僕の心のヤバイやつ (10) 特装版 4月8日発売!
夏! 海! 青春!
:: 2016/1/26 火曜日::

■[漫画]二人のベクトル「4D」2巻

4D(2) (モーニング KC)
著者/訳者:汐里
出版社:講談社( 2016-01-22 )
作者サイト:●汐里● 漫画家活動はじめました。
Kindle版:4D (2)

この漫画の魅力を端的に述べるなら”納得力”でしょう。

例えばガンダム世界でなぜ遠隔操作型ロボットが活躍しないかというと、
ミノフスキー粒子という存在があるから、という理由付けがあるように、
何かしらの理屈を用意して読者を納得させる力というのは重要だと思うんですよね。
そういう意味ではこの漫画は納得力が高いと思います。

その納得力の源泉は数学者である宮田の説明で、
透視や瞬間移動だけでなく、異質な念動力の性質に迫るだけでなく、
身体に歪みが発生した理屈を考え付き、分かりやすく説明するのが興味深いんですよね。
私が一番納得したのは超能力者が急激に老化した理由ですね。

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四次元空間で身体が左右反転したことによって、
分子レベルで左右反転し、その結果アミノ酸が光学異性体になったとか、
数学だけでなく化学も嗜んでいないと発想できないんですよ。
化学かじってた私でもそこまで思い至らなかっただけに凄いと思わされました。

それとラブコメスキーのアンテナがビンビンと反応したのが、
御崎が宮田に対して心を開いてきたところですね!

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1巻の頃はツンツンしていたのに2巻にしてこのデレデレさ。
まあ、今までずっと訳の分からない力に翻弄されて、
精神的にひとりぼっちだっただけに、
傍に居て見守って、更には自分には未知の力を解明してくれる。
うん、これは確かに惚れても仕方ないかもしれない。

ただ、四次元の世界は世界中で認知されつつあり、
宗教、科学、大企業、国家と様々な思惑が錯綜しつつありますからね。
二人の関係がどこまで続くか、どのような関係に至るのか。
そういった意味でも続きが気になります。

:: 2016/1/24 日曜日::

■[漫画]偉大なる母の言葉「HaHa」

HaHa (モーニング KC)
著者/訳者:押切 蓮介
出版社:講談社( 2016-01-22 )

作者サイト:カイキドロップ
作者twitter:押切蓮介(@rereibara)さん | Twitter
試し読み:HaHa/押切蓮介 第1話

父は厳格な性格の警察署長。
母は割烹旅館の女将。
しかしその二人の娘はスケバンで…
関門海峡を望む下関で生まれ育った少女の名はのぶえ。
押切蓮介こと神崎良太の母となる女性である。

「ピコピコ少年」シリーズ等で自伝的なエピソードを漫画にしてきた押切蓮介さんですが、
今回は実母の青春を漫画にしてきましたよ!
しかもそのお母さんが前述のとおりにエキセントリックな方で、
第一話からかっ飛ばしてます。

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気に入らなければヤクザとも喧嘩してしまい、
昼間から家の旅館からビールを盗んで飲みまくる。
フリーダムにもほどがある生き方だなぁ。

でも読んでいくと気付くんですが、
母・のぶえは決して自由なわけではなかったんですね。
厳格というよりも頑迷な父への反発と、
自立、望郷、出戻り、そして偉大な母の死去と、
「母」ではなく一人の人間としての苦悩を重ねた人生がそこにはありました。

それにしても親子揃って不運に見舞われてるんですね…
交通事故に遭われるのもかなり不幸な部類だと思いますが、
女将である母が倒れてからの旅館の親族乗っ取りが辛すぎる。
でも、こんな苦難を乗り越えてきたからこそ、
押切蓮介さんが例の事件で糞袋になった時も支えることができたのでしょう。

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息子の窮地には駆けつけて発破をかけてくれる母。
そんな母親の半生を漫画にして残すのは良い親孝行だと思いますよ。
例の事件も昨年無事解決したことだし、
今年は親孝行しつつ「ハイスコアガール」の続きを頑張っていただきたいです。

それとあとがきがお母さまの直筆でしたが、結構な達筆でしたね。
高校時代はスケバンだったということですが、
幼い頃にきちんとした教育をされたのだなぁ、と思いました。

:: 2015/7/25 土曜日::

■[漫画]幽霊を想って啼く小夜啼鳥の浪漫物語「黒博物館 ゴースト アンド レディ」上下

時は1852年、場所はロンドン ドルーリー・レーン王立劇場。
その場所に取り憑いている灰色の男幽霊、グレイ。
彼の元にある一人の女性が「自分を取り殺してくれる」と奇妙な依頼をしに訪れた。
彼女は後に世界中の人々に知られ、
彼女とその教えを受けた人々によって数え切れないほど多くの人を救った女性。
その名は…

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フロレンス・ナイチンゲール。
後に「ランプの貴婦人」と呼ばれ、現代に受け継がれる”看護”の礎を打ち立てた偉人である。

クリミア戦争で残された銃弾が真っ正面からぶつかって出来た”かち合い弾”
ドルーリー・レーン王立劇場に現われていたという灰色の男の幽霊。
そして、世界に知れ渡る看護の偉人、フロレンス・ナイチンゲール。
全く関係が無さそうなイギリスに纏わる3つの伝記を、
藤田和日郎さんが奇怪で奇天烈で奇跡的な物語に仕上げたのが、
この「黒博物館ゴーストアンドレディ」になります。

これはもう本当に凄かった。
藤田和日郎さんの圧倒的な物語の構成力が冴え渡っており、
ラストにおける物語の畳み方の美しさは見事の一言。
また、自ら”看護”の道を切り開こうとするナイチンゲールがぶつかる、
頑迷な人々という、数々の困難を乗り越えていく強さもまた凄い。
グレイに取り憑かれてから少しずつ、そして確実に強くなる彼女の姿は美しく、
そして何よりも苛烈でした。

それにしてもクリミア戦争における問題人物、ジョン・ホールの憎らしさが半端ないですね。
この人、実在の人物であり、実際にナイチンゲールに数々の嫌がらせをしたんですよね。
それをもう藤田和日郎さんが嬉々として憎さ500%で描くからヒドい。(笑

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現代日本で言うと新国立競技場の件で有名な森喜朗みたいなもんでしょう。
自分の見栄と面子を守るためだけに、他人の不幸を屁とも思ってないクズ中のクズ。
そんな悪役を最後にはきちんと成敗してくれるからスッキリするんですよね。
そこら辺は流石は藤田和日郎さんらしかったです。

そして何よりも藤田和日郎さんらしかったのはナイチンゲールとグレイの関係性。
うしととらのように、人間とそれに取り憑いた幽霊の相棒という関係性。
うしとらと違うのは二人が男と女ということ。
ナイチンゲールがグレイのことを知って徐々に惹かれていく様子もまた愛らしいんだよなぁ。

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90歳で亡くなるまで生涯未婚だったナイチンゲールが愛した幽霊・グレイ。
彼女の最期で二人が再会したラストは本当に素晴らしいの一言でした…

「黒博物館」シリーズの第2弾は浪漫溢れる素晴らしい伝奇物語でした。
またの出会いを楽しみにしたいと思います。

:: 2015/7/7 火曜日::

■[漫画]キムワイプからテルミットまで「決してマネしないでください。」2巻

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で、でたー!
理系あるあるネタの鉄板、キムワイプだー!

そんな理系ネタが山盛りでてんこ盛りな「決してマネしないでください。」
2巻になってもそのネタは衰えるどころかリミッターを解除したかのごとく、
テルミット反応で鍋ごとPCを消却してデータ消去するなどという、
マネしたら危険すぎるネタまでぶっ込んできています。

とはいえ、味の合成というか変化というか、
若いワインをミキサーにかけてデキャンタージュとか、
マネしてみたくなるネタも結構あるんですけどね。
実験器具が身近にないので気軽にマネできないのが残念です。

また、この漫画のキモである科学史ですが、
アラン・チューニングの業績は知っていましたが、
その死亡原因などは全然知らなかったので勉強になりました。
こういった俗世にまつわるエピソードが多いほど覚えやすくなるから、
学校の勉強ももっとこうなれば良いのに…
とは思いますが、シュレディンガーのエロゲ主人公っぷりを考えると、
倫理上一概にそう主張できないかもですね。(笑

ちなみに今回一番ためになるなぁ、と思ったのはバンビちゃんが言っていた、
「ネイルはガンプラ」です。
何故あんなに女性がネイルに熱心になるのか疑問を抱いている男性諸氏にとって、
これほど納得できる回答はないのではないでしょうか。
読んでて「なるほど!」と膝を打ちましたよ。

それと描き下ろし4コマにゲストキャラとして、
ゆうメンタルクリニックのゆうきゆうさんが出てきたのには驚きました。
合っていると言えば合っているのかな?
出版社も違うのにこういったコラボが普通にできる時代になったのかー
良いことだ…

:: 2015/5/19 火曜日::

■[漫画]起業、製品開発、そして…「ハルロック」4巻

ハルロック(4)< 完> (モーニング KC)
著者/訳者:西餅
出版社:講談社( 2015-04-23 )

作者サイト:西餅の餅は老人にやさしい餅

Kindle版:ハルロック (1)
Kindle版:ハルロック (2)
Kindle版:ハルロック (3)
Kindle版:ハルロック (4)

電子工作女子大生漫画の「ハルロック」が完結!
4巻という短さでしたが、その面白さは最後まで一貫しており素晴らしかったです。
他誌とのコラボとかもやって結構盛り上がりましたからねー
読んでて凄く楽しかったです。

「猫ツイッター」の売り上げで起業することになった晴ちゃん。
今まで趣味で変な電子工作ばかりしてきたけど、
企業として製品を作るとなると考えることが多くなって大変なんだけど、
それすらも楽しいと思えてひたすら試行錯誤を繰り返す晴ちゃん。
そんな晴ちゃんを見た六くんも色々と動き出し…

起業から完結まで一気に駆け抜けた感がありましたけど、
最後まで濃密な面白さが詰まってましたよ!
相変わらずの非凡な製品のアイデアも面白かったですし、
今までの発明品と違って果てしないトライアンドエラーを繰り返さないといけないのに、
それにめげないどころか、疲労しながらも楽しんでいる晴ちゃんの姿が凄い。

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仕事にこなれてしまった私には、
こういった姿勢は初心を思い出させてくれて眩しかったです…

とはいえ、それに巻き込まれてしまったうに先輩にはちょっと同情しました。(笑
まだ小学生だというのにマスコミにも露出して、
子供時代に別れを告げるうに先輩…

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否が応でも大人にならざるを得ないとは…
周りの大人たちは罪深いな…(笑

そして六くんは良い感じに成長出来ましたね。
この作品は得意分野がない六くんが自分なりに成長していく物語でもあったように思います。

好きな作品だっただけに完結して寂しいですが、
最後まで面白かったので楽しかったです。

:: 2015/1/23 金曜日::

■[漫画]売ってみよう! やってみよう!「ハルロック」3巻

ハルロック(3) (モーニング KC)
著者/訳者:西餅
出版社:講談社( 2015-01-23 )

作者サイト:西餅の餅は老人にやさしい餅

Kindle版:ハルロック (1)
Kindle版:ハルロック (2)
Kindle版:ハルロック (3)

電子工作大好き女子大生の向阪晴ちゃんが、
2巻では人の役に立つ電子工作という悟りを得ましたが、
この3巻では更に新たな展開がやってきました!
それがテクノロジー系DIYのお祭り「Maker Faire」への参加です!

今までひたすらご近所さんや大学の友人たちに、
親切の押し売りならぬ、電子工作の押し売りをしていた晴ちゃんが、
自分が作ったモノを売るという体験をすることでまた一歩進むことに。

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そして「Maker Faire」で出会った今村さん(大阪人)に後押しされて、
更なる飛躍をしそうで…

3巻も本当に面白かったなぁ。
お世辞にも絵が上手いとは言えないんだけど、
それを補って余りあるほどに漫画が凄く面白かったです。
どのページもそれ単体で面白いし、
中にはたった1コマでもそれだけ笑わされましたね!(笑

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この面白さの破壊力がハルロックの凄さの一つだと思います。

それにしても六くんが結構成長してきましたなぁ。
男だらけの工業高校文化祭に女子分補給するために、
光るアクセサリー作りとか発想するだけでも凄い。
更にカンニング用の電子工作を生み出す回は面白かった!
石焼き芋のスピーカーが自走するコマには腹を抱えるほどに笑っちゃいましたよ。(笑

問題は晴ちゃんの卒業が近く、今回のラストがアレだったことですね。
もしかしてまとめに入っちゃってるのかなぁ。
読者としてはもうちょっと続いて欲しいんですけど…
取り敢えず次の4巻までDモーニングで追いかけて行きたい次第であります。

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