する」2巻

商人令嬢はお金の力で無双する2巻商人令嬢はお金の力で無双する2巻
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
作者サイト:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する 2
Kindle版まとめ買い:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する 2

敏腕商社OLの前世を持つ侯爵家の血筋の父と平民(ということになっている)母の間に生まれたサラ。
両親が亡くなったことで引き取られた祖父の家で従兄たちに殺されそうになったので、
領地にいるもう一人の伯父の元で養育されることになったんだけど。
そこであっという間に頭角を現してしまうのだった…

麦の一大産地で麦角菌が見付かったことで自重しなくなったサラだけど、
前世の知識に加えて魔法もある上に、そこに更に妖精チートでとんでもないことになってますよ。
とはいえ、それくらいないと難しいくらいのことをやらかしていますね。
話のテンポが良いのは喜ばしいけど、凄すぎるチートに周囲の人間だけじゃなくて読者の私も苦笑いです。

しかし、他国からの干渉を既に受けている状態が発覚した現状を見ると、
後手後手に回っている所から巻き返そうと思ったら、
これくらいのチートはやっぱり必要ですよね…
というか、ロバート伯父様や侯爵閣下もまだまだ視野が狭いというか…
多国間を飛び回っていた前世を持つサラだからこそ気付けたのかもしれません。

そして隣国であるロイセンの裏事情が読者に唐突に開示されましたけど、
レベッカ嬢に言い寄ったアドルフ王子のクズすぎるエピソードには反吐が出そうでしたね。
第三王子夫婦が可哀想だけど、それもこれも子供の教育を間違ったロイセン王のせいでしょう。

子育てに失敗して苦労するパターンはグランチェスターもそうだけど、
アダムたちはまだギリギリ大丈夫なラインですからね。
その負担はかなりの割合でサラにのし掛かることになるので、
頑張って頂きたいところです。

それにしてもサラが成長した姿のソフィアはわりと反則ですよね…
幼い少女は大人に変身する願望があるとは言いますが、
時を操る妖精さんとか本当にチートすぎると思いました。

:: 2024/4/24 水曜日::

■[ラノベ]異世界転生ょぅι゛ょっょぃ「商人令嬢はお金の力で無双する」

商人令嬢はお金の力で無双する商人令嬢はお金の力で無双する
出版社:TOブックス
作者名:西崎ありす
作者サイト:西崎ありす
絵師名:フルーツパンチ。
絵師twitter:フルーツパンチ。さん(@pachikbl) / Twitter
連載サイト:商人令嬢はお金の力で無双する
紙書籍通販:商人令嬢はお金の力で無双する
DMM電子書籍:商人令嬢はお金の力で無双する

平民の母と貴族の父が駆け落ちした先で生まれたサラは両親が亡くなり祖父に引き取られたけれど、
侯爵である祖父の家にはイジワルな従兄たちが3人居て、いじめられて池に突き落とされてしまう。
死にそうになった時に日本の商社で働いていた記憶とともに魔法の力に覚醒したサラは、
力を身に付けるために王都の別邸を離れてもう一人の伯父がいる領都へ向かうことになるんだけど…?

TOブックスから刊行されたのは女性主人公の異世界転生モノです。
8歳の幼女なのに異世界で培った能力で危機に陥った侯爵家で無双して頭角を現せていく物語です。
かなり濃密で怒濤の如くイベントが盛り盛りなので読んでて疲れそうになるけれど、
面白さも濃厚になっているので、どろり濃厚家系ラーメンみたいな作品になっております。

サラも始めは猫を被って虎視眈々と実力を身に付けていくつもりだったみたいだけど、
前任の代官が横領して追放されたけど、文官能力が低い伯父が目の下にクマを作りながら、
今にも倒れそうになっているのを見かねてついつい助けちゃうんですよね。
8歳の幼女に次々と指示されて動く周囲の大人たちも驚いたでしょうが、
バリキャリだった商社務めの経験は異世界でも冴え渡るのです。

男尊女卑の世界で、有能だけど芽が出せない女性たちをメイド、侍女、錬金術師に薬師と、
あらゆるジャンルで引き上げて適材適所に割り振って活躍させるのは、
とてもリーダー気質で、サラこそが次期侯爵に相応しいように見えるんだけど、
本人は貴族社会で便利なコマのように使われるのが我慢ならないので、
平民の商人として自由に生きたいから頑張ってるんですよね。

とはいえわりと甘いところがあるので、
麦角菌に冒された村を救うためにすぐに自分の能力を隠さなくするとか、
とても危ういところがあるのが心配です。

すごく良いところで終わったので続きが読みたいですね。
基本的にWeb版からあまり変更はないみたいですけど、
書籍化で書き下ろしが読めるのは嬉しかったですね。
他者視点だとサラの規格外さがよくわかるので、もっと読んでみたいです。

:: 2023/12/10 日曜日::

■[ラノベ]これ以上ないほどの大団円!「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身XII」」

ついに完結…!
Web版は2017年3月に完結していますが書籍版はWeb版連載開始から10年目にして遂に完結しました。
全33巻(+短編集2冊&外伝1冊&コミカライズ版書き下ろし短編)という長大な物語が、
これ以上無いほどに見事な大団円を見せてくれました。
これほどまでに美しい物語は他に類を見ないですね。
どちらかというと女性向けの作品で、作者も女性なんですけど、
本当に男女関係なく最後まで楽しめる作品でした。

この完結巻は約2/3が加筆&書き下ろしなので、
Web版を繰り返し読んでいる私にもとても新鮮さが感じられました。
まず、フェルディナンド視点のプロローグからして新鮮なんですよね。
ローゼマインはフェルディナンドに全幅の信頼を寄せているから、
彼女の視点で読む本編からだと緊迫感がそれほど伝わってこなかったんですが、
フェルディナンド視点だと手に汗握る緊迫感が半端なく、読んでて動悸がするんですよ。
フェルディナンドにしても神々が関与する事態なんて想定外だし焦燥感が半端ないんですよね…

一年半会えてなかったけれど、
すぐにローゼマインが貴族らしい取り繕いを身に付けたのを察して本音を見抜けるあたり、
フェルディナンドはローゼマインのことをよく理解していますよね。
それに比べて、メスティオノーラに関しては情報が少なすぎるため対処が後手後手になるのは仕方ないかな…
それでもメスティオノーラの僅かな言動から勝機を読み取ろうとするあたりフェルディナンドは優秀ですよ。
なまじ優秀な分、色々と可能性が浮かんで焦っちゃうんですけどね…
ローゼマインくらいに脳天気の方が人生は楽なんだろうなぁ…w

それにしても呪い返しという概念は新しく出てきましたね。
対象者(この場合はローゼマイン)が神々の過剰な祝福で呪い状態に陥った場合、
対象者が他者(この場合はフェルディナンド)に贈った祝福を、その贈られた側が対象者に返すことで解呪する…
という意味で良いのでしょうか?
メスティオノーラが言いたくなさそうだったのは、呪い返しされる対象だからでしょうか?
それと「呪うならば私にすべきだった」というセリフが続編への伏線になっている気がしますね。

「記憶」のシーンも色々と加筆されたことで、フェルディナンドの感情の湿度と重さが凄くなってますね。
同調させられるローゼマインも大変でしょうけど、だからこそ心の底から理解したことでしょう。
第一部ラストで出会ったばかりのフェルディナンドが言っていた、

「……マイン、私は正直、ここまで親に大事にされ、愛されている君が羨ましいと思う。神殿にいるのは、孤児であれ、貴族であれ、親に必要とされなかった者ばかりだからな」

というセリフが紛うこと無き本音だということが。

それとこの時のローゼマインは下町の記憶がないため、一人称が”わたくし”なんですよね。
Web版では”わたし”だったので、良い修正だと思います。

記憶の中でフェルディナンドは実父の「領地のため」「時の女神のお導き」という言葉に諦観を覚えてますが、
アーデルベルトパパはそれなりに息子に対して情は有ったと思うんですよ。
ジルヴェスターもそうですが、この一族は家族に対する情が深いので。
ただ、ジルヴェスターとヴィルフリートにも受け継がれている、
”無神経な言葉を不用意に言って相手を傷つけてしまう”という一族の悪癖が出ているだけだと思うんですよね…
続編が出て、アーデルベルトの出番があれば、そこら辺ハッキリすると思うんですけど…
どうなんだろう…?

「選んだ未来」で平民に戻る選択肢を提示したフェルディナンドですが、
それを選んだ場合、ローゼマインが考えるように名捧げ側近は殉死させられそうだけど、
流石にローゼマインにはこまめに魔術具を渡したりとケアしそうな気がします。
フェルディナンドにとってもっとも大切なものはユルゲンシュミットよりもローゼマインなんですから。
ローゼマイン本人はまだ自覚がないんでしょうけども。

ただ、ルッツを選びそうだと考えているのはフェルディナンドの本音でしょうね。
ルッツとの記憶が一番繋がらなかったことから、そう考えても仕方がないでしょう。
フェルディナンドが珍しく弱気を見せているように見えますが、
同情を引いて関心を買うためなんじゃないかと穿った見方をしてしまいます。

それはそうと、勝てる勝負しかしない主義のフェルディナンドが、
自分より魔力量が多いジェルヴァージオを相手にした時でも弱気を見せなかったのに、
唯一勝てないかもしれないと弱気になった相手が平民のルッツというのが面白いですよね。

「忙しい日々」では色々と加筆がありますね。
Web版では省略されていたので気付かなかったけれど、
ローゼマインがエーレンフェストに一度戻るのも言われて見れば当然でしたね。
フェルディナンドは色々と理由を並べてたけどその本心は、
”ローゼマインに嫁入り準備をさせてあげたい”
じゃないかな、と思うのですよ。

寮の内装の違いとかも興味深いけれど、
ヒルシュール先生のせいで常識がずれているのに笑っちゃいましたねw
ただでさえ中領地と大領地では色々と常識が違うというのにそこにプラスして常識違いがあるとは…
これからも何かと大変そうだな、と思いましたw

そしてユーディットは相変わらず癒し要員ですね…
できればユーディットもローゼマインの側近を続けて欲しいんですけど、難しいよなぁ…
一族全員で移るくらいしないと難しい気がするよ…

「エントヴィッケルン」でも加筆が多い~!
エグランティーヌとの連絡もしっかりしてて、丁寧さがアップしてますよね。
それにダンケルフェルガー出身のクラリッサが活躍してて、色々と納得ですよ。
忙しいだろうけど、ローゼマインに頼られてとても誇らしくて嬉しいことでしょう。
他の側近たちとのやり取りもとても微笑ましいですよね。
この風景を守るためにフェルディナンドは旧アーレンスバッハ貴族を押さえつけるのに、
ユストクスやハルトムートたちと暗躍しているんだろうなぁ…

意外だったのは城から礎の間に入ったことですね。
大規模魔術をやった時に入ってるから当然と言えば当然なんですけど、Web版読んだ時は神殿から入ったのかと…
まぁ、他の貴族に勘ぐられる隙を与えるわけにはいかないし、当然なのかな?
そしてローゼマインが設定したセキュリティーシステムが彼女らしすぎてちょっと笑っちゃいましたねw
フェルディナンドにバレたら呆れられ、こめかみをトントンしながら説教される気がするけれど、
知られることはないだろうから問題ないでしょうw

「エグランティーヌの訪れ」は加筆が少なめでしたね。
エグランティーヌが何を見てローゼマインたちに謝らなければならないと思ったのかを語られる日は来るのかな?
ジェルヴァージオやラオブルートの記憶を覗いたり、国境門での捕縛事件とか、
色々あったであろうことは想像がつくのですが…
短編集で語れると嬉しいんだけど、どうなんでしょう?

それもこれも王族の自業自得なのでこれから頑張ってもらうしかないですね。
王命を遵守してレティーツィアがアウブ・アーレンスバッハになるためには、
トラオクヴァールが興したブルーメフェルトが分割されるか改名される必要がある気がするんだけど…
どういった手段を取るのかは続編以降のお楽しみですね。

「婚約式」は加筆のせいでボニファティウスのうっとうしさが増量してる気がする…!w
ヴィルフリートの素直な優しさは微笑ましい美点だと思うんだけど、
それによって被害が色々と出てるのがとてもヴィルフリートらしいと思うのです。
婚約式のセリフの全文はドラマCDや来年の短編集でわかるのかな?
ドラマCDを予約したのが今月頭だったせいで、まだ届いてないんですよね… 早く聞きたい…!
そしてあのシーンに挿し絵があるのはとても「わかってらっしゃる!」と思いました。
大変結構ですよ!

「アウブの宣言」はWeb版からほぼそのままでしたね。
慈悲を恵む女神の化身ではなく、自費で賄わせる商人聖女って感じに加筆されてましたねw
地方のギーベがどんな感じなのかは相変わらずまだわかりませんが…
フェルディナンドが過保護すぎるからローゼマインの一人称だと続編でもしばらくわからない気がします。
ビンデバルト伯爵みたいな愚物は今のうちにフェルディナンドが潰すんだろうなぁ…
ローゼマインの心身の平穏のために、じっくりと潰して貰いたいものです。

「研究所と図書館」はちょいちょい加筆されてますね。
ダームエルとのやり取りが追加されてて嬉しかったです。
ちゃんとダームエルが側近を続けてくれるかどうかは、ローゼマインにとっても重要ですしね。
ただ、読者の大半は隠し部屋でのフェルマイにニヤニヤしたことでしょう。
当然私もニヤニヤしちゃいましたけどね!

「エーレンフェストへ」からはほぼ書き下ろしですね。
フェルディナンドが魔王っぷりを発揮する悪辣さを色々と知ることができないのが残念だよ!
ゲオルギーネ派残党や親ベルケシュトック派を叩きつぶす準備をしまくってるんだろうなぁ。
ローゼマインの考えている通り殺しは無理だろうけど、事故死は多発すると思うんだよね…
神からの罰の実態を知るために罠に掛けて邪魔者同士を殺し合わせそうな気さえするよ…!

教科書を貰って喜ぶローゼマインは変わってないですけど、
ローゼマイン本人が申告しているように、男女の機微は勉強不足だと思うのですよ…w
頬を撫でられるのを、頬を摘まむお肉がなくなったからと考えてるあたり、
本当に情緒が足りてないというか…w

オティーリエからの心配というか助言はとても真っ当なだけに貴重ですよね。
地縁がない土地での結婚と子育ては、システムが整った現代の日本でも大変なんですから。
フェルディナンドとその名捧げ側近組はそういったところが疎いでしょうからね…
ゼルギウスとシュトラールの奥さん方がこれから重要になってくる気がします。

そしてヴィルフリートの迂闊なところがここでも出ちゃってる!
そんなんだからハンネローレ貴族院五年生でもやらかしちゃうんだよ!
これからもシャルロッテからのお小言がずっと続くんだろうなぁ…w
ローゼマインと違って自分の側近の将来も全く考えてないだろうし、
本当に困った領主候補生になったもんだけど…
それもこれもヴェローニカの教育結果なだけに、彼がこれから背負っていく呪いなのでしょうね…

「基本色の調合」はこういった細かい設定を本当によく考えるなぁ、と思いますね。
それと筆頭文官になるためのハルトムートのやる気が凄いけど、ハルトムートならやり遂げるでしょうね。
そしてローゼマインの側近が若い者だらけなのは本当に例外だらけなんですね。
だからこそローゼマインが一から作りあげることができたんでしょうけども。

レオノーレは嫁入りしているようなものだし、嫁ぎ先がコルネリウスだから親族の反対もないだろうけど、
確かに嫁入り準備期間が短いのは大変でしょうね。
ほぼ同じ立場のアンゲリカは妹のリーゼレータにほぼ丸投げなあたり、
とてもアンゲリカだなぁ、と納得しましたけれど…w

「アウレーリアの立場」ではきちんと貴族の実家にも挨拶ができてて嬉しかったですね。
そしてダームエルとのことでからかわれるフィリーネがとても可愛いですね。
今までも短編では側近仲間にからかわれてたのに、
そこに主であるローゼマインが加わったのだからたまらないでしょうw
あと、「ダームエルはそんなことをしてくれません!」には笑っちゃいましたw
来冬発売の短編集3では祈念式で二人の間にどのようなことが起こったのかが収録されることを期待していますよ!

久しぶりの登場のミュリエラが生き生きしてて楽しそうで微笑ましいですね。
今のところローゼマインが作りあげた図書館都市の理解者に一番近いのが笑っちゃったな。
おそらくローゼマインの理想を一番理解してくれるのはソランジュ先生だと思う。
次点がミュリエラとリュールラディではないでしょうか?

アウレーリアの父がエックハルトに始末されたのはふぁんぶっく8で知ったけど、まぁ、そこは予想通りでしたね。
そしてローゼマインにはその裏側が知らされてなかったのも予想通りでした。
レオノーレとハルトムートなら察することができるだろうけど、二人がローゼマインに教えることはないでしょう。
ローデリヒなら調子に乗って言いそうになるかもしれませんが、間違いなくまたヴァッシェンで黙らされますねw

それにしてもガブリエーレの肖像画を飾ってるとかライゼガングのひいお爺ちゃんが狂気すぎる。
ローゼマインは「恩人ならともかく」と言ってるけど…
それをレオノーレがそのまま伝えた結果、ローゼマインの肖像画が飾られることになる未来が見えますね…!
アレキサンドリアに移ったヴィルマの初めての仕事がそれになるんじゃないかな…?w

アウレーリアが連座にならないのは予想できてたけど、ちゃんと確証が得られて良かったです。
さすがにフェルディナンドもローゼマインが懇意にしている義姉を処分することはできなかったのかな?

「母の激励」でジークレヒトと会えたのは良かったですね。
次に会えるとすれば…、洗礼式には参加できるのかな? ヘンリエッテの洗礼式にも参加しそう。
エルヴィーラとの会話も一年前と同じ部屋なのに雰囲気が変わっていて嬉しいですね。
ローゼマインの偉業を表面的なことではなくその本質を突いて素直に褒めることができるのは、
貴族の実母であるエルヴィーラにしかできないでしょう。

そして防衛戦での情報連絡が予想以上にされてなかったのにはカルステッドたちにガッカリだよ!
まぁ、カルステッドらしいとは思うけどね! そんな暇はなかっただろうし! 機密性高いし!w
騎士団長の第一夫人はこういったところも耐えないといけないんだから大変だ。
コルネリウスは恋愛結婚なのだし、レオノーレのことをしっかりと気遣ってあげてくださいよね!

そして母親からの心配と、夫を持つ者の先達としての助言がローゼマインの不安を溶かすのは良いですね。
嫁入り前の娘と母親との語らいっていうのはこういうものなのでしょうね。
独身の私には全く想像ができなかったシチュで新鮮です。
そしてしんみりした雰囲気をぶっ壊すくらいにエルヴィーラの恋物語好きっぷりを見せつけられて笑っちゃいましたね!
そうだよね、フェルディナンド救出劇は創作意欲を刺激しまくりだよね…!
エルヴィーラが捏造…、もとい、考えた婚約魔石の言葉も気になるところです…!

「神殿の側仕え達」の冒頭でカルステッドの館の側仕えたちとのやり取りが有ったのは丁寧で嬉しかったですね。
幼女時代のローゼマインの可愛さを知る、数少ない人たちですからね。
エルヴィーラが厳選したからこそ、良い人が揃っていたんでしょう。
本当にエルヴィーラの母としての愛情は素晴らしいですね。

神殿に着いたら懐かしい面々に会えるんだけど…
フランとザームが慣用句として言ったことをそのままの意味で受け取ることができるのはローゼマインだけ!w
ここでもユーディットが良い仕事をしてくれるんですよねー
本当に彼女が護衛騎士でいるのは癒しなんだよなぁ…w

ディルクは元気そうで良かったけど、これから大変だろうから頑張るんだぞ!
ふぁんぶっく8で明かされた身食いの特性をローゼマインが周知させれば、
ディルクも結婚相手も見付かる可能性があるとは思うんだけど…
今のところ一番可能性があるのはブリギッテの娘のリラローゼくらいしか私には思いつかないな…

あの悪童だったギルが孤児たちの目標になるくらいまで成長したのは感慨深いなぁ…
将来的にルッツと一緒に書店を開くみたいな話をどこかで読んだけど、おそらくそうなるでしょうね。
その場合はフォルクみたいに妻帯者になる可能性もあるので、本当に楽しみです。

そしてデリアの出番まであるとは思いませんでしたね。
挿し絵までバッチリ有って驚きましたけど、嬉しかったです。
ローゼマインの気遣いも丁寧で、デリアと言えば忘れない「もー!」も健在で微笑ましかったですね。

「商人達との話し合い」でメルヒオールに釘をさすローゼマインは現実をよく理解していますね。
弟妹には優しいけれど、教育には甘さを許さないのはフェルディナンドの教えが感じられます。
この分なら将来生まれる我が子への教育も大丈夫そうですね。

ミルダは本編では初登場だけど、見た目はコリンナさんでも中身はわりとベンノさんだったよ!
これはプランタン商会エーレンフェスト支店の将来も安泰だね!
そしてベンノさんはとても有能すぎるね! 頼もしい!
転移陣を使って引っ越しは私も考えてたけど、寮経由なのは想定外だったなぁ。
まぁ、グーテンベルクの荷物も嫁入り道具みたいなものだと強弁して渋る文官を説得するんだろうなぁ…w
引っ越しに護衛にダームエルが付くだろうとは予想していたけれど、シャルロッテが頼むのは想定外でした。
というかシャルロッテが頼もしすぎる!
やはり次期アウブとして防衛戦で活躍したのが経験として大きかったのかもしれない。

「就任式の衣装と図書館の閉鎖」この時の衣装が表紙になっているやつですね。
フロレンツィアもちゃんと母親だったことがわかって嬉しいですね。
そしてラザファムが大人しそうな顔をしてたのに内面が過激で驚いちゃったよ…!
そりゃエックハルトと仲良くできるわけだよ!
彼がヴェローニカにどのような目に遭わされてきたのか知るのが怖い!

「エーレンフェストとの別れ」ではリヒャルダともう会えないのが寂しいですね…
早く遊びに来られるくらいにアレキサンドリアを発展させたいね…
別れの女神ユーゲライゼが象徴するのは巣立ちだというのがよくわかる別れでしたね…
ここで挿し絵を入れるのは読者の涙腺を刺激しすぎだと思うんだ…

そして感動的な場面の直後にヴィルフリートの無神経さがここでも発揮しちゃってて台無しだよ!
本質を突く洞察力はあるけれど、それをオブラートに包む気遣いができないのがヴィルフリートの致命的な欠点だよ!
そしてボニファティウスはじじ馬鹿がすぎるよ! でも愛情がたっぷりだよ!
そんな貴族の家族の愛に囲まれていたローゼマインは幸せだったんだなぁ、と感じますね…

「就任式の朝」は冒頭からエーレンフェスト貴族のレベルは低さが出てて残念でしたね…
ローゼマインがエーレンフェストの領主候補生だったから勘違いしてるのかもしれないけれど、
上位領地を相手に平身低頭なのがエーレンフェストの社交だったのに、
これから上位の大領地のアウブとなるローゼマインを相手に無礼すぎると考えられないあたりが本当に残念です。
これからシャルロッテが改革していくんだろうけど、これから大変だろうなぁ…

衣装の噂に関しては表紙を見た時に読者の大半は察していたよ!
ローゼマインが意図せず選んだろうとは思ってたけど、周りは当然理解していたんだね!
二人の仲にもニヤニヤできるけれど、
ダームエルとフィリーネのこともニヤニヤできますね!
これはコルネリウスがレオノーレのことを秘密にしていたのが正解だったとよくわかる光景ですよ…w

ユーディットはまだ悩んでるけれど…
もし自分がローゼマインの側近を続けられなくなっても、
自分の子供にアレキサンドリアの貴族と結婚させてローゼマインの子供の側近にさせる可能性はゼロではないと思う…!

側近を既に辞しているけれど、ブリュンヒルデともきちんと会話できたのは嬉しかったなぁ。
そう考えると、立場上仕方ないとはいえブリギッテとお別れできなかったのだけが心残りだなぁ…
成人したらダームエルたちを迎えに来るから、その時に会えると期待しておきましょう。

「就任式」でマグダレーナが第一夫人になってる!
可能性は高いと思ってたけど、フェルディナンドが言うように、それをトラオクヴァールが決断できるとは思わなかったのです。
防衛戦の時にマグダレーナが代わりに動いたように、妻たちが話し合って勝手に動いたんだろうね。
妻たちはトラオクヴァールがツェントになる前から惚れて支えてきましたからね。
アウブになったからといって離れるなんてしないでしょう。
ラオブルートには裏切られたけれど、女性の縁には恵まれてると思いますよ、トラオクヴァール様…!

そして金粉がやはり金粉のままなのには呆れて笑いが出ちゃいましたね。
この傲慢さがハンネローレ貴族院五年生にも続いてるんだなぁ…、と容易に想像出来ちゃいましたよ。
即座に離婚を決めたアドルフィーネは本当に優秀ですよね。
来年の嫁盗りディッターで思いっきりやっちゃってください!

舞台に歩きながらの回想で、本当にこの物語が完結するんだなぁ、としんみりしちゃいましたね。
まぁ、その後にフェルディナンドの罠に掛かって不満を出す下位領地の面々が場違いで苦笑しちゃったけど。
そうかー、確かに下位領地は騒動の顛末どころか、ローゼマインがメスティオノーラの書を持っていることも知らないのか。
トラオクヴァールが継承の儀式で具体的に何を説明したのか知らないからこそ、気付かなかったなぁ。
不満を言い出した領地はおそらくインメルディンクじゃないかな?
あとは女神の化身に慈悲を恵んで貰えなかった元負け組領地の面々でしょう。

エピローグの「帰宅」はWeb版の頃から何度も読み返した最高のエピローグですね。
この感動は読者の心が感じるものでしょうから、多くは語りません。
ラストの挿し絵のローゼマインの笑顔が、マインの笑顔だったことが全てを物語っていると思います。
巻末収録のカラー口絵や、描き下ろし漫画を含めて椎名優さんは本当に良い仕事をしてくださいましたよ!
神に感謝を!

それと特典SSですが、トラオクヴァール視点でしたね。
おそらく時系列的には就任式より前になるでしょうか?
息子のジギスヴァルトとは違って、エグランティーヌをツェントとして敬っているのが伝わってきました。
ベルケシュトックの城を拠点とするのには驚きましたけれど、
トラオクヴァールが述懐してた理由を読んで納得しました。
ラオブルートに裏切られたのがトラウマになってるんだろうなぁ…

トラオクヴァールは政変の被害者だけど、加害者でもあるんですよね。
旧ベルケシュトックの統治は難しいけれど、やり甲斐はあると思うので、
粉骨砕身して頑張って欲しいところなんですけれど…
レティーツィアへの王命とヒルデブラントとの婚約を考えると、
そのままレティーツィアに譲られそうな気がしないでもないですけど。

時の女神のお導きは続編への伏線ですが、これの詳細も早く知りたいんですよね!
あぁ、早く読みたい…!
まずは来夏のハンネローレ貴族院五年生ですね!

それとこれを読んで思ったのですが…
フェルディナンドがトラオクヴァールに怒った理由は、自分との契約だけでなく、
先代ツェントと先代アウブ・エーレンフェストの契約も反故されたからなんじゃないかな?
と思いました。

責任有る者の無知が罪であることは幼い頃のヴィルフリートと同じですからね。
トラオクヴァールの立場上難しかったとはいえ、今まで無知であったが故にどれだけ被害をもたらしたのか、
これから身をもって知ることになるでしょうが、
アウブとして魔力を捧げる達成感を得られるでしょうし、
支えてくれる妻が三人もいるので、立ち直って、
誠心誠意罪を償ってくれることを期待しましょう。

HTML convert time: 0.134 sec. Powered by WordPress