僕の心のヤバイやつ (10) 特装版 4月8日発売!
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:: 2015/10/26 月曜日::

■[ラノベ]家族の形「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」第二部 神殿の巫女見習いI

本好きの麗乃が異世界に兵士の娘マインとして転生するも、
そこは本は貴重で植物紙もなく、識字率も低い世界。
しかもマインの身体は虚弱で不治の病にも罹っているというハンデだらけ。
それでもめげずに”本を読む”という目的のために幼馴染みのルッツだけでなく、
やり手の商人のベンノまで巻き込み邁進しまくりだったが、
不治の病のために近付く死期は待ってくれず…
しかし半ば諦めていたマインは洗礼式で赴いた神殿で延命の手段と、
マインにとっての地上の楽園である図書室を見つけて…

第二部はマインが平民でありながら神殿で魔力持ちの貴族に準ずる青色巫女見習いとして、
常識違いの場所で奮闘しつつ、周りを巻き込んで盛大にかき回すお話です。
初めはあまりの常識の違いと側仕えの横柄な態度に挫けそうだったんだけど、
支えてくれるルッツや叱ってくれるベンノに、
愛してくれる大好きな家族がいるからマインは頑張れるんですよね。

手のつけられない悪ガキのギルと出会った当初は無関心だったのに、
あっという間に手懐けるマインの手腕は傍から見ると聖母みたいだと思いましたね。
もっともマインは誰よりも年下なんだけど、そのギャップすらも超越しているというか。
また、孤児院の飢える孤児たちを救うためルッツたちの助言を受けて、
自力救済できるように計らう事業も聖母みたいですが、
その動機が罪悪感に苛まされずに気兼ねなく読書をするためというのが、
マインの筋金入りの本好きっぷりを表していて面白かったです。(笑

それとマインの暴走(?)が神官長を動かして、
ディスコミュニケーションからスレ違いこじれていたルッツの家族の仲を、
見事に修復した展開は鮮やかでしたね。
急速にマインの性格を把握する手腕といい、神官長の有能さが光るラストでしたが、
神官長の有能さはまだまだこれからが見せ所なので、
今後の展開にも期待したいところです。

また、書籍化書き下ろしのエピローグと短編2つも良かったです。
ルッツの父ディードの視点で語られたエピローグでは、
ディードがディードなりにルッツとすれ違っていたのを懸念しながらも、
言葉を重ねることでわだかまりを解消するという手段が思いつかなかった、
というのが判って妙に得心しました。
お互い理解するためには心の中をしっかりと言葉にするのは当然のように思ってましたが、
その手段すらも知らなければわからない、というのはなるほど納得だな、と。
また、マインの姉トゥーリの視点で語られた短編の方ですが、
トゥーリがマインの姉としてマインに置いていかれないように、
必死に努力する姿がわかってほっこりしましたね。

今世では病弱で虚弱で貧乏と大変なハンデを負っているマインだけど、
前世と同じく家族には恵まれているのは本当に良かったですね。
だからこそ第二部のラストは涙なしには語れないのですが…
まぁ、そこは続きをお楽しみに、ということで。

:: 2015/10/3 土曜日::

■[ラノベ]READ AND DIE「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~」第一部 兵士の娘I,II,III

大の本好きで仕事も司書を選んだ本須麗乃22歳。
死ぬなら本に埋もれて死にたいと思っていたら、
地震で倒壊した本に埋もれて死んでしまい気がついたらマインという名の少女に転生しており、
しかもその世界は中世風の魔法があるファンタジー世界な上に識字率も低く、
本も平民の兵士の娘でしかないマインには手が届かない高価な物で…

小説家になろうに連載している作品の書籍化なだけに、
異世界転生で内政モノという人気要素を持ちながら女性主人公というのが特徴的ですね。
女性主人公故に天然素材でリンスインシャンプーを作ったり、
糸で編んだ髪飾りや簪、それにお菓子のレシピで儲けたりするあたりがとても新鮮です。

何よりマインというキャラクターが魅力的なんですよね。
生来の虚弱な身体な上に”身食い”という不治の病に冒されながら、
本を読むために不屈の精神で前のめりに前進する姿から熱さは感じますが、
それ以上に見た目が幼女なので愛らしいですね。
精神的に大人とはいえ、結構ミスをしまくったり不器用だったりするのも、
外見幼女だからむしろ愛らしさの方が先にきます。

そんなマインを取り巻くキャラクターたちも実に生き生きとしており面白いです。
一つ年上の姉であるトゥーリに裁縫上手な母のエーファ、
そして子供のためなら貴族だろうと敵に回す子煩悩でな父のギュンター
幼馴染みでマインの物作りのパートナーになってくれるルッツに、
マインの特異性に目をつけた商人のベンノなど、
どの人物もキャラが立ってるんですよね。

何度も失敗や挫折を繰り返しながらも少しずつ頑張って、
周囲の人たちもどんどん巻き込んで目的に向かっていくストーリーに魅せられます。
それぞれの巻末にマイン以外のキャラ視点で番外編が載っているんですが、
それを読むとご都合主義すぎるかな? と思った話の展開にも、
ちゃんと理由があるんだと判って納得できる面白さがあります。

また、椎名優さんの絵柄も凄くマッチしてるんですよね。
美しさと優しさが同居した絵柄のお陰でマインが愛らしいですし、
マインが生み出した髪飾りや晴れ着を見事に描き出してくれて、
文章を読んだだけでは想像しにくいところを補完してくれてます。
3巻の表紙ではマインと母エーファの顔がよく似ていることが判って、
家族なんだなぁ、と思わされましたし、本当に良い仕事をして下さってます。

唯一欠点があるとすれば非常に長いといことでしょうか。
第一部だけで3冊も使っているんですが、
実はWeb版は第五部までいっており、書籍換算であと15冊ほどのストックがあります。
ここら辺はどこまでも続けていけるWeb小説ならではなんですが、
いくらハイペースで刊行しているとはいえWeb版に追いつくのは大変だろうと思います。

ただ、あとに行くほどますます面白くなっていくので、
是非ともこのまま完結までずっと書籍化して欲しいと思います。
TOブックスという少々マイナーなレーベルですが、
Kindle版も紙版から1ヶ月遅れとはいえ順調に刊行しているので、
Web版を読んで気になるようでしたら是非買って読んで欲しいですね。

また、今度コミカライズが始まるらしいのでそちらから読むのもアリかもしれません。

ここ最近の小説家になろうからの書籍化作品の中では一番好きな作品なので、
多くの人に知って欲しい作品です。

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